京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

トイレに一輪、台所に一輪

2024年02月14日 | 日々の暮らしの中で
〈春風はすべてをほころばせようとする風だといいます〉 
こんな心地よい言葉をどこかで目にしていたけれど、春一番の訪れもないまま初夏のごとき陽気になった。


すべての葉を落とした落葉樹の枝ぶりの、きっぱりとした美しさを見るのもいいものだ、などと昨年12月も半ばごろ、川べりを歩きながら孫娘に話したところ、なんとまあ一直線に「嫌い」と返ってきたことがあった。(おい、おい! 嫌いといってしまえばあとが続かないよ) どんよりと暗い京の冬は好まないのかしら。



〈12月末から咲き始めた水仙が、春めいてきた今は庭中に、まっ白に咲いている〉と82歳の女性が書いていた。
ほのかに漂う甘い香り。
〈トイレに一輪、台所に一輪、そして仏壇にも一輪〉。
つつましさ、ひそやかさ。素朴さ。小さな自然がそこにあるのがいい。
絶やすことなく楽しまれる暮らしぶりがうかがえる投稿文だった。ひと重咲きの野水仙だろう。

〈トイレに一輪、台所に一輪、仏壇に一輪〉
花の香を召しませと、誰かを思い、なにかを思って、私も真似たい一輪の仏前供花。

早く咲いておくれ。
コメント (6)
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