11月2日
松江駅前の観光案内所で地図をもらって、松江城方面に向かって歩き出す。
実は松江に来ようと決めてから泥縄式に小泉八雲をアマゾンで取り寄せて読んできた。
がこれが大正解。
お、これがお寺だらけの寺町だな、とか、これが八雲の書いていた橋だな、とか、何でもない景色にも興味がわく。
寺町で通りかかった鼕(どう)の倉庫。
京都の公家のお姫様が松江の殿様のところに嫁入りした際、町民が寂しくないようにとこの太鼓を鳴らしたとかで、町内ごと、松江全体では20以上あるのだそう。
橋を渡る下駄の音で朝目が覚める、と八雲が書いた松江大橋。
もちろん今は現代風に架け替えられているが、これも本に言い伝えが書かれている人柱にされた源助の記念碑がちゃんとある。
この橋を渡ると飲食店の多い京店商店街。ここから「ぐるっと松江堀川めぐり」の船に乗る。
名前の通り、松江城のまわりの堀をぐるっと回るこの観光船、乗り場は3ヵ所あって乗り降り自由、全部で40数隻もあるのであまり待つこともなく乗ることができる。
船頭さんの解説や歌を聴きながらめぐるこの船、乗る時は靴を脱ぐお座敷船なのだが
堀にかかる低い橋の下を通る時にはレバー操作で屋根が下がる、その時には乗客も頭を下げなければならないのが面白い。
狭い堀端では草刈りや花の手入れをしていて、その人たちが通りかかる船に丁寧にあいさつをしてくれる。
観光客の多い街とはいえ、その丁寧さになんだか感動する。
やがて内堀に出ると松江城が見えてくる。
ここで一度船を降りて松江城の天守閣へ。
1611年に完成したという松江城、黒い板張りの外観が男っぽくかっこいい。
どっしりとした桐の階段も、鉄輪で締められた寄木柱もいかにも頑丈そうで実用本位。
最上階は360度周りを見はるかす望楼になっていて、南には宍道湖が見える。
松江には漠然と女性的なイメージを持っていたが、この男らしい城には満足。
天守閣を降りて北へ向かうとお稲荷さんがあった。
八雲が勤め先の学校に通う際に通りかかっていたという城山稲荷。古い狐の石像が並ぶ様が面白かったらしいが、その前に並ぶ後ろ足を立てた狛犬は出雲スタイルだ。
さらに静かな道を行くとお茶屋さんがあった。
朝食を食べていなかったのでここで一休み。
いただいたのはのれんにもある「ぼてぼて茶」。茶せんで泡立てたお茶にほんの少量のお赤飯、豆、お漬物を入れて食べるという不思議なお茶。飲んでみるとかなり渋みがあるのでどんなお茶かと聞いてみると番茶だがお茶の花が入っているので渋いのだとか。
珍しいけど、おいしいとは言い難い。
さらに歩いて武家屋敷が並んでいたというお堀端の塩見縄手へ。
まずは小さな小泉八雲記念館。
展示室が一つあるだけだが、八雲の生涯がコンパクトに紹介され、奥さんや子供たちの手紙まで展示されているのがほほえましい。
八雲先生、日本には14年いたが日本語はあまり上手にはならなかったみたいで、日本人の奥さんは最後まで英語がしゃべれなかったらしい。それでも二人の間では「八雲語」でちゃんと意思の疎通ができていた、というのがなんだかいい。
この記念館の隣には八雲が暮らした武家屋敷。
松江と言えば小泉八雲だが、実は彼がこの地に滞在したのはわずか1年3か月、この家にはたった5ヶ月しか住んでいない。
それでもこの小さな庭がよほど気に入っていたらしく、我々の目にはごく普通の日本家屋の庭が八雲には愛すべき小宇宙だったというのが本を読み、実際にこの家に来てみるとよくわかる。
塩見縄手をさらにすすんで武家屋敷。
1733年に建てられた中級武士の社宅のようなものだが
来客用の表側に対して
裏側の家族の居住部分が質素なのが面白く
それでも屋敷内に湯殿があるところが庶民とはちがうのだろうなあ。
ぼてぼて茶だけではおなかが満たされなかったので武家屋敷の隣のそば屋「八雲庵」でお昼。
