田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

あなたも狙われているかも? ~ 消費生活相談から

2016-05-31 22:42:16 | 講演・講義・フォーラム等
 悲しいことだが、善良な市民を狙っての狡猾な詐欺事件が絶えないという。“強欲資本主義”が蔓延るこの世において、我々庶民は狡猾な手口から自ら守る術を持たねばならないということのようだ。講座において、さまざまなケースを聴いた。 

 5月25日(水)午後、北海道立消費生活センター主催の今年度第1回の「くらしのセミナー」に参加した。
 この回のテーマは「あなたも狙われているかも? ~ 最近の消費生活相談の事例から~」と題して、同センターの主任消費生活相談員である坂井千秋氏の講義を聴いた。

                        

 消費生活センターには年間でおよそ6千件あまりの相談が寄せられるという。相談件数が多いのは、「放送・コンテンツ等」が1千件あまりということで、内容はアダルトサイト、出会い系サイトなど携帯・スマホ絡みの相談で、まさに現代を象徴しているようにも思える。以下、「レンタル・リース・貸借」、「インターネット通信サービス」などが続いているという。

 具体例として挙げられた例を2、3例示してみると、

 ◇「有料動画サイトの料金が未納」とのSMSが来た。覚えがないので電話したら、「有料動画サイトに登録済みで、10万円発生しているので、後で返金するが手続きのために、コンビニでプリペイド型電子ギフト券を買って番号を教えて」と言われ、その通りにした。口座番号、住所も教えた。ネットで、詐欺との書き込みを見て、昨日警察に相談したが、お金は戻らないだろうと言われた。個人情報を教えたので、今後も請求があるかもしれないので不安」

 この事例に対して「全く覚えがないのであれば、架空請求と考えられる。サイトに連絡がつかない場合や、電子ギフト券を相手が既に利用済みであれば解決は難しい。二次被害に十分に注意する」とアドバイスしたという。
 また、このような被害に遭わないためには、◆知らないところからのメールは開かない。◆安易にサイトのURLにアクセスしたり、むやみに同意ボタンを押したりしない。◆サイトに電話やメールで連絡しない。個人情報は伝えない。◆サイトの話をうのみにしない。指示されても従わない。といったようなことに留意すべきとのアドバイスがあった。

             

 もう一つ、事例を紹介すると、
◇「本日、ネット通販で酵素食品を注文。定期購入だと気づき、キャンセルしたいと思い何度も電話しているが連絡が取れず困っている。商品を始めて購入する方限定のキャンペーンで、酵素食品が500円購入できるとあったので1袋注文した。注文後に最低4ヶ月継続の定期購入で、2回目以降は3,960円と分かった。キャンセルを申し出るために業者に電話しているが、これまで20回くらい電話をしても繋がらない。メールも3回したが、返信がない。消費生活センターから業者に電話してほしい」

 この事例に対して「通信販売は返品特約の有無などを広告に記載するというルールはあるが、クーリング・オフの規定はないので、原則広告内容に従わねばならない。広告が分かりにくい場合はそのことを伝えて交渉すべき」とアドバイスしたそうだ。
 そして、このような被害に遭わないためには、◆ネットの情報をうのみにしない。◆通販はとにかく広告や利用規約をよく見る。◆注文画面は保存したり、コピーを取っておいたりしてトラブルに備える。ということが大切とのアドバイスがあった。

 この他には多様なトラブルのケースが紹介された。
 つつましく生きる庶民の懐を狙う狡猾な詐欺的な事例が蔓延るという悲しい実態がある。
 利便性が増す世の中において、その利便性を逆手に取る犯罪も横行するようである。そうした犯罪から我が身を守るためには、私たち自身の中に隙を作らないことなのでは、と思う。
 つつましく生きながらも、私たちは心のどこかに旨い話はないものか、という潜在的な欲望もまた隠し持っているのではないか。そこを狙われるということだろう。
 君子危うきに近寄らず、と肝に銘じたいものである。
 その上で、不幸にも危機に瀕することがあった場合は、消費生活センターのような公的相談機関に一刻も早く相談することだろう、ということを今回学ぶことができた。

