映画館に出かける時はマイナーな映画を選んでしまうことが多いが、たまには王道ハリウッド映画を大画面で見ようと有楽町へ。
まずは何年振りに入っただろう、丸の内ピカデリーで
「キャプテン・フィリップス」 Captain Phillips
ソマリア海賊に誘拐されたアメリカ人貨物船船長の実話の映画化だが、海賊=悪い奴にはなっていないとの前評判なので見る気になった。
実際見てみると、開巻早々からソマリアの貧しい漁師村から元締め(?)に脅されつつ海賊たちが出発する様子が描かれ、なぜ彼らが命がけで海賊行為をするのかがある程度理解できるように作られている。
演ずる役者たちがまたやせこけたソマリア人ばかりなので、その必死さにリアリティがある。
襲われる方の貨物船はというと、巨大なコンテナー船だが乗組員は20名だけ。しかも「俺ら組合員だし、命かけるほどの報酬はもらってねえ」なんてこれもリアルだ。
映画は始まってすぐに海賊出動で全く無駄がない。
武装しているとは言えたった4人の海賊に巨大な船が乗っ取られてしまう手際の良さ、船員たちの反撃のしかた、船長が救命ボートに拉致されてしまう顛末まで息つく暇もない。
船長が拉致されてからはアメリカ海軍とSEALSの出動となって、普通の映画だったらここでヒーロー登場、善玉が悪い奴らをやっつけてめでたし、となるのだろうが、この映画ではそうは感じさせない。
むしろたった4人の元漁師相手にここまでやるか、と大人が子供をぶん殴っているように見える。
もちろん自国民は一人でも絶対に守るというその姿勢は、同じような状況となったらまるで当てにならないどこぞの国の人間としてはある意味うらやましいのだが、それにしても皮肉が効いているなと思ったら、監督のポール・グリーングラスはドキュメンタリー出身のイギリス人だった。なるほどね。
ところで主役のトム・ハンクス、アメリカでは非常に人気があるようだが、実はあまり好きな俳優ではない。
なんとなく「我こそはアメリカの良心」としたり顔をしているようなところが鼻につくのだ。
しかしこのキャプテン・フィリップス役、実話だから民間人が超人的な活躍をするはずもなく、ひたすら救助を待つという地味な役どころ。それをきっちり出すぎることもなく演じて、ラストで救助された後など迫真の演技。アカデミー俳優はだてじゃない。
134分、手に汗握りっぱなしで、これはいい映画だった。
緊張の連続でいささかぐったりしつつ、そのまま隣の丸の内ルーブルに移動して2本目。
「ゼロ・グラビティ」 Gravity
こちらは海ならぬ宇宙で孤立無援になったサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの運命やいかに、というまたしても脱出もの。
宇宙空間を3Dで見せるとなればこれは映画館で見なければ、と出かけてきたわけ。
で初めて3Dメガネなるものをかけて見たわけだが、結論から言ってしまうとこちらはかなり期待外れ。
宇宙空間で孤立状態ということで「2001年宇宙の旅」が引き合いに出されることが多いようだが、確かに特撮やCG技術は格段の進歩、いったいどうやってこの画面を作っているのだろうと感嘆する場面もあったし、泣くと涙が丸い水滴になって浮かぶところなども面白かった。
しかし内容に深みはなく、サンドラ・ブロックのたくましさは「エイリアン」のシガーニー・ウィーバーをこそ思い出させる。
それはいいのだが、がっかりなのはストーリーのご都合主義。
以下はネタバレなので未見の方は注意
まず、最近の宇宙は衛星だらけとは聞いているが、ちょっと宇宙遊泳しただけですぐたどり着けるほど宇宙ステーションがいっぱいあるのか。しかもそのどれもが無人で、操縦可能な宇宙船が付いているなんて。
さらに国が違っても装置がほぼ共通で、宇宙飛行士ならぬミッション・スペシャリストでも操縦できちゃう、それなのにパネル上の文字は各国語のままって・・・。
ラストも着陸船が湖に着水し、ハッチを開けると水がなだれこんでくる。
こうなるのはわかりきっているのになぜ救援を待たずにハッチを開けてしまうのか、ネタ元の「ライトスタッフ」ではちゃんとハッチを開ける理由があったのに。
さらに水中で宇宙服を脱ぎ捨て、水面まで泳ぐところ、その後のシーンと矛盾している。
などなど、設定の矛盾が気になって画面に没頭できなかった。
鍛えぬいたサンドラは適役だし、登場人物が二人だけと言う潔さもよかったのだが。
宇宙ものならこの人、が声だけ出演しているのもツボで、監督がSF好きなのはよくわかる。
結局画面を作ることでせいいっぱいで、ストーリーを練りきれなかったのだろうか。
ところでこの2本を見に行ったのは水曜日のレディースデイ。
1000円なので混んでいるかと思いきや、どちらの映画もガラガラで肩透かし。
おばさま好みの映画じゃなければレディースデイは楽勝と学習した。
