田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

札幌Cafe紀行 21 Cafe la Tour (カフェ ラトゥール)

2010-07-31 19:05:44 | 札幌Cafe紀行
 ダイエー百貨店の一階に位置するCafé la tourですが、いわゆるデパートの喫茶スペースとは違い本格的なカフェです。ダークブラウンを基調とする店内は落ち着いた雰囲気が漂っていました。

        
        ※ 「カフェ ラトゥール」のエントランスドアです。しかし、後日
         店の前を通ったところ、写真のドアは店側からの入り口で、
         正式なエントランスは道路側に立派な入り口がありました。
 
 この店も札幌市民カレッジを受講後に友人3人と訪ねました。
店は確かにダイエー百貨店の一階に位置していますが、百貨店の中にあるのではなく、壁を接しているといった造りです。
 ですから買い物に来た人たちに「ちょっとお寄りください」という雰囲気の店ではなく、本格的にコーヒーを味わいたい人に向けたカフェという店でした。

        
     ※ ご覧のようにテーブル、椅子、壁、全てがダークブラウンに統一されています。

 店内はどちらかといえば薄暗く、ダークブラウン系の壁や調度がいっそう明るさを消しています。ガイド誌によるとアールデコやアールヌーボー時代の照明が灯されているとか…。
 そして壁面には「ウェッジウッド」や「ロイヤルコペンハーゲン」のカップやお皿がずらーっと並べられています。

        
        ※ 高価そうなカップやお皿が並べられていました。

 メニューを見ると全てのコーヒーが「オールドビーンズで抽出されている」とありました。スタッフにその点を質すと「生豆を2~3年寝かすことによってタンニンや渋味、雑味が除かれる」とのことでした。
 そこで3人ともマイルドコーヒー(500円)をオーダーしました。

        
        ※ 私には少し渋みを感じたコーヒーでした。

 さてその味ですが、私の舌の感覚では「マイルドであってマイルドに非ず」という感じで、渋味が少し強いように思われました。コーヒーの味を売りにしている店ですから、私の舌が通ではないということなのでしょう。
 コーヒー通を自称する方はぜひ一度訪れてみてほしいお店です。

【カフェ ラトゥール データ】
札幌市西区琴似2-4 ダイエー琴似店1F
電  話 011-644-0019
営業時間 9:00~21:30
定休日  無
座  席 40席
駐車場  有り(施設P100台)
入店日  ‘10/07/24


江別市セラミックアートセンター

2010-07-30 21:45:56 | 札幌(圏)探訪
 風炉釜や茶釜、ガスコンロ、蓄音器の針や鉄筆の先、あるいは学生服のボタンなど、これらがすべて陶磁器で作られていた時代があった、と言われたらあなたは信じますか?そうしたものがつい半世紀前の日本で作られていたのです。

        
        ※ 特別展の開催を知らせるポスターです。
 
 終戦65年企画「代用品が生み出された時」という特別展が江別市で開催されていると聞き、江別市セラミックアートセンター(江別市西野幌114番地)を訪れました。

        
        ※ 江別市セラミックアートセンターの前景です。

 特別展の趣旨は、第二次世界大戦中に日本は不足する金属製品を国民の中からかき集め武器弾薬に使用しました。不足した金属を補う形で国民は陶磁器を使ってさまざまな代用品を作り出したということです。
 そうした代用品の数々を、今回は瀬戸市の博物館から借用して展覧会を開催したということのようです。

 観覧料500円(常設展も観覧可能)を払って会場に入ると、陶磁器で作られたという数々の代用品が目に飛び込んできました。
 中には私も子どもの頃目にしたことのあるコタツや湯たんぽといったものもありました。
 私が最初にヘェ~と思ったのは、「茶釜」でした。黒くて小さないぼいぼまで付いているところは鋳物で作られた茶釜と言われても私などは信じてしまいそうです。
 陶製のご飯を炊くお釜もありました。割れないように注意深く使う必要があったと思われます。

        
        ※ 真ん中が茶釜、左側にご飯を炊くお釜、鉄瓶ならぬ陶瓶も見えますね。

 また、陶製のガスコンロも展示されていました。こちらは見た目にも陶製だということが分かりましたが、このガスコンロも割れたり、ひびが入ったりした場合のことを考えると恐ろしいですね。しかし、それでも背に腹は代えられぬ時代だったのでしょう。

        
        ※ ボルトとナットまで陶製で作られたようです。

 ヘエ~はまだまだ続きます。
 陶製の学生ボタン、そして極めつけは金貨ならぬ「陶貨」です。
 陶貨の一銭、五銭、十銭があったとは知りませんでした。
 またレコード針や鉄筆の芯など実用性があったのか疑われるものまでありました。

        
        ※ ちょっと小さくて分かりづらいですが陶貨です。

 展示会を見て改めてその器用さ、創意工夫への意欲など日本人の特性を思い知らされたような気がします。
 展示会は8月29日(日)まで、二百数十点の陶磁器製の代用品がより多くの人に見てもらいたいと待っています。

        
        ※ 陶製の鏡餅まで!!学芸員の話によると戦時中はやは
         り米は貴重品で鏡餅は作れず、陶製の鏡餅の中に数粒の
         米を入れて代用していたとのことです。

札幌Cafe紀行 20 サンタクリームカフェ

2010-07-29 15:16:12 | 札幌Cafe紀行
 国道12号線に面したポップな雰囲気のカフェです。一階がスィーツショップで、2階がカフェスペース。近隣に大学が多いことから女子学生の姿が目立ったカフェでした。

        
      ※ サンタクリームカフェの外観です。赤と白の色合いは店内にも生かされています。    
    
 大麻の友人を訪ねて友人夫婦と私たちでランチを摂るために訪れました。
 店は国道12号線に面していて、外観も内装も学生に好まれるようなポップな雰囲気に満ちています。白を基調とした明るい内装がいかにも若者好みの店といった感じです。
 ふと店内を見渡すと、横手に写真スタジオが見えました。もともとは写真館が始まりのお店だということです。

         
        ※ 一階には写真のようにスィーツショップが入っていました。

        
        ※ スィーツショップの横に階段があり二階のカフェに導かれます。

 私たちは男性が「サンタランチ」(950円)、女性が「煮込みハンバーグ」(900円)をそれぞれオーダーしました。
 「サンタランチ」とは、石釜焼き立てパン、パスタ、手作りキッシュ、サラダ、あつあつスープ、それにコーヒーが付いたものでした。

        
        ※ 「サンタランチ」です。このバスタが…。

 出てきた「サンタランチ」はボリュームたっぷりで、さすがに若者向けの店です。その中でもパスタの量が目立ったのですが、ナポリランチのパスタは味が濃すぎるよう思えたのは年齢のせいでしょうかねぇ…。
 「煮込みハンバーグ」の方は好評のようでした。

        
        ※ こちらは「煮込みハンバーグ」です。

 明るいポップな店もいいですが、やはりおじさんには落ち着いた雰囲気を感じる店の方が寛げるなぁ…。

        
        ※ 店内のテーブルと椅子も赤と白が基調となっていました。

【サンタクリームカフェ データ】
江別市文京台東町1-25
電  話 011-386-2488
営業時間 10:00~18:00(季節によって変動あり)
定休日  火曜日
座  席 30席
駐車場  有り(10台)
入店日  ‘10/07/18

札幌Cafe紀行 19 カフェ喜庵

2010-07-28 14:02:20 | 札幌Cafe紀行
※ しばらく高校野球を集中的に投稿していましたが、カフェ紀行などもそれなりに進行していました。しばらくはちょっと以前の体験レポが続きます。

 発寒の住宅街に建つカフェですが、普通の民家を改装した建物のようです。美味しいコーヒーとフレンドリーなオーナーと楽しいひと時を過ごしました。

        
        ※ 発寒の住宅街にある「カフェ喜庵」のエントランスです。        
 
 このところ講座(札幌市民カレッジ)の帰りにカフェに寄ることが定番になりつつあります。
 この日も受講した3人で帰り途にあった「カフェ喜庵」に寄り道して談笑してきました。

 カフェ喜庵は主要道の二十四軒手稲通り沿いではなく、通りから少し入った住宅街の中にありました。カフェ自体も普通の住宅をリニューアルして開店したらしく店内には床の間がそのまま残っている空間もありました。

        
        ※ 奥の部屋はご覧のように書が掛けられた床の間がありました。

 店内はブラウンを基調とした色遣いで落ち着ける雰囲気の店でした。

        
        ※ 私たちが座った部屋のテーブル&椅子です。

 3人とも自家製のケーキセット(ブレンドコーヒーが付いて550円)をオーダーしました。
 ケーキは「クルミのショコラ」「カフェオレシフォン」「アンズのアーモンドケーキ」の中から選べます。三人それぞれ別のものをチョイスしましたが、私は「クルミのショコラ」にしました。甘味を抑えぎみにした上品ケーキでした。

        
        ※ ケーキは左からシフォン、アーモンド、ショコラの順かな?

 コーヒーもほど良い苦味が心地良く美味しくいただけた一杯でした。これで550円はお得感があります。
 ブレンドコーヒーは単体で400円、カフェオレも450円と良心的な価格設定と感じました。

        
        ※ 同じブレンドコーヒーもカップを違えて出してくる演出が嬉しいです。

 店内はそれほど飾ってはいないものの、壁際に珍しそうな楽器が鎮座していました。
 オーナーに尋ねると、オーナーはその楽器を手に持ち実演してくれましたが、インドネシアの民族楽器とのことでした。その他の楽器についても説明してくれました。
 また、オーナーはテレビのCF放送のCMを担当しているというようなことも話してくれ、とてもフレンドリーな感じで心地良いひと時を過ごしました。

        
        ※インドネシアの民族楽器「アンクロン」というそうです。

 カフェ喜庵は地域の人たちが気軽に集える楽しいカフェのようです。 

【Café喜庵 データ】
札幌市西区発寒3-6-10-28
電  話 011-663-3599
営業時間 9:30~22:00(日曜 ~19:00)
定休日  無
座  席 27席
駐車場  有り(7台)
入店日  ‘10/07/17


“熱闘甲子園”を目ざして エピローグ編

2010-07-27 15:18:23 | スポーツ & スポーツ観戦
 甲子園を目ざして戦い続けた南北海道大会を凝視し続けた私の熱気は冷めやりません。大会を今一度振り返り、私の思いを記しておくことにします。
 
球児たちの夏は…
 
 南北海道の高校球児たちの夏は
 八月を待たずして終わりを告げた
 ただ一校小樽北照高校を除いて…

 出場130校の球児たちは
 遥か遠い夢甲子園を目ざして戦い続けた
 しかし129校は志半ばでその夢を絶たれた
 泥にまみれ雪と戯れながら
 自らを鍛え続けた三年間の青春に終わりを告げた

 志半ばで夢は絶たれたとしても
 君たちの中に大きな財産が残ったことに君は気づいているだろうか
 自らを鍛え、自らを鞭打ち、懸命に挑んだ尊さを
 仲間と共に戦う中で培った友情を
 師から学んだ先輩の偉大さを
 君は今大きな財産を手にしながら今年の夏を終えたのだ

 球児たちの夏は終わったが
 高校野球に情熱を傾け続けた
 君の人生の夏はこれからなのだ


 一人夏が続いた北照のナインには
 129校の思いを抱きながら
 一日も長い夏を戦ってほしいと切に願う

        

須田君よ明日があるぞ!

 今日の新聞記事の中で次の一文が私の目を惹いた。
 札第一の菊池監督がエースに向けて言った言葉
 「野球をやっていればいろいろある。人生と同じ。野球を嫌いにならないでほしい」
 この言葉に私はグッときた。

 札幌第一のエース須田貴一君はこの大会ずっと不調に喘いでいた。
 そのことについては私もブログで触れ、25日函有斗に敗れた後には、
 「思うように調子が上がらず最後の夏を終えてしまった札第一のエース須田君は何を想っているだろう…」と記した。

 札第一は優勝候補の一角にもすえられ、昨年に続く甲子園連続出場を目ざしていたのだ。
 事実札幌地区予選は圧倒的な力で勝ち抜き、須田君も絶好調だったようだ。
 それがどうも南北海道大会では須田君の上に不調の波が襲ってしまった。
 いずれの試合でも途中降板を余儀なくされ、彼はベンチで涙していたとも聞く

 最後の戦いとなった函有斗戦でも彼の登板が有斗打線の火に油を注ぐ結果となった。
 彼にとっては胸の張り裂けそうな思いだろう。
 試合終了後、誰はばからず号泣する彼の姿を見た。
 そして監督の言葉を知った。グッときた。
 菊池監督こそ真の教育者ではないだろうか。

 須田君よ、野球を嫌いにならないでおくれ!
 君の180cmの堂々たる体躯から投げ下ろす速球に私は非凡なものを見る。
 人は生身だ。
 好調のときもあれば、不調のときも必ずあるのだ。
 たまたま不調の波が南大会と重なってしまった不運があった。
 誰も君を責める人などいないはずだ。

 須田君よ 泣くな! 涙を拭いて立ち上れ!
 君には明日があるんだ!

        

そして私… 

 私にとっても短い夏が終わってしまったような思いを抱く。
 この六日間の戦いを凝視し続けたことで、私は濃密な時間を得ることができたと思っている。
 私がこれほど高校野球に思い入れがあるなどとは思ってもいなかった。
 新たな自己発見だった。
 高校野球の魅力、魔力を痛いほど感じた六日間だった。
 こうしておじさんの夏は終わった。
 そして六枚の入場半券が残った…。

        

“熱闘甲子園”を目ざして 第六日(決勝戦)

2010-07-26 21:55:10 | スポーツ & スポーツ観戦
栄冠は小樽北照高校に!
 
 勝利の女神がどちらに微笑むのか予断を許さぬ緊迫した展開となったが、僅かに地力に勝る北照がなんとか押し切り、春夏連続の甲子園進出を果たした一戦だった。

              
        ※ 観戦を終えて球場を出る際、朝日新聞の号外を渡された。
         その早業に驚き、問い質すと球場内に印刷機を持ち込んで
         印刷したとのことだった。
 
 札幌勢以外同士の決勝戦、しかもウィークディということもあり、それほど観客が集まらないのではとの私の予測は完全に外れ、昨日ほどではないにしても多くの観客がまた円山球場のスタンドを埋めた。
 私はこれまでの戦いぶりから「北照高校絶対有利」と見て、歓喜の瞬間を間近で見ようと3塁側北照ベンチの真上のスタンドで観戦することにした。

 熱い日差しがグランドに刺したかと思うと、空に薄い雲がかかり一服の涼風がスタンドを横切るというコンディションの中、決勝戦の開始を告げるサイレンが響き渡った。
 決勝戦も私目線で試合を振り返ってみることにする。

        
        ※ 試合前、選手に指示をする北照河上監督です。
 
《本調子ではなかった北照・又野投手》
 私のメモ帳には試合経過を綴る記述と共に、次のようにメモが残っている。
 2回を終えて「ボールが先行する又野投手」
 3回に今大会初失点を喫して「又野が今一つ本調子でないのが気になる」
 そして8回二死から連続四球で二死一二塁とした後、又野投手は脚の太腿の裏に違和感を訴え、一時投球を中断してしまった。その時のメモは「又野投手が脚裏に違和感を訴え不吉な予感」と…。
                 
 北照の大黒柱又野投手はこれまでの3試合いずれも相手を零封して勝ち上がってきた。その投球はストライクを常に先行させ、テンポ良く相手打線を翻弄するまったく危なげないものだった。
 それがこの日はボールが先行する不安定な投球ぶりが目立った。ラジオの解説者は「有斗打線を警戒するあまりボールが多くなっている」と話をしていた。確かにそうしたことも考えられたが、明らかに又野投手の調子がこれまでと違っているように私の眼には映った。

        
        ※ ピンチを最小失点に抑え、ベンチに向かう又野投手です。

 今大会初失点を喫したばかりではなく、有斗チャンスの場面で適時打を許すなどして合計3点を有斗打線に許してしまった。
 それでも有斗打線に集中打を許さなかったところは、又野投手の底力がそれを許さなかったとも見えた。
 「不吉な予感」や「気になる」ことがあったとしても、それを乗り越え甲子園を掴んだところに又野投手の凄さを見る。
 甲子園ではしっかり調整して又野投手らしい快投を演じてほしいと願った。

        
        ※ 優勝の瞬間、両手を広げ雄叫びを上げる又野投手です。     

《甲子園の道を拓いた主将西田の一打》
 私のメモにはまた8回表右中間を深々と破るタイムリー三塁打を放った西田選手の一打の後に「西田が甲子園の道を拓いたか?」と記した。それほどこの一打は効果的な一打と私には映ったのだ。この一打で北照のリードは2点となった。
 事実、その後8回裏の有斗の攻撃中、又野投手が脚に違和感を訴え適時打を浴び1点差に詰め寄られたのだが、その後をなんとか凌ぎ、結局西田選手の一打が決勝点となった。

        
        ※ 試合前にベンチの前で素振りをする西田選手です。    
    
 ところで西田選手は選手名簿を見ると、「京都伏見中」出身とある。いわゆる野球留学生である。大阪から駒大苫小牧に入学して活躍した、現在東北楽天ゴールデンイーグルスの「まーくん」こと田中投手と同じケースだろう。
 野球留学生について云々する意見もあるだろうが、その功罪については別の機会に譲るとして、西田選手は北照高校の主将としてチームをまとめ、主軸としてチームを引っ張っていたことは紛れもない事実である。彼の一打が、彼の強肩が、彼の巧みなリードが甲子園への道を拓いたと私は見る。

        
        ※ 試合のインターバルで選手たちを励ます西田選手です。
         左は又野投手です。

 親元を離れ、遠く北海道に渡って2年半、真っ黒に日焼けした逞しい笑顔の裏に、どれだけの涙があったろう。どれだけの汗の積み重ねがあったろう。
 甲子園には彼の家族、彼の小中時代の同級生が数多く駆けつけ彼のプレーに声援を送るだろう。見せてやれ!北海道で逞しく成長した君の姿を!
 好漢西田選手が甲子園で暴れまくってほしいと願った。

        
        ※ 試合後、報道陣に囲まれインタービューに答える西田選手です。

《健闘 有斗を讃える》 
 私の戦前の予想ではどうしても有斗に有利な材料は見つからなかった。
 しかし試合は私の予想とは違い大変な接戦となり、一つのプレーで勢いがどちらに転ぶか分からないという緊迫した一戦だった。
 その要因は有斗の堤口投手の見違えるような好投と、有斗打線が又野投手に臆することなく好逑必打で攻め立てたことにあった。安打数は北照を上回る8安打を放っている。(北照は7安打)惜しむらくは好機にもう一本が出なかったというだけである。
 球運がわずかに彼らに微笑まなかったのだ。救いは有斗のレギュラーがエース堤口をはじめ5人が2年生ということだ。来年の夏、再び函館から甲子園を目ざしてほしい。

        
        ※ 試合終了の挨拶後、健闘を讃えあう両校ナインです。

 あゝ、私の夏が終わったような錯覚に陥ります。それほど濃密な一週間を過ごしました。明日はその一週間を振り返る「“熱闘甲子園”を目ざして エピローグ編」でも綴りましょうか…。

        
        ※ 優勝決定後、喜びを爆発させる北照ナインです。

“熱闘甲子園”を目ざして 第五日(準決勝)

2010-07-25 23:21:24 | スポーツ & スポーツ観戦
 準決勝は二試合ともコールドゲームで決着するという意外な結果となった。しかし冷静に振り返ると、これだけの大差がついた要因は投手の起用法にあったのではないか、と私は見たのだが…。

        
        ※ 熱戦を期待してスタンドを埋めた高校野球ファン         
 
 久しぶりに夏らしい青空が戻ってきた中、準決勝の好試合を期待して高校野球ファンが続々と円山球場に駆けつけた。
 私が試合開始30分前に球場に着いたときにはスタンドはびっしりと埋まっていた。僅かな隙間を見つけ、いつもとは違うバックネット裏に陣取った。
 激しく照りつける陽の光のような熱戦を期待したのだが、どちらの試合とも意外な展開が待っていた…。
 それでは二つの準決勝の試合を私の目線で振り返ってみる。

        
        ※ 激しい夏の陽で乾いたグランドにたっぷりと水を与えます。

《なぜ早目の投手交代だったのか?》 
 第一試合は札幌第一高校 VS 函館大有斗高校だったが、結果は5対15の6回コールドゲームで函有斗の勝利となった。

 この試合、先制したのは札第一だった。しかも3回表を終えた時点では4対0とまったくの札第一ペースだった。
 この時、札幌第一のマウンドを守っていたのは背番号10を付けた小笠原だった。エース須田が本調子といえない中では順当な選択だと思って見ていた。
 順調な滑り出しを見せた小笠原に有斗打線が襲いかかったのは3回裏の攻撃だった。二点本塁打と適時打で3点を返した。(この時点ではまだ札第一が4対3でリードしている展開)

 続く4回裏の函有斗の攻撃で小笠原は無死から四球を出してしまった。
 するとベンチはすかさず小笠原から須田にスイッチした。
 私はこの交代が「早いのではないか」と思った。須田はこれまでの2試合に先発しながらも思うような結果を出せず、途中交代を繰り返していたのだ。
 案の定、須田の投入は有斗打線の火に油を注ぐようなものだった。安打、四球などで二死満塁とした後、走者一掃の二塁打を浴びた。さらにこの回、有斗打線は攻撃の手をゆるめず攻め立て、再び満塁とした後で6番打者が満塁本塁打を打ち4対10として一気に試合の形勢を決めてしまった。

 ベンチとしては有斗打線の圧力に小笠原では抗しきれないと見て、主導権を握っている段階でエースを投入し、なんとか試合の流れを有斗側に持っていかれないようにとの交代だったのだろう。しかしこの大会調子の上がっていない須田には重荷だった。
 もし小笠原をベンチがもう少し我慢して続投させていたら、これほど一方的な展開はなかったのではないか。

 大会を見ていると各校ベンチの早いタイミングでの投手交代が目立つ。一発勝負の高校野球では傷を広げないうちに流れを変えたいという思いがあるのだろう。そこには甲子園戦術の変遷も影響していると思われる。

 思うように調子が上がらず最後の夏を終えてしまった札第一のエース須田君は何を想っているだろう…。

        
        ※ 真っ赤なメガホンで札幌第一ナインを応援し続けた応援団でしたが…

《なぜエース吉岡の先発でなかったのか?》
 続く準決勝第二試合は小樽北照高校 VS 札幌日大高校だった。この試合も北照の一方的な試合となり7対0の7回コールドゲームで北照が決勝に駒を進めることとなった。

 この試合の札日大の先発メンバーを見て「あれっ?」と思った。
 先発投手がエース吉岡ではなく、背番号10の石井だったからだ。
 吉岡は大会前に病を患ったと聞いていたが、前の試合で強力な北栄打線を延長11回まで2点に抑える好投を見せていたのだ。
 
 石井は初回いきなり北照の4番又野に二点本塁打を喫してしまった。続く3回にも強力北照打線につかまり3点を献上してしまった時点でベンチはたまらず吉岡に交代を命じた。
 吉岡は石井が残した走者を還され1点を失ったが、その後4,5,6回を零点に封じ打線の奮起を待ったが札日大打線は北照又野の前に沈黙したままだった。
 結局、吉岡は7回に1点を加えられたことで7対0となり7回コールドゲームで札日大の敗退となった。

 札日大はなぜエース吉岡の先発でなかったのか?
 強力な北照打線を考えたとき、ベンチは石井、吉岡の継投を当然考えた上での石井先発だったと思うのだが、順序が逆であったような気がしてならない。

        
      ※ ピッチングだけでなく、打撃でも今大会3ホームランと非凡な力
       を見せる又野選手のネックトバッターズサークルでの様子です。

 高校野球の指導に情熱を傾け続けている監督にとって、素人の私が考えるようなことは全て織り込み済みの上で判断し、決断した結果だと思う。
 今日の二試合の結果は私が事前に予想したとおりの結果となった。ということは、今回敗退した2校の監督も互いの戦力比較をしたとき自チームの劣勢は免れないと考えた末での決断であったと思われるのだが…。

        
        ※ 試合終了後、健闘を讃えあう札日大、北照のナインです。

 明日はいよいよ甲子園を懸けた決勝戦である。
 小樽北照高校の王者然とした戦いぶりが際立つが、はたしてどのような結果が待ち受けているのだろうか?
 明日も私は円山に足を運ぶ…。

        
        ※ 強い日差しに外野席では木陰にきれいな人影ができました。

市民カレッジ「おらが街“サッポロ”再発見!」

2010-07-24 21:45:14 | 札幌学 & ほっかいどう学
 現在、毎週土曜日札幌市民カレッジに通っている。今日は高校野球観戦のため欠席を予定していたのだが、高校野球が順延となったため今日も第3回講座を受講することができた。

        
        ※ 硬い(?)講座である。女性の受講生は一人のみである。 

 久しぶりに札幌市民カレッジを受講している。
 毎週土曜日午後の開講で今日が第3回目の講座だったが、高校野球の観戦を優先して今回は欠席しようと思っていたのが、雨で順延となり今回も受講することができた。

 講座は「おらが街“サッポロ”再発見!~自然の恵みと都市の発展~」という講座名に魅せられて受講することにしたのだ。
 私はすっかりこれまで受講してきた“札幌学”の延長のような講座だろうと考えていた。
 ところがその意に反して地質学的、地形学的に札幌を考察しようとする講座であった。
 「あれっ?」と思ったのだがこれまで3回受講してきて、以前受講してきた講座(これまで五つの“札幌学”の講座を受講した)が人文学的な講座だったのに対して、異質な今回の講座は、いわばこれまでの講座を縦糸とすると今回の講座が横糸的にこれまでの講座を補完してくれているようでなかなか興味深い。

 例えば札幌の街の地質学的な特徴は一応把握していたが、それをより専門的に解説してくれ、特に北西部、北東部の泥炭地帯(低湿地帯)を現在の姿に改修するために祖先が闘った土壌改良の方法や歴史などを知ることができた。
 今日の講座ではまた、札幌が旧支笏火山の大爆発の影響を受け、多量の火山灰が降り注ぎ、その一部が札幌軟石(溶結凝灰岩)となって産出されることになったことや、野幌を始めとするレンガの生産も地層から多量の粘土が採掘されたことがその要因だったことを理解することができた。

 講座は残り2回である。
 講師は大学や専門学校などの教えるプロではない。自らが講座を企画して講師に立候補した地質調査会社に勤める会社員である。
 札幌市民カレッジ独特の「ご近所先生企画講座」というものだ。それだけに教え方にぎこちなさはあるものの、専門的にならぬようにと気を使ってくれているのがよく分かる。

 今回は友人3人と一緒に受講していることもこれまでにない経験で楽しく受講できている。
 受講後に立ち寄るカフェでの語らいも楽しい。
 残り2回の講座を楽しみたいと思っている。