東側諸国のジェンダー問題を学ぶ 3

2016-05-30 22:44:21 | 大学公開講座
 ソ連時代から社会主義においては「平等」が追求されたと公式には言われているが、実態はかなり違っていたようだ。そして体制が変わりロシアになった今もジェンダーの問題は消えていない、というより若者が伝統的な価値観に疑問を抱いていないとも言う…。 

 第4回のスラブ研公開講座は5月20日(金)夜開講された。講師は大阪大学の藤原克美教授で、テーマは「現代ロシアの労働とジェンダー」 と題しての話だった。

            

 そもそも社会主義(共産主義)においては、男女間格差など存在せず、男女ともに平等に労働することが求められる社会であり、外に対しては全てが平等であると喧伝していた。
だからソ連においては、女性の高い社会進出、女性の高い就学率を誇っているところがあった。

 しかし、現実には「ジェンダー・セグリゲーション」という問題が横たわっていたという。ジェンダー・セグリゲーションとは、性別職域分離と訳されるようだが、簡単にいうと性によって職種が異なる状況を言うらしい。
 そのことによって、男性の仕事は高賃金、女性の仕事は低賃金、という実態があり、さらには職階の分断があり、職場において女性が指導的立場に立つことは難しい状況があったということだ。
 その上に、家庭内における家事は伝統的に女性が担わねばならず、男性の主たる家事労働は「ゴミ出し」くらいだったそうだ。

 ソ連が崩壊し、民主国家ロシアが誕生しても事情はあまり変わらなかったようだ。
 ジェンダー・セグリゲーションの考え方は根強く今のロシアに残っているという。
 2013年に調査した「ジェンダー指数」によると、ロシアは187ヶ国中、52位だそうだ。(ちなみに日本は25位だという。日本もけっして自慢できるような状況ではない)

            

 ところが、こうした問題についてロシアの学生にアンケート調査した結果、面白い傾向が見て取れたという。それはロシアの現状に対してネガディブに捉えるよりは、むしろ肯定的にとらえている若者が男女ともに多数を占める結果となったそうだ。
 講師は、若者の中に伝統的価値観が色濃く残っているとした。
 
 しかし、そうした価値観を肯定しながらも、高い教育水準を獲得したロシアの女性は積極的でキャリア志向が強いという。
 つまり旧来の価値は認めながらも、そのような現状から脱出しようとしているキャリア志向の女性がたくさんいるということのようだ。
 翻って日本はどうだろうか?
 社会の現況はロシアの現状と大同小異なような気もする。その中でも健闘している女性が目立ってきた昨今である。社会的にも有能な女性の進出を歓迎する雰囲気が出てきたようなので、これからは日本においてもこれまで以上に女性の活躍が見られるのかもしれない。それはロシアにおいても事情は同じなのでは、と思われる。

夏色花壇に衣替え

2016-05-29 21:16:10 | ボランティア
 この二日間は老体にはけっこうキツイ二日間だった。というのも、昨日、本日と二日連続していつも取り組んでいるボランティアに関わる活動を行ったからだ。しかしその活動によって、私たちが維持・管理している花壇が夏色に衣替えすることができた。 

 私たちのボランティアグループ“近美を愛するブリリアの会”は、近代美術館前の歩道を清掃するだけではなく、近美前にある花壇の維持・管理も自主的に行っている。(同時にマンション周囲の街路樹升の花壇は基本的には私たちの管轄外なのだが、自主的にお世話している)

 今日(29日)はそれらの花壇に花苗を植え付ける予定になっていた。
 そのためには、事前に花壇の土を耕し軟らかくしておかねばならない。
 当初、25日(水)に通常の活動日を予定していたのだが、雨のために中止となり、その代替えを昨日28日(土)に設定したのだ。

 昨日は花苗を植え付けする5つの花壇の土を、私を含めて3人の男性会員で耕した。
 それとともに、近美の庭に立つ大きなポプラの木から発生する大量の綿毛(種子)がART文字やその周囲に植えているラベンダーにまつわり付くことが私たちの大きな悩みの種になっていたので、それを防ぐ工夫を施した。
 その工夫とは?
 ART文字全体をネットで覆ってしまうことである。そのために会費からネット購入代を捻出して、昨日それをART文字のところにかける作業を行った。そろそろポプラの綿毛が舞う季節である。どれだけの効果があるか?その効果を見守りたいと思っている。

               

               ※ 私たちがあれこれと考えた末の防綿毛ネットなのだが、はたしてその効果は?
               