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まずは何年振りに入っただろう、丸の内ピカデリーで
「キャプテン・フィリップス」 Captain Phillips
ソマリア海賊に誘拐されたアメリカ人貨物船船長の実話の映画化だが、海賊=悪い奴にはなっていないとの前評判なので見る気になった。
実際見てみると、開巻早々からソマリアの貧しい漁師村から元締め(?)に脅されつつ海賊たちが出発する様子が描かれ、なぜ彼らが命がけで海賊行為をするのかがある程度理解できるように作られている。
演ずる役者たちがまたやせこけたソマリア人ばかりなので、その必死さにリアリティがある。
襲われる方の貨物船はというと、巨大なコンテナー船だが乗組員は20名だけ。しかも「俺ら組合員だし、命かけるほどの報酬はもらってねえ」なんてこれもリアルだ。
映画は始まってすぐに海賊出動で全く無駄がない。
武装しているとは言えたった4人の海賊に巨大な船が乗っ取られてしまう手際の良さ、船員たちの反撃のしかた、船長が救命ボートに拉致されてしまう顛末まで息つく暇もない。
船長が拉致されてからはアメリカ海軍とSEALSの出動となって、普通の映画だったらここでヒーロー登場、善玉が悪い奴らをやっつけてめでたし、となるのだろうが、この映画ではそうは感じさせない。
むしろたった4人の元漁師相手にここまでやるか、と大人が子供をぶん殴っているように見える。
もちろん自国民は一人でも絶対に守るというその姿勢は、同じような状況となったらまるで当てにならないどこぞの国の人間としてはある意味うらやましいのだが、それにしても皮肉が効いているなと思ったら、監督のポール・グリーングラスはドキュメンタリー出身のイギリス人だった。なるほどね。
ところで主役のトム・ハンクス、アメリカでは非常に人気があるようだが、実はあまり好きな俳優ではない。
なんとなく「我こそはアメリカの良心」としたり顔をしているようなところが鼻につくのだ。
しかしこのキャプテン・フィリップス役、実話だから民間人が超人的な活躍をするはずもなく、ひたすら救助を待つという地味な役どころ。それをきっちり出すぎることもなく演じて、ラストで救助された後など迫真の演技。アカデミー俳優はだてじゃない。
134分、手に汗握りっぱなしで、これはいい映画だった。
緊張の連続でいささかぐったりしつつ、そのまま隣の丸の内ルーブルに移動して2本目。
「ゼロ・グラビティ」 Gravity
こちらは海ならぬ宇宙で孤立無援になったサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの運命やいかに、というまたしても脱出もの。
宇宙空間を3Dで見せるとなればこれは映画館で見なければ、と出かけてきたわけ。
で初めて3Dメガネなるものをかけて見たわけだが、結論から言ってしまうとこちらはかなり期待外れ。
宇宙空間で孤立状態ということで「2001年宇宙の旅」が引き合いに出されることが多いようだが、確かに特撮やCG技術は格段の進歩、いったいどうやってこの画面を作っているのだろうと感嘆する場面もあったし、泣くと涙が丸い水滴になって浮かぶところなども面白かった。
しかし内容に深みはなく、サンドラ・ブロックのたくましさは「エイリアン」のシガーニー・ウィーバーをこそ思い出させる。
それはいいのだが、がっかりなのはストーリーのご都合主義。
以下はネタバレなので未見の方は注意
まず、最近の宇宙は衛星だらけとは聞いているが、ちょっと宇宙遊泳しただけですぐたどり着けるほど宇宙ステーションがいっぱいあるのか。しかもそのどれもが無人で、操縦可能な宇宙船が付いているなんて。
さらに国が違っても装置がほぼ共通で、宇宙飛行士ならぬミッション・スペシャリストでも操縦できちゃう、それなのにパネル上の文字は各国語のままって・・・。
ラストも着陸船が湖に着水し、ハッチを開けると水がなだれこんでくる。
こうなるのはわかりきっているのになぜ救援を待たずにハッチを開けてしまうのか、ネタ元の「ライトスタッフ」ではちゃんとハッチを開ける理由があったのに。
さらに水中で宇宙服を脱ぎ捨て、水面まで泳ぐところ、その後のシーンと矛盾している。
などなど、設定の矛盾が気になって画面に没頭できなかった。
鍛えぬいたサンドラは適役だし、登場人物が二人だけと言う潔さもよかったのだが。
宇宙ものならこの人、が声だけ出演しているのもツボで、監督がSF好きなのはよくわかる。
結局画面を作ることでせいいっぱいで、ストーリーを練りきれなかったのだろうか。
ところでこの2本を見に行ったのは水曜日のレディースデイ。
1000円なので混んでいるかと思いきや、どちらの映画もガラガラで肩透かし。
おばさま好みの映画じゃなければレディースデイは楽勝と学習した。
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