北海道内に中学校未卒者が58,000人余りもいらっしゃるとは!?自分の不明を恥じるばかりだった。関係者の長年の願いが叶って、一昨年(2022年)北海道で初めての公立夜間中学校「星友館中学校」が開校されたが、この度同校を訪問する機会を得た。
※ 星友館中学校の入学案内パンフレットです。
7月11日(木)の夕刻、市立資生館小学校内に併設する形で開校した札幌市立の夜間中学校「星友館中学校」を訪問・見学した。
この催しは、私が所属する退職組織が年1回催す研修会の研修先として、今年は「星友館中学校」が対象となったために訪問することができたのだ。
研修会は学校長による学校の概要説明と、実際に1時限目の授業の様子を参観する形で実施された。
※ 学校長の説明を聞く、退職組織の会員の方々です。
私は以前に「遠友塾 自主夜間中学」も訪問した体験があった。しかし、学校長のお話を伺うと、「遠友塾」とは似て非なるものであることが分かった。
公立夜間中学校とは、学校教育法で定める昼間の中学校と同じ中学校であるという点である。「遠友塾」の方は、民間の方々によって生徒の実状などに応じ、様々な形で授業を実施しているのとは基本的に違うことを知らされた。(例えば「遠友塾」は週1回の登校だが、公立中学校は毎日週5日登校するというように…)
ただ生徒の実態は実に様々、多岐にわたるため教科指導は生徒の実態に沿って習熟度別に学年の壁を崩し、たくさんのコースを用意しているという。ちなみに星友館中学校では7コースが設けられていた。学年別・学級別に実施するのは「道徳・学活・総合」などだけだそうである。
時程は17時30分までに登校し、40分授業で毎日4コマの授業がある。その間、給食時間もある。下校は4時間を終えた21時になるとのことだ。
現在、星友館中学校には7月現在で113名が在籍していて、10代から80代までの生徒が通学しているという。このうち101名が札幌市内から、12名が札幌市外から通学しているとのことだが、市外の方は札幌市と覚書を交わした近郊の12市町村の方が通学可能となっているとのことだった。
教職員も正規の教員などが校長、教頭をはじめ17名(養護教諭、事務職員を含む)が配置され、さらには時間講師7名、そして生徒の学習をサポートするボランティアが40名登録されているなど手厚く生徒たちの学習を支えている。
学校長の丁寧な説明を聴いた後、17時30分から始まった1時限の授業の様子を実際に見て回った。校舎として併用している資生館小学校はとても余裕ある造りをしているため、中学校の教室は小学校とは別の教室に大人用の大きな机が用意されて授業を受けていた。
授業は前記したようにコース別に授業が展開されていたが、そのレベルは様々だったが、生徒たちは老若男女が机を並べ、ほとんどの生徒たちは真剣に学んでいた。
※ 資生館小学校の前には「星友館中学校」の校名も加えられていました。
素晴らしいなぁ、と思えたのは先生たちが教材研究をしっかりされて授業に臨んでいること伺えたことだ。学校全体が学校長を始めとして全体で新しい学校づくり取り組んでいることが窺えたことは嬉しかった。
さまざまな事情で中学年代に学校に通えることができなかった中年、老年の方。そして、形式的には中学卒業はしたもののほとんど学校に通えなかった10~20代の若者。そうした方々が一人でも多く「星友館中学校」で学び、学ぶ楽しさを体得して中学校を巣立ってほしいと願いたい。