               

 そして今日(29日)、5つの花壇に花苗の植え付け作業を行った。
 前述したようにマンション周囲の街路樹升内の花壇は私たちの管轄外なのだが、併せてお世話しているので、この作業には毎年マンション住民全体に作業の参加を呼びかけてはいる。しかし、呼びかけに応じて参加する人は多くはない。今日の作業には会員外から一人だけ参加していただけた。これが都市のマンション住民の実態なのかもしれない…。

               
               ※ 小さな幼稚園児も加わっての花苗の植え付け作業です。

 花苗の種類は、夏季間咲き続け、維持・管理の簡単なベゴニア・センパフローレンスを毎年植えている。自分の花壇であれば、いろいろ試したいのだが…。
 9人の参加者で手分けして5つの花壇の植え付けを終わらせ、その後一部の花壇に柵を設置して作業を終えた。

               
               ※ 白い柵で囲んでハイ完成です!花苗代は自前ですよ。
               
 これだけの作業をするにも、その準備から後片付けまで含めると、けっこうな作業量になる。今の私は体のあちこちに痛みが残っている。
 しかし、心地良い痛みでもある。
 夏の間、道行く人に花を楽しんでもらい、私たちもまた楽しみたいと思っている。

               
               ※ “MUSEUM”のところも柵で囲いました。

コンサの強さは本物かも?

2016-05-28 22:41:18 | スポーツ & スポーツ観戦
 北海道コンサドーレ札幌は、今日の対山口戦に3対1で勝利し、これで1引き分けを挟んで7連勝! 通算でも10勝2分2敗の勝ち点32で、J2で堂々の首位を走っている。今日の試合を観ていると、今年の強さは本物かも?という期待を抱かせてくれる。 

            
          
 コンサ観戦から遠ざかって久しいが、首位に立ったというニュースを聞いてから、間近で観戦しなくてはと思い、今日のレノファ山口戦を急遽観戦することにした。

            
            ※ 試合開始前のコンサイレブンです。コンサの右から3人目がジュリーニョ選手です。

 観戦するにあたって、今日はこれまでとは違った形での観戦を試みることにした。
 それは一人の選手にフォーカスしながら観戦するという方法である。
 その一人の選手とは、今年加入し、新聞の戦評欄で評判の高かったジュリーニョ選手に焦点を当てながら観戦しようと考えたのだ。
 ジュリーニョ選手は29歳とけっして若い選手ではないが、ブラジルのたくさんのチームを渡り歩き、経験の積んだテクニシャンということだった。

            
            ※ この方が本日の主人公ジュリーニョ選手です。
            
 彼の位置はトップ下というよりは、都倉、内村と共に三枚並んだFWの右側といったポジションだった。(頻繁にホジションチェンジをしていたが)
 前半、ジュリーニョの動きは、他の二人に比べてけっして目立ったものではなかった。それは彼の位置取りが悪いのか、それとも彼にボールが集まらなかったからなのか?
 時おり彼にボールが収まったときには、ドリブラーの片りんを見せてくれる場面もあったが…。

            
            ※ 内村選手とキックオフを待つジュリーニョ選手です。

 結局、前半は両チームとも無得点で終えた。
 チーム全体としては慎重に試合に入った感があり、惜しくも得点チャンスを逃す場面もあったが、反対に相手にはつけ入る隙を与えないような試合運びだった。

 後半、ジュリーニョが躍動した。
 まず後半3分、彼にボールが渡ると鋭いドリブルからペナルティエリアに突入すると、相手はたまらず彼を押し倒し、PKを得て札幌に1点をもたらした。(PKは都倉選手が決めた)
 続いて8分、これも今年ブラジルから加入したMFマセードのセンタリングに内村選手が頭で合わせて2点目をゲットした。

            
            ※ ジュリーニョが得たPKを都倉選手が決め、それをたたえる選手たち。迎えたのは9番小野選手です。

 そして後半34分、パスを受けたジュリーニョがワントラップして振り向きざま、右足を一閃すると弾丸ボールが相手ゴールに吸い込まれるというスーパーゴールが生まれた。

            
            ※ スーパーゴールを決め、得意満面のジュリーニョ選手です。

            
            ※ そのジュリーニョ選手を讃える都倉選手です。

 その後、札幌も相手にPKを与え、3対1の勝利となった。
 今日の試合を観戦していて、札幌の安定した試合運びが印象に残った。連勝を続けていることによって生まれた効果だろうか?
 安定しているという札幌の守備陣に目を配りながら観戦する余裕が私にはないため、その良さを感ずることができないのだが、私の目からは増川、石井両選手の献身的な守備が目立ったように思えた。

            
            

 J2は全42試合である。これまで消化した試合が14戦、まだ前半戦の前半である。それでも勝ち点で2位以下を5点も引き離しているのは大きい。
 これからどのような戦いが待っているか予想はつかないが、今年は期待が持てそうである。新加入のジュリーニョ、マセード選手らの活躍もあり、今年の強さは本物かもしれない…。
 ここ数年来ドームから足が遠のいていたが、今シーズンはドーム通いが増えるかな?

            
            ※ 選手たちのウイニングウォークを遠くから見つめる野々村社長も手ごたえを感じている様子ですね。

東側諸国のジェンダー問題を学ぶ 2

2016-05-27 22:47:18 | 大学公開講座
 北大スラブ研の講座において、チェコにおけるジェンダーの実態、そして日本とも共通する少子化の問題について学んだ。遠く離れたチェコの国だが、意外にも日本と共通する悩みを抱えているようだ。 

 第3回のスラブ研公開講座は5月18日(水)夜開講された。(第2回講座を私は欠席)講師は明治学院大の中田瑞穂教授で、テーマは「チェコと日本 - 少子化とジェンダー役割」   というものだった。

                           

 チェコと日本では、社会経済的な背景など国情が違うことから、比較する意義がないように見えるが、意外な共通点が存在するという。
 それは、両国とも1990年代から2000年代にかけて急速な少子化が進んだ点だそうだ。
 チェコは社会主義体制をとっていたときは日本より高い出生率だったものが、体制が民主化した後急速に出生率が低下したという実態があるそうだ。
 講義はその背景について論及するものだった。

 社会主義体制におけるチェコ(当時はチェコスロバキア)は、理論上「男女平等」が謳われ、女性の高い就業率、共同保育、職場の食堂での昼食など、育児・家事の部分的社会化が進んでそうだ。
 一方で、そのことは女性であっても労働しないということが容認されない社会であったともいう。そして、家庭においては育児・家事労働は専ら女性が担うという、女性にとっては二重の労働負担が課せられるという実態でもあったそうだ。
 そうした実態ではあっても、チェコにおいてはジェンダー役割意識が浸透していて、それを補完する社会政策が実施されていたため、ある種の安定化は図られていたようだ。

 ところが体制が転換して民主主義体制となったことで事情は一変したという。
 女性の労働は義務ではなくなったが、企業が民営化、合理化する中で、家事や育児を行いながらの女性は効率的ではない労働者として敬遠するようになったらしい。
 さらに政府も児童手当を、母親の不就労を条件としたり、公営の保育所を廃止したりと、女性の労働市場から撤退するように誘導する政策をとった。

              

 こうした中でも女性が就労を望んだ場合(社会主義体制の時代を経たことで、就労が当然という考え方が浸透している)は、家庭との両立が困難となり、晩婚化、少子化が進行した結果、急速な出生率の低下を生んだそうだ。
 このことは、国情は違えども日本の実態とも通底しているところがあるように思える。

 最後に講師はチェコの少子化への処方箋を示した。
 一つは、女性の就労を社会としても評価し、政策上にも生かしていく必要を強調された。それでも不就労を選択する場合は、手当などを手厚くする必要性を強調した。
 二つ目として、育児、家事を男女が均等に負担する社会の実現(ジェンダー役割意識からの脱却)
 三つ目として、女性に対する労働条件のフレキシブル化、つまり子どもがいる男女も、いない男女も対等に働ける環境の実現。(保育園の充実も含めて)

以上三つを挙げた。
 これらの処方箋は、日本の少子化対策にも当てはまるのではないか、と思いながら聴いていた。

映画 162 64(ロクヨン) 前編

2016-05-26 21:13:04 | 映画観賞・感想

 久々に極上のエンターテイメント映画を観た思いである。集中力のきわめて乏しい私が最初から最後までスクリーンに釘づけなったほどだ。原作、監督、キャスト、全てが噛み合っていて久々に映画の醍醐味を味わった。後編も楽しみである。 

          

 映画「64(ロクヨン)」は早くから評判で、私も一日も早く観たいと思っていたが、なかなか時間が取れず、今日(26日)午後、ようやく時間を作りシネマフロンティアで観ることができた。

 映画「64(ロクヨン)」には、魅せる要素がたくさん詰まっていた。
 まずは主題である時効目前に迫った昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件、主人公の三上が属する県警警務部と刑事部の対立、県警広報官である三上と記者クラブの対立、さらには三上自身の娘の失踪事件、などなど…。
 それらが複雑に絡み合い、ストーリーを深いものにしている。

               

 そして演技の達者な豪華なキャスト陣である。
 主演の佐藤浩市はもちろんだが、脇役陣が凄い! それらを列記してみると、椎名桔平、奥田瑛二、遠藤賢一、仲村トオル、三浦友和、吉岡秀隆、綾野剛、榮倉奈々、瑛太、夏川結衣、永瀬正敏…、それはもう綺羅、星のごとく名優たちの名が並ぶ。
 特に主演の佐藤浩市はまったくのはまり役という感じで、前編の後半、記者クラブを相手に渡り合う場面は、まさに佐藤浩市の真骨頂といった場面だった。

 映画を観終えたばかりの私は少々興奮気味なのだが、一度観たかぎりではストーリー全体を完全に把握しているとは言い難い。
 順序は逆なのだが、映画を観終えた帰りに書店に立ち寄り、早速横山秀雄作の「64(ロクヨン)」上下2巻を購入してきたので、これから全体を把握し、後編に備えたいと思っている。
 後編は6月11日、ロードショー開始という。今度は遅くならないうちに是非とも観たいと思っている。

               

 おっと、書き忘れました。主題歌は小田和正が「風が止んだ」という曲で参加している。


東側諸国のジェンダー問題を学ぶ 1

2016-05-25 20:06:40 | 大学公開講座
 ソ連・東欧が社会主義であった時代から、彼の国では女性の就職率も高く、資本主義国に比べて男女平等が進んでいるように見られていた。しかし、実態はどうだったのか?北大の公開講座で学んでいる。 

 北大のスラブ・ユーラシア研究センター(通称:スラブ研)の今年度の公開講座が始まっている。7回の講座のうち、すでに5回を終えたのだが、なかなかレポできなかった。受けた講座はやはり記録に留めなくてはと覚悟を決めて、これから何回かに分けてレポすることにした。

 今年のスラブ研の公開講座のテーマは「スラブ・ユーラシア社会におけるジェンダーの諸相」というものである。つまり、東側諸国(スラブ・ユーラシア圏)における男女の差異はどのように語られ、どのような実状なのか、ということについてさまざまな国やいろいろな観点から解き明かすというのが、今回の公開講座の趣旨である。

 最初に各回の日程と講義題目を記すことにする。

 ◇第1回 5月9日(月) 「女たちの祈り-女性が支え、男性が司る正教会の現在と歴史」
 ◇第2回 5月13日(金) 「バルト諸国の男女間格差、女性間格差-構造と認識から考える」
 ◇第3回 5月18日(水) 「チェコと日本-少子化とジェンダーの役割」
 ◇第4回 5月20日(金) 「現代ロシアの労働とジェンダー」
 ◇第5回 5月23日(月) 「真実を求めて-ノーベル賞受賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの世界と女性たちの『声』」
 ◇第6回 5月27日(金) 「現代ロシアの家族政策-国家における『母』の役割を中心に」
 ◇第7回 5月30日(月) 「東欧における女性の現状-データをもとに考える」
といったラインナップである。
 このうち、私は第2回目を公務のために受講を断念したが、他はこれからのものも含めて全て受講する予定である。

