京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

人生をおいしくするもの

2023年08月11日 | こんなところ訪ねて
「うちも自己流やけどな、見栄えよう立てたらいい」のだと言う義母の手元を見ながら、見よう見まねで覚えてきた本堂のお花を立て終えた。

本堂の縁で、阿弥陀様とお脇にそれぞれにお花を立てながら、代代を支えた女(坊守)たちに思いがいくのが常のことなら、ふと自分の来し方を振り返ることもまたいつものことだろうか。

義母と私の実父とは幼馴染みだったが、父の母親(私の祖母)は、やはり真宗寺院の生まれだった。私が嫁いできたころ、この「おみを」さんを知る人もいて、せせこましい世間を煩わしくさえ思ったことがある。
遠く離れた父の郷里は、馴染みもなく縁遠い地だった。それが、この地に来て、自分は知らなくてもよそ様は私を知っているという様々な縁の中で暮らすようになったのだから、やっかいだった。
人との結びつき方を模索しながら日常に根を張る。そんな努力が求められた、今は昔のこと。

やがては自分自身が確実に「先祖」の仲間入り…。けれど、8月13日にはこの世に戻って来るよなんて、おそらくありはしないことなのだろうなあ、と思ったりする。


毎年ちょっと気ぜわしい思いを抱えながらも出向かずにはいられないのが、この時期に糺の森で開催される下鴨納涼古本まつり(~16日)。


講談社学芸文庫で手に入ることを知ってはいたが、現物を前にしてはためらってきた。
この一冊を求めて足を運んだともいえる今回、最後の最後になって、あった!のだ。 800円と半値以下で手に入れた。手元に欲しかったのだ。
「新刊本が売れないだろ」という息子の言葉は、頭の中を通り抜ける。


「よかったですね」「出会いがありましたね」と、私の喜びに店の人たちが言葉を添えて下さった。

「期待とはずみ心は人生をおいしくするためのもの」って田辺聖子さんが言われていたっけ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 一輪の花の力 | トップ | ほとけの手のままに »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おいしい人生 (いざよい)
2023-08-11 20:25:37
keiさん、こんばんは。

「納涼古本まつり」いいですねぇ。
私も近くでこのような催し物があれば、必ず出かけると思います。
欲しかった本が手に入ってよかったですね。
講談社学芸文庫は少々値段が高めですね。
でも、たくさんの本があって時を忘れたでしょう。
「人生は邂逅である」と言いますが、本との邂逅もありますね。

またこうしてお話が出来るようになって嬉しいです。
返信する
「人生は邂逅」 いざよいさん (kei)
2023-08-11 21:23:49
こんばんは。
春と夏と秋の年3回、一日だけでも必ずというほど出向きます。
今夏は大阪、兵庫、奈良、三重からの出店のようで、店舗によって特徴はありますね。
なんと言いましても、会場が太古の森というのは最高です。
ああ極楽~といった風に生き返りながら、全店舗のぞき歩くのです。

「人生は邂逅である」、本当にそうですね。
人との縁も本との縁も一期一会、大切にしたいです。

コメントをいただき、とても嬉しく拝見しました。
いざよいさんの復帰は大きな大きな喜びです。
皆さんと、共に喜び合うというのはいいものですね。
いろんな味を加味しながら、人生美味しく彩りたいものです。

どうぞご自愛なさってお過ごしください。
返信する

コメントを投稿

こんなところ訪ねて」カテゴリの最新記事