京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

五月は女が生まれかわる月

2022年05月03日 | こんなところ訪ねて
  五月はバラの月、出逢いと別れの月、
  女が生まれかわる月。
  新緑の月。
        (と田辺聖子さん)

いたるところの田に水がはられた涼し気な湖東平野。名神高速道路に沿って北から西明寺(さいみょうじ)・金剛輪寺・百済寺(ひゃくさいじ)と点在する三寺を、湖東三山と言う。いずれも天台宗の古刹で紅葉の名所として名高い。ということは新緑が美しい。というわけで、南から百済寺、真ん中の金剛輪寺をスルーして、北の西明寺の2寺を訪ねた(昨日)。

釈迦山百済寺は1400年ほど前、推古14(606)年に百済博士恵慈の案内でこの地を訪れた聖徳太子が、すでに湖東平野を開拓しつつあった渡来人のために創建したと伝わる近江最古の寺。信長の焼き討ちに合い壊滅的打撃を受けたと。杉木立の中、並ぶ石垣は坊舎の跡地で平地面は300面が残るようで、山中に一千坊とは思い描くだけでも素晴らしい。天下の景観は湖東平野を一望する。安土の方向も。




西明寺も834年の創建と古く、諸堂17、僧坊300を有する大寺院だったようだ。頼朝が戦勝祈願したと伝わる。焼失を免れた本堂は第1号指定の国宝で仏像も多く残る。
30年ほど前のこの季節に、両親の希望で拝観に訪れたことがあった。追善供養をする方もいると僧は話し出されたが、心の中で父や母を思いだしながらのお参りで十分だ。当時、三重塔内部の拝観もさせていただいたが、鎌倉時代に巨勢(こぜ)派の画家が描いたという法華経の世界の壁画が残り、やはり国宝に指定されている。




新緑のエネルギーを浴びて生き返るって感じ。英気を養い、小さな生まれかわりに通じるような?一日を過ごした。何かあってもへこんでも、生きる力を灯すには聖子さん流に「とりあえず…」の才を働かせて気を取り直す、こまめに生まれかわる。いいかもね。


あなはあけたが栞にして大切にしている。

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