 今回は第1回の講義を務めた北大スラブ研の助教である高橋沙奈美氏「女たちの祈り-女性が支え、男性が司る正教会の現在と歴史」についてレポしたい。

                   
             ※ 講師を務めた高橋沙奈美助教です。本日の写真はいずれもウェブ上から拝借した。

 ロシア正教会は1917年のロシア革命によって誕生した共産主義政権によって厳しい弾圧に遭い、その苦難はソ連が崩壊する1991年まで続いたことは多くの人が知る事実である。
 そうした弾圧下においてロシア正教会を支え続けて来たのは女性であったと高橋氏は説いた。
 ロシア正教会は女性司祭を認めていないという。弾圧下において男性司祭は処刑されたり、亡命したりして司祭が不足した事態に遭って、女性は長老となって信者集団を支え、教会の維持のために奔走し、時には司祭に代わって洗礼なども行っていたという。苦境の中において、ロシア正教会を守り続けたのはまさしく女性だったわけだ。

             
             ※ ロシア正教の高位聖職者と考えられる人の姿です。

 そしてソ連が崩壊し、ロシアとなった今、男性の司祭が再登場し、ロシア正教会はロシア人の精神的なよりどころとして復活したという。
 すると、男性である正教会の高位聖職者は、女性はスカーフで覆い、素肌を露出するような服装は避けて、長いスカートをはくべきであり、常に慎み深く、従順で、家庭を守ることを「理想の女性像」として提示するそうだ。
 こうした主張は保守層からは歓迎される一方、それに反発する女性ジャーナリストや芸術家、研究者らがそうした教会の姿勢に疑問や反発する動きを活発化させている現状があるそうだ。

             
             ※ 典型的なロシア正教に殉ずる女性の姿です。

 ロシア正教会に帰依する女性たちにとってあまりにも理不尽な教会のあり方ではないだろうか?
 そうした現状に異議を申し立てる人たちが出てきたことは、時代の要請であり、当然なことと思われる。
 はたしてロシア正教会はジェンダーの問題に正対して変容することができるのだろうか?

ただいま満開“天神ふじ”

2016-05-24 19:49:33 | 環境 & 自然 & 観察会
 「札幌市豊平区平岸の天神山の麓にある『天神藤』が見頃を迎えた」という道新の記事に誘われて訪れてみた。あたりに香しい香りを漂わせ、涼しげな薄紫の花が藤棚からこぼれるように咲き誇っていた。 

          
          
 今日(5月24日)午後、清田区に所用があったのだが、その帰りに天神山の麓にある「天神ふじ」に寄ってみた。今朝の北海道新聞で「満開を迎えた」と出ていたからだ。
 私たちが訪れたのは午後4時過ぎだったので、それほど多くの見物客はいなかったが、昼間は相当な見物客が訪れたのでは、と思われたので駐車場の整理員の方にそのことを質すと、うんざりした顔で頷かれた。

          
          ※ 「天神ふじ」がある藤棚のエントランスです。

 記事によると、最近までは個人所有だったものを、近年札幌市に売却して札幌市の所有地となったという。そのこともあって、一般開放がされたようだ。
 藤棚に近づくと、あたりに香しい香りが漂ってきた。そして藤棚にはこぼれんばかりに藤の花が咲き乱れていた。
 午後4時を回り、光はやや弱くなっていたが、花色が薄く明るい紫色のためか、それなりにきれいに撮ることができた。

          

     ※ この大きく太い藤の根元を見てください。長い風雪に耐えてきたことを伺わせてくれ、荘厳ささえ感じられます。

          

 驚いたのは、周囲25メートル四方に広がった藤の花が一つの株から伸びていることだった。その株の大きいこと! 傍にあった説明板によると樹囲が1m50cmということだ。
 その説明板の説明を写してきたので、転写することにする。
 
   天神ふじの由来 
 此の天神ふじは樹齢百五十余年を経た北海道最古の藤です。
 開拓に入植した先人が盆栽として内地より持ってきたのを、此の地に植えかえ、爾来風雪に耐え現在は樹囲一米五十糎、八米四方の棚に毎年見事な紫色の花を咲かせております。
 昭和四十年 時の札幌市長 原田与作氏がご来園の折この見事な藤を「天神ふじ」と命名された。
                                                      敬 白
   昭和四十五年六月壱日


 それではたっぷりと見事に咲き誇る「天神ふじ」をご覧あれ!

