京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

春はほのかに温かく

2024年02月01日 | 日々の暮らしの中で

冬の終りに水仙の香りも身近にあってほしいと思うところだけれど、開花はまだ少し先のようだ。だから安野光雅氏の水仙の絵をみて、清らかな香り高い花を目と鼻で?想像。言うなら未生の美を楽しむってところかしら。


細かなところは忘れたが開高健が、訪れた越前の宿での女将さんの話を書いていた。
「5月5日は菖蒲湯ですが、このあたりではこの時季に水仙風呂に入ります」
開高氏のために用意しようという話で、茎も花もちょっとした香り漂うものらしかった。
越前海岸に咲く水仙を分けていただいて、京阪電車に揺られて帰宅したことがあった。あの時、芳香は車内でも揺れ漂っていたかもしれない。


あいかわらず梅はじーっと時季を待つ。
〈春は香りを燻す埋火のようにほのかに温かく、いい香りのするもののようです〉と長谷川櫂氏の言葉の香りも高い。

今日、2月1日。春を待つ。


18歳になった永徳が、京の狭い辻を心浮き立って足早に進んでいく姿で登場して物語『花鳥の夢』は始まるのです。このとき彼の心をつかんでいたのは緋蓮雀(ヒレンジャク)でした。

【緋蓮雀は冬鳥で、京の周辺では春先にしか姿を見せない。冠をかぶった勇ましい姿をしている。たいていは百羽ほどの群れをなして木の枝にとまり、実をついばんでいる】などと文中説明がありますが、、見たことがありません。

緋蓮雀の「緋」は、「緋色」の緋。緋という文字で飾られる鳥って…。
それがなんとまあ、このタイミングでブログを通じて拝見することがかなったわけです。こいつぁ~、春から(冬の終りに)なんとやらです。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする