赤茶けて見える写真の一枚一枚は私の青春の想い出そのものだった。今から52年前の1968年夏、私はヨーロッパの各国を彷徨っていた。その時の白黒写真を昨夜ようやく整理した。そしてセピア色の想い出は今私に新たな夢を与えようとしている…。
※ ノルウェーのNarvikを目指して北上を続けているとき目にした北極圏域を示す標石です。
昨日のブログで私は、自分の部屋の「断捨離」を敢行しなければと宣言した。そして宣言通りに本棚から溢れかえっている主として文庫本を中心に整理にかかった。ところがその作業の最中に心変わりしてしまった。「以前から気になっていた学生時代の欧州・アジアの旅の多量の白黒写真をまずはなんとかしなくちゃ」と…。それは段ボールの箱の中に何もせずに数十年間放っておかれた白黒写真だった。
早速、ホームセンターに走って写真用ファイルを買い求め、整理にかかった。写真は300枚程度あったろうか?不思議なことに写真によってセピア色に変色したものもあれば、まだ白黒の状態を保ったものもあった。ところがそれらの写真のほとんどはソ連と北欧のものばかりだった。私は白黒写真とともに、カラー版のスライド用のカメラも持参していた。こちらはヨーロッパ、中近東、アジアと私が辿ってきたすべての国が網羅されているのに、白黒写真はソ連と北欧のみなのである。今となってはその原因は不明だが、カメラが故障してしたか、何かの原因なのだろう。
※ ノルウェーの首都オスロ郊外に聳える有名なホルメンコーレンのジャンプ台です。
写真の一枚一枚を眺めると当時のことが生々しく蘇ってきた。共産主義国家ソ連の仰々しさと市民の沈んだ顔、北欧の人々の開放的な笑顔、等々…。野宿を交えながらヒッチハイクで懸命に白夜を体験しようとノルウェーの北極圏の町Narvikを目指したこと。二か月もの間、スウェーデンのストックホルム郊外の町Nynashamnのレストランでアルバイトをしたこと、等々…。50数年前のことが次々とフラッシュバックして私の瞼を横切った。そして私は今、できれば一瞬でもあの時に帰りたいと思い始めた。
50数年前の旅以来、私はスイスとギリシアには再訪しているが、最も長い時間を過ごした北欧を再訪することはこれまで叶わなかった。
実は昨年暮れに、今年の夏にかの地を旅することを計画した経過があった。私は思い出の地NarvikとNynashamnを旅程に入れた旅程を立て、旅行社に宿と交通機関の手配を依頼した。ところが数多く個人旅行を手配している旅行社でも少々マニアックな私の計画では「手配することが不可能」という回答をいただき、断念した経緯があった。今となっては、それが結果としては良かった(?)のかもしれない。とてもとても旅する状況にはないからだ。
※ モスクワ大学の前で同行の日本人と記念撮影
ということで、頼みの旅行社が当てにならないとなると、これは自分で細部まで計画を立て、自分で手配もしなければ私の夢は夢として終ってしまいそうである。来夏を目指して、その実現のために試行錯誤し、あれこれと模索してみること、これも「ステイホーム」期間中に取り組むことの一つとなりそうである。努力してみたい。