「12か月の未来図」
エリート校の高校教師フーコーが1年間という期限付きでフランス郊外の教育レベルが低く、生徒には問題行動が多い中学校に赴任した。
学ぶ意欲を持たない、持てない子供たちに、教師は一人一人にビクトル・ユーゴの『レ・ミゼラブル』を渡し、読書を通して国語の学習を工夫する。おそらくまともに本など読んだことはない子がほとんどだろう。移民や貧困問題が子供たちの背景にはある。個々の発表を通し、更にさまざまな想像、見方を引き出し、課題への取り組みを認めていく。
何かと手を焼かされる生徒の一人・セドゥ。彼はベルサイユ宮殿に遠足に行った日の行動で退学処分を受けてしまう。救いたい教師は、法律の条文を読みこんで、「取り消し」を手にする。
教師によって小さな承認が重ねられ、子供たちにも小さな変化を感じ取れるようになる。
人間は先を見据えて生きていかなければならない。だから辛い。子供たちの将来を案じるフーコー。子供たちの心に未来を描く光が差し込んだら…。逆境から何かを学び取る。1年という期限付きの教師との別れに、セドゥは言った。「僕でも(先生が戻るエリート校に)入れるかな」「寂しくなる」
彼が近未来、これから1年先の未来図を描き、困難な環境を突破する可能性だってゼロではないはず、…と思い巡らせ、心温まるよいラストだった。
多くの問題を抱え込んでいるパリ郊外の学校。これはフランス社会の現実問題だろう。学ぶことの楽しさをもっと子供たちに…。
久しぶりの友人とは、この先の人生をどう生きたいか話題になった。やっぱり先を見据えて生きなければならない。