京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

降れ降れこゆき

2022年12月23日 | 日々の暮らしの中で
今朝、ツワブキのような大きな葉には、一面を覆うだけの雪化粧が見られた。

馬場あき子さんの「雪」と題したエッセイが好きで、思い出したように読み返すことがある。
「冬の心は、いつも、どこかなつかしげに雪を待っている。……
吹雪・粉雪・みぞれ雪・春の淡雪・牡丹雪 ―、どのことばも美しく、どこか雪に呼びさまされる生の悲しみが潜んでいるようだ。」
と始まる。

文中、黒川能に触れている箇所がある。
山形県鶴岡市黒川にある春日神社の神事能として、五百年以上にわたり氏子さんたちによって演じられ守り伝えられている。神への奉仕と奉納の形をとり、一般の人々の目を遠ざけてきたようだ。

2017年の夏、羽黒山五重塔を拝見したくて出羽三山を巡るツアーに参加し、黒川能が野外で演じられる「水焰の能」を鑑賞する機会があった。
あのときガイドさんは、「防寒対策をして2月の山形へ、ぜひどうぞ」と、予約制で拝見も可能だという話をされていた。けど、極寒の折にとてもとても…。
雪中に建つ五重塔の一見も、かなわぬ夢とわかっていながら繰り返し思い描く。

新緑の映える候には瑠璃光寺(『見残しの塔』)も訪れたいと思い続け、今やふくらんだ夢ははじけそう。久木綾子つながりね。

年の瀬に思い出すこと、架ける夢。

「降れ降れこゆき――」。


寒かった! 背中がぞくぞく、外を歩けば耳が痛く、頭も痛くなりそうな一日だった。
木の北側に雪が残る午後。


 ♪ 津軽には七つの雪が降る
   こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪 
   みず雪 かた雪 春待つ氷雪

     大雪の被害に見舞われた地域の方々には心よりお見舞い申し上げます。

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2 コメント

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 (Rei)
2022-12-25 15:09:11
雪は美しいものと思っていました。
今も思っていますが、高齢になって雪は怖いと
思わざるを得なくなりました。
大雪の名古屋、二日間「籠城」今日三日目歩いて買い物に行きました。
たった二日歩かなかっただけですが、衰えを感じました。

「舞鶴引揚記念館」
身につけた教養や文化が精神を支えた」
胸うちました。
戦争は人を変えるなど聞きましたので
こういうお話を聞きますと救われる思いです。
辺見じゅん「収容所から来た遺書」
文春文庫からでているようです。
アマゾンで買うことに致しました。
たくさんの本を紹介していただきまして
本当にありがとうございました。

誕生日のお祝い、大らかなご子息様に
頬が緩みました。
返信する
籠城 Reiさん (kei)
2022-12-25 18:29:40
歩くことにはメリットも大きくあるわけですが、
籠城を余儀なくされてはどうにもなりませんね。
昨夜来静かな雨でしたが、高校駅伝も日差しの中終わりました。

奇跡的な資料とは、
元陸軍将校さんが、収容所で亡くなった約300人の名前、日付け、死因などを
小さな紙に書き、折り畳んで襟章に隠していたのを
帰国する仲間に託したもので、それが館に寄贈されたようです。

映画ではこんなこと二度とあってはならないと思いながら、
涙が自然と流れ、流れ、流れ…て困りました。
流しっぱなし状態でした。
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