京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

花びらが1枚ずつ

2019年03月12日 | こんなところ訪ねて
「今年も鉢植えの椿が花を付けた」「木偏に春と書く椿の花があると、まさにそこだけは春のようだ。夜、静かに本を読んでいるときに、隣の居間で椿の花が落ちて大きな音を立てると、びくっとさせられる。そんなときに早瀬は、里見弴の『椿』という短編を切実に思い出した」

『空にみずうみ』(佐伯一麦)に、こんな一節があった。この作品を読んだ当時は里見弴の『椿』を読んでいなくて、読むきっかけを作ってくれたのでした。

椿寺・地蔵院(北区)の五色八重の椿が見事です。



まだまだ多くの蕾が待機中。「あとひと月はいけそうです。手を入れるといいんやろけどね、どこをどうしたらいいのか、わからんのです。咲いてみなわからんで」とご住職かしら、笑って言われました。

すでにしっかり盛りを迎えている感じで、総身花だらけ。薄桃色や白や斑入りに咲き分けるそうですが、今日はピンク?の花ばっかりでした。


この椿は花ごと散るのではなく、はらり、はらり、花びらが一枚ずつ散るのが特徴の「散椿」。秀吉から寄進されたと言われる初代は枯死。樹齢120年余りになる2世の木だそうな。椿寺。参道も裏手へも、塀越しに背伸びしてみる中庭にも、墓地にも、多種の椿、椿でいっぱい。大きなつぼみが次々開くとき、音を立てるのでしょうか。


忠臣蔵でお馴染みの天野屋利兵衛の墓。
あいにく「忠臣蔵」も「男でござる」も、ようわからん私ですが。
コメント (5)
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