島根でそばと言えば割り子そばが定番だが、割り子はこの先に食べる予定が入っているのでここはあえて暖かいおそばを、と岩のりそばというのを注文。
来てみると岩のりの他に山芋とろろとネギがたっぷりのり、下のおそばは上品な細切り。おだしはちょっと甘めだが、そばの香りもよく実においしい。
出雲そば、毎日でも食べたいかも。
この後はまた船に乗って出発地点に戻り、今度は新しい宍道湖大橋を渡って宍道湖のほとりの白潟公園へ。
左手には島根県立美術館の大きな屋根が見え、右手には松江温泉のホテルが並ぶが、八雲の時代にはこの湖岸にはなにもなかっただろう。
この湖を船で渡って出雲大社へお参りに行った話を思い出しながらしばらくぼーっとしていたが、時間も早く、何より曇り空で有名な夕焼けは見られそうもないので腰を上げる。
松江駅に戻って特急スーパーおきで1時間半、鳥取駅へ。
このスーパーおき、特急とはいえ通勤電車のような車両で、たったの2両しかないのには拍子抜け。
今夜の宿は駅から徒歩10分の温泉宿「観水庭こぜにや」
鳥取は駅前に温泉が湧くのだそうで
ここもちゃんと源泉かけ流しとか。無色透明ながらちょっと癖のある匂いのお湯に合流したツアー同行者とゆっくりつかり
湯上りには鳥取県民がこよなく愛するという白バラコーヒー牛乳。これは本当にさっぱりとおいしい。
もう一つ、これまた鳥取と言えば、の二十世紀梨シャーベットの方はあまり香りを感じなかったけれど。
秘境添乗員のマニアック・ツアーはいよいよ明朝から始まる。
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松江駅前の観光案内所で地図をもらって、松江城方面に向かって歩き出す。
実は松江に来ようと決めてから泥縄式に小泉八雲をアマゾンで取り寄せて読んできた。
がこれが大正解。
お、これがお寺だらけの寺町だな、とか、これが八雲の書いていた橋だな、とか、何でもない景色にも興味がわく。
寺町で通りかかった鼕(どう)の倉庫。
京都の公家のお姫様が松江の殿様のところに嫁入りした際、町民が寂しくないようにとこの太鼓を鳴らしたとかで、町内ごと、松江全体では20以上あるのだそう。
橋を渡る下駄の音で朝目が覚める、と八雲が書いた松江大橋。
もちろん今は現代風に架け替えられているが、これも本に言い伝えが書かれている人柱にされた源助の記念碑がちゃんとある。
この橋を渡ると飲食店の多い京店商店街。ここから「ぐるっと松江堀川めぐり」の船に乗る。
名前の通り、松江城のまわりの堀をぐるっと回るこの観光船、乗り場は3ヵ所あって乗り降り自由、全部で40数隻もあるのであまり待つこともなく乗ることができる。
船頭さんの解説や歌を聴きながらめぐるこの船、乗る時は靴を脱ぐお座敷船なのだが
堀にかかる低い橋の下を通る時にはレバー操作で屋根が下がる、その時には乗客も頭を下げなければならないのが面白い。
狭い堀端では草刈りや花の手入れをしていて、その人たちが通りかかる船に丁寧にあいさつをしてくれる。
観光客の多い街とはいえ、その丁寧さになんだか感動する。
やがて内堀に出ると松江城が見えてくる。
ここで一度船を降りて松江城の天守閣へ。
1611年に完成したという松江城、黒い板張りの外観が男っぽくかっこいい。
どっしりとした桐の階段も、鉄輪で締められた寄木柱もいかにも頑丈そうで実用本位。
最上階は360度周りを見はるかす望楼になっていて、南には宍道湖が見える。
松江には漠然と女性的なイメージを持っていたが、この男らしい城には満足。
天守閣を降りて北へ向かうとお稲荷さんがあった。
八雲が勤め先の学校に通う際に通りかかっていたという城山稲荷。古い狐の石像が並ぶ様が面白かったらしいが、その前に並ぶ後ろ足を立てた狛犬は出雲スタイルだ。
さらに静かな道を行くとお茶屋さんがあった。
朝食を食べていなかったのでここで一休み。
