
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。・・・」(日本古典文学大系 岩波書店)と始まる『方丈記』。
私の興味・関心の世界に一本通っている芯は、高校時代の恩師との出会いによって芽吹いたもので、師の存在が人生の指針となった。
この師の存在がなければ、今に続く自分があったかどうかさえほとんど疑問だ。「出会ったことが喜びとなり、力となる。そこから新しい自分が生まれ、更に出発していける」、そんな出会いに恵まれたことをただただ感謝したい。
いのちには限りがあることとわかっているが、大きなものを失い、悲しい、…というか寂しさが迫ってくる。
卒業後の進路は違ったが、中国文学を専攻した友と電話で当時の師を懐かしんだ。
私は高校時代の仲間との交友関係はないにも等しい。数えるほどしか近況を知らないでいる。だから、こちらの心の中にあるものと響き合って語り合える、稀有な存在と言えるのだろう。
流されて生きるのではなく、時間を大切に過ごしていかなくては…。