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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

道新フォーラム「札幌五輪招致の現在地」

2023-08-07 19:00:18 | 講演・講義・フォーラム等
 札幌五輪招致について市民の賛否は拮抗していると伝えられている。そうした中、8月3日(木)夜に関係者により表記のようなテーマでパネルディスカッションがあった。招致反対派が勢いづいているとも伝えられる中、登壇者の慎重な発言が目立った。
      
 この問題について、まず私の立ち位置を明確にしておきたいと思う。
 1964年の東京オリンピック、そして1972年の札幌冬季オリンピックは、両者ともに我が国初のオリンピック開催ということで国全体の熱気と共に、街が大きく変わる(成長を遂げる)契機となり、国民の多くがその成果を実感した。
 しかし、2020(実際開催は翌2021)年開催の東京オリンピックはご存じのように前回大会と大きく違い、たいしたインパクトを与えることなく終わった感が強い。その上、オリンピック史上に大きな汚点を残す汚職問題が生起し、そのことが札幌五輪招致にも大きな影を落としている現状である。
 2030年開催を目途とする札幌の2回目の冬季オリンピックも、東京の2回目と同じように1回目のような大きなインパクトを望むことは現実的ではない。そのことに加え、東京大会の汚職問題が大きな枷となっている。
 こうした現状からオリンピック開催に反対している人たちは、開催経費が地元の大きな負担となることを理由に反対している。
 しかし私は “スポーツの持つ力” を信じたいと思っている。“スポーツの持つ力” とは?現在の日本のように成熟した社会において、スポーツをする人、スポーツを応援する人、スポーツを観戦する人の数は非常に増加している。北海道という狭い範囲で考えただけでも、 ここ10数年の中で、コンサドーレ札幌をはじめ、北海道日本ハム、レバンガ北海道とプロのスポーツチームが次々と道内に誕生し、そのどれもが一応経営的に成功している、ということはそれだけスポーツを応援する人、観戦する人が増えている何よりの証拠である。つまり、スポーツは私たちの生活を潤し、勇気を与え、明日への活力を生み出す有力なコンテンツとなっていると言えるのではないだろうか。そうしたスポーツの世界最大の祭典がオリンピックである。
 札幌大会では東京大会を反面教師として、施設の更新は必要最小限に抑え、開催経費に税金は投入しないなどと表明し、大会運営を見直し「クリーンな大会を目ざす」と言明している。私はそのことを信じたいと思っている。
 そして私たちが住む札幌において、スポーツエリートたちが最高のパフォーマンスを発揮するところを間近にしてみたいと思っているのだが…。私は是が非でもとは言わないが、札幌で開催することができるなら、反対はしたくないなぁ、というのが私のこの問題に対する立ち位置である。
 前置きが長くなってしまったが、肝心のパネルディスカッションの様子についてその概要をレポートすることにする。
 パネルディスカッションの登壇者は、まず秋元克広札幌市長、オリンピック開催が都市にもたらす影響について研究されている石坂友司奈良女子大教授、冬季五輪にモーグル競技で3度出場の経験を持つ伊藤みき氏、札幌冬季五輪の大会運営見直し検討委員で弁護士の大川哲也氏、福岡県のスポーツ推進基金の専務理事である中平稔人氏の5人が登壇し、元NHKのスポーツアナで現在は法政大教授の山本浩氏がコーディネーターとして会を進行した。
 コーディネーターの山本氏はさすがに司会のプロである。この種の会はおおよそが予定調和的に進行する。この日もそうだったとは思うのだが、山本氏はある方の発言を受け取り、そのことと関連付けるように発言を促すというように、いわゆる「生きたパネルディスカッション」となるよう進行していたのが印象的だった。
 登壇した中で、秋元市長、伊藤みき氏、中平稔人氏は開催支持の論陣を張ったと思えた。特に秋元市長は招致の責任者として、開発型の五輪ではなく、五輪開催を機会に現代社会が抱える環境問題、共生社会の実現に向けて世界に提案する大会にしたいと語った。
 また、伊藤みき氏はアスリートの一人として、地元の声援を背に最高のパフォーマンスを発揮する選手たちに活躍の場を与えてほしいと訴えた。
 中平氏は行政マンとして非常に有能な方ではないかと拝察した。福岡県(市)は今、次々と世界規模の大会を誘致して福岡を世界にアピールしている。そうした体験から、中平氏は福岡の “子ども” に期待しているとした。子どもにとって世界水準の力や技に間近で接することは良い刺激となっていると強調された。そして大会の誘致、運営に頑張っている大人の姿を子どもに見せることができる機会でもあるとした。
 一方、大川氏は法律家の立場から、札幌の五輪誘致のためにはまずもって東京大会の汚職構造を徹底的に解決することが先決であると強調された。
 また、石坂氏は長野冬季五輪や東京大会の負の遺産に言及されたが、石坂氏自身が誘致そのものに対してどう考えるのかについての態度は明確にされなかったと私は解釈した。 
 会場は650人ものキャパシティがあるのに、新聞報道によると参加者は160人程度だったと報じていた。雰囲気からはそのうちのかなりが反対派の方々だったように感じられた。この誘致問題について一般市民の関心はかり低いことをうかがわせた。
 はたしてこの五輪誘致問題はこの後、どのように展開していくのだろうか?一市民として関心をもって見守っていきたいと考えている。
 なお、この日のフォーラムの様子についての詳細が近く北海道新聞に掲載予定と聞いている。関心のある方はぜひ詳報をお読みいただきたい。
※ フォーラムは写真撮影が一切禁止ということで文章のみの投稿となってしまいました。


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