いただいたのはのれんにもある「ぼてぼて茶」。茶せんで泡立てたお茶にほんの少量のお赤飯、豆、お漬物を入れて食べるという不思議なお茶。飲んでみるとかなり渋みがあるのでどんなお茶かと聞いてみると番茶だがお茶の花が入っているので渋いのだとか。
珍しいけど、おいしいとは言い難い。
さらに歩いて武家屋敷が並んでいたというお堀端の塩見縄手へ。
まずは小さな小泉八雲記念館。
展示室が一つあるだけだが、八雲の生涯がコンパクトに紹介され、奥さんや子供たちの手紙まで展示されているのがほほえましい。
八雲先生、日本には14年いたが日本語はあまり上手にはならなかったみたいで、日本人の奥さんは最後まで英語がしゃべれなかったらしい。それでも二人の間では「八雲語」でちゃんと意思の疎通ができていた、というのがなんだかいい。
この記念館の隣には八雲が暮らした武家屋敷。
松江と言えば小泉八雲だが、実は彼がこの地に滞在したのはわずか1年3か月、この家にはたった5ヶ月しか住んでいない。
それでもこの小さな庭がよほど気に入っていたらしく、我々の目にはごく普通の日本家屋の庭が八雲には愛すべき小宇宙だったというのが本を読み、実際にこの家に来てみるとよくわかる。
塩見縄手をさらにすすんで武家屋敷。
1733年に建てられた中級武士の社宅のようなものだが
来客用の表側に対して
裏側の家族の居住部分が質素なのが面白く
それでも屋敷内に湯殿があるところが庶民とはちがうのだろうなあ。
ぼてぼて茶だけではおなかが満たされなかったので武家屋敷の隣のそば屋「八雲庵」でお昼。
島根でそばと言えば割り子そばが定番だが、割り子はこの先に食べる予定が入っているのでここはあえて暖かいおそばを、と岩のりそばというのを注文。
来てみると岩のりの他に山芋とろろとネギがたっぷりのり、下のおそばは上品な細切り。おだしはちょっと甘めだが、そばの香りもよく実においしい。
出雲そば、毎日でも食べたいかも。
この後はまた船に乗って出発地点に戻り、今度は新しい宍道湖大橋を渡って宍道湖のほとりの白潟公園へ。
左手には島根県立美術館の大きな屋根が見え、右手には松江温泉のホテルが並ぶが、八雲の時代にはこの湖岸にはなにもなかっただろう。
この湖を船で渡って出雲大社へお参りに行った話を思い出しながらしばらくぼーっとしていたが、時間も早く、何より曇り空で有名な夕焼けは見られそうもないので腰を上げる。
松江駅に戻って特急スーパーおきで1時間半、鳥取駅へ。
このスーパーおき、特急とはいえ通勤電車のような車両で、たったの2両しかないのには拍子抜け。
今夜の宿は駅から徒歩10分の温泉宿「観水庭こぜにや」
鳥取は駅前に温泉が湧くのだそうで
ここもちゃんと源泉かけ流しとか。無色透明ながらちょっと癖のある匂いのお湯に合流したツアー同行者とゆっくりつかり
湯上りには鳥取県民がこよなく愛するという白バラコーヒー牛乳。これは本当にさっぱりとおいしい。
もう一つ、これまた鳥取と言えば、の二十世紀梨シャーベットの方はあまり香りを感じなかったけれど。
秘境添乗員のマニアック・ツアーはいよいよ明朝から始まる。
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島根・鳥取、陸続きなのに、なかなか行けそうで行けないエリアです。思っていたよりも見どころが満載ですねー。
私も、松江はなんとなく女性っぽいイメージでしたが、実用本位の男らしい城、天守閣にのぼってみたいです。
でも全体に上品で穏やかでいいところでしたよ。
ただお城はやっぱり男らしい方がかっこいいですね。
堀川巡りの屋根がおりてくる船、楽しかったですね。
でも、これからが本番なのですね?
何が出てくるのか楽しみです。
初めての山陰でしたが、人は穏やかで食べ物は美味しく、すっかり気に入ってしまいました。
ただしこの後はマニアック・ツアーなのであまり一般的な観光地には行っていません(笑)。