          

          

          

          

          
          ※ 藤の花も見事でしたが、周りで咲くツツジ類も色鮮やかにコントラストをなしていました。          

北海道遺産“じんぎすかん”命名の由来は?

2016-05-23 22:51:30 | 「めだかの学校」関連

 北海道人が愛して止まない(?)“じんぎすかん”の命名の由来には諸説紛々あるらしい。そうした中「これが真説!」というお話を聞いた。今日の「めだかの学校」は“じんぎすかん”を学び、“じんぎすかん”を食するという粋な講座だった。 

 夏季の「めだかの学校」は教室のある「かでる2・7」を飛び出して、教室外での学習も企画されることがある。
 今日(5月23日)の講座は豊平区にある八紘学園を会場に行われた。
 八紘学園はその創始者である栗林元次郎が学園の敷地内に、札幌で初めてじんぎすかん焼きを供する「成吉思汗倶楽部」を作ったことで知られている。いわばじんぎすかん料理の札幌のルーツとも言える存在である。

          

 そこで「めだかの学校」では、まず栗林記念館々長の佐藤利雄氏から「北海道遺産“じんぎすかん”を語る」と題して、しんぎすかんに関する薀蓄を学んだ。
 佐藤氏からじんぎすかんのあれこれを学んだが、特に興味深かったのが“じんぎすかん”の命名の由来である。
 その由来について触れるとき、佐藤氏は北大の某教授が“じんぎすかん”に関する膨大な研究成果(?)をウェブ上に公開していることを教えてくれた。そのサイト名は「現場主義のジンパ学」というものだ。某教授はそこで「尽波満州男(じんぱ ますお)」と名乗っている。その名が示すように研究といってもそれは余技であり、パロディ的でもあるのだが、さすがに大学の先生である、余技にしても奥が深い。

          

 講師の佐藤氏は、そこで語られている命名伝説が今のところ真説ではないかと紹介してくれた。その原文を転写することにする。

「この料理は、今から二十年前、當時北京に居住して居た井上一葉といふ料理通によつて発見された。井上氏は『正陽樓』といふ料理屋に於て、偶然にもこれを知つて、在留邦人間に吹聴し先づ鷲澤與四二氏を誘ひ出して賞味した。鷲澤氏は當時、時事新報の北京特派員で、現に同社の顧問であり、雑誌『べースボール』の社長である。その席上
 『支那那に遺された唯一の原始料理だ、これを食べると、なんだか三千年の太古に還つたやうな氣がする』
 だが『烤羊肉では陳腐だ、何んとか奇抜な名をつけやうぢやないか』
 『三千歳(みちとせ)とはどうだ』
と両人の間に話が纏まり、『三千歳』といふ新しい名称がつけられた。このことは、當時北京の邦人間で発行されて居た『燕塵』といふ雑誌で発表され、忽ち評判となつた。爾來これを食はざれば支那通にあらずといふ風に流行しだした。
 それから程なく、鷲澤氏は、折柄來遊せる人々を、此樓に招待して『三千歳』に舌鼓を打つて居ると、或人が『僕が蒙古を横断した時に、蒙古人は、牛糞の乾燥した燃料を用ゐて、羊肉をあぶつて食つて居たのを見た。よく聞くとジンギスカンが陣中で、好んで食つたといふことだ』
と話したので、鷲澤氏は、早速、
 『それでは「成吉思汗料理」と名づけやうではないか』
と提議、満場一致で命名された。このことも當時の『燕塵』誌上で発表されたので、遂々成吉思汗の遺物の如くに誤り伝へらるるに至つたのである。」

 「現場主義のジンパ学」には、これ以外の説も含めて、じんぎすかんに関するあらゆる研究が網羅されているので興味のある方は覗いてみてほしい。

          

 1時間半の講義を終えて、私たちは八紘学園の敷地内にある「ツキサップじんぎすかんクラブ 白樺」に移動して、焼いた肉にタレを後から付ける「月寒(札幌)式」で味わった。
 天気も良く、気温も上がった一日だったので、肉も旨かったが、ビールも旨かったぁ…。

          

          


素晴らしいハーモニー西区オーケストラ

2016-05-22 23:46:10 | ステージ & エンターテイメント
 3年ぶりになるが、西区オーケストラの定期演奏会を聴いた。アマチュアながらその技量の素晴らしさに感銘したことを記憶していたが、今回もまた素晴らしい音を私の耳に届けてくれた。今回はまた、その素晴らしさに加え、札響のコンマス大平まゆみさんがプロの凄さを見せつけてくれたステージでもあった。 

   

 音楽好きのH氏からの誘いで、昨夜(5月21日)、キタラにおいて西区オーケストラの第30回の定期演奏会を聴いた。
 無料招待券が配布されていたとはいえ、開場前から長蛇の列ができ、期待の高さをうかがわせてくれ、開演時にはほぼ満杯の状況だった。
 
 演奏された曲は次の3曲だった。
 ◇ヴェルディ作曲 歌劇「ナブッコ」序曲
 ◇チャイコフスキー作曲 ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品35
 ◇サン=サーンス作曲 交響曲第3番ハ短調「オルガン付」作品78

               

 まず1曲目の「ナブッコ」で魅せてくれた。曲全体は静かな演奏なのだが、どことなく緊張感が漂う中で進行し、最後に爆発するがごとく全ての楽器がフル稼働して大音量の中で演奏を終える様は、曲自体の素晴らしさもさることながら、西区オケの技量を十分に発揮したもので、その後の曲に期待を持たせてくれた。

 2曲目がこの日のメインだったのだろうか?
 ゲストに札響のコンサートマスターを務めるヴァイオリニストの大平まゆみさんを迎えて共演するステージだった。
 このステージは何といっても大平まゆみさんの独り舞台だった。
 彼女の演奏はこれまでも何回となく聴いていて、彼女の超絶技巧も目の当たりにしていた。
 この日のこの曲は、多くのヴァイオリニストからは敬遠されるほどの難曲だという。
 なるほどその指使いを見ていると、ちょっとやそっとの鍛錬ではおよそ弾き熟すことは至難の業と思われるような曲だった。その超絶技巧が第1楽章から第3楽章まで続くのだ。
私は超絶技巧にも息をのんだが、それを長時間弾き熟す彼女の恐るべき体力と集中力に驚嘆した。
 華麗なステージ衣装と華やかな容姿に恵まれた大平めぐみさんだが、その陰では恐るべきほどの鍛錬を自らに課していることをうかがわせてくれるような凄さだった。
 彼女が多くのヴァイオリニストからリスペクトされているんだろう、と思われる光景を目にすることができた。演奏が終わったとき、大平さんは西区オケのコンサートマスターに歩み寄り握手を求めた。そのとき、西区のコンマスはすがりつくような仕草で大平さんと握手をしていた。それは、憧れのヴァイオリニストと共演できた喜びを身体いっぱいで表現しているように私には映った。
 忘れずに言っておきたいことは、大平さんの見事の演奏を西区オケはしっかりと支え、負けずに重厚な音を会場に届けていたということだ。

               

 すっかり感動してしまった私に、第3曲目は残念ながらあまり印象には残っていない。しかし、どの曲においてもアマチュアレベルとしては第一級の演奏を披露してくれたことは間違いない。
 会場の聴衆が大歓声で彼らの演奏を讃えていたことからもそれはうかがえた。

 それぞれが仕事を抱えながら、本格的な音楽を追求するということは大変なことだと思われる。しかし、本格的に音楽を追求する趣味を得、ある意味で生きがいを獲得した楽団員を羨ましくさえ思う。
 若々しい指揮ぶりが印象に残った鎌倉亮太氏と共に、これからも素晴らしい音楽を追求していってほしいと願った5月21日の夜だった。