“熱闘甲子園”を目ざして! 休養日

2010-07-23 22:19:01 | スポーツ & スポーツ観戦
 いつの頃からか高校野球の大会日程の中に休養日が設けられるようになった。球児たちの健康面を考えると良い措置だと思う。今日はその休養日だった。そこで今日は私の戦評レポートも一休みして、これまでの感想と大会の今後を占ってみたいと思う。 

《選手のユニフォーム》
 私のメモ帳には「選手のユニフォーム~オールドスタイル」と「試合時間」というメモが残されている。大会を観戦していて私が感じた二つのことだ。

 最近のプロ野球選手のユニフォームを見ているとストッキングがまるで見えないジャージーパンツのようなものが主流である。(中にはそうでない選手もいるが…)私のような年代にはなんだかだらしのないユニフォームのように見えてしかたがない。
 高校生のユニフォームも時代の流行を取り入れているのかなと思っていたのだが、球児たちが身に付けているユニフォームは全てがオールドスタイルであった。

        
     ※ 写真のように高校球児のユニフォームは全てがオールドスタイルである。

 ファッションは時代と共にといわれるが、ユニフォームもファッションの一部と考えると変わりゆくのはあって良いのだろうが、球児たちのユニフォーム姿を見るとなぜかホッとするものを感じた。

《長くなった?試合時間》
 高校野球はプロ野球と比べると圧倒的に試合時間が短いのが特徴である、と思っていた。事実、大会当局から発表されている試合日程は一試合あたりの予定時間が2時間、試合の間のインターバルが30分間と想定して発表されている。
 ところが実際の試合時間はその想定をオーバーしている場合が多い。

 その原因は何かと観察していると…、どうやら投手の投球間隔にあるらしいということが見えてきた。
 高校野球というとプロ野球のように捕手とのサイン交換に長い時間を使わずテンポ良く投げるのが一般的と思われてきた。今大会で言うと立命館の八沢投手や北照の又野投手などがそれである。しかし、多くの投手は二人の投手とは違いわりあいゆったりとした投球間隔を取る投手が多くなったように感じた。
 走者が出たり、ピンチの場合はもちろん十分に打ち合わせをし、サインの交換も慎重にするのが必要だが、それでも全体に試合の運びが遅くなってきたように感ずる。
 勝利のために悔いを残さぬように十分な備えをすることはもちろん大事だか、変なところでプロ野球を真似してはほしくないという思いも一方ではある。

《大会の今後を占ってみる》
 今日の休養日を挟み、明日から再び頂上を目ざしての決戦が始まる。
 明日からの準決勝、決勝を私なりに楽しむために、素人なりに大会の今後を占ってみたいと思う。明日の準決勝の組み合わせは次の通りである。
 ◇第一試合 函館大有斗高校 VS 札幌第一高校
 ◇第二試合 北照高校 VS 札幌日大高校

 第一試合は函有斗の堤口投手と札第一打線の対決と見る。
 札第一の打線は駒大苫の繰り出す投手陣を打ち崩したように相当のポテンシャルを持っていると見る。その札第一打線がもし堤口投手に抑え込まれるようだと、試合巧者の函有斗が二試合とも不安定だった札第一の須田投手を攻略して試合を有利に進めるのではないか。
 総合的に見て、やや函有斗が有利と見る。(果たして?)

 第二試合は再三述べているように北照の優位は動かない。
 ただ、札日大のエース吉岡投手が準々決勝で見せたような投球を見せると北照打線といえども打ち崩すのは容易ではない。
 また北照の又野投手もこれまでの二試合はほぼ完璧だったが、明日もこれまで同様のピッチングができるとの保証はどこにもない。
 そうした不安定要素はあるものの、予想としてはやはり北照有利と見る。(果てして?)

    ※ 準決勝第二試合は北照又野、札日大吉岡両投手の投げ合いが期待される。

        
        ※ 北照高校の又野投手の投球フォーム

        
        ※ 札幌日大高校の吉岡投手の投球フォーム

 そして頂点に立つ学校は?
 それをここで予想するのは無粋というものだ。
 明日の結果がどう出るか分からないのだから…。

《おまけ 私の観戦グッズ》
 私の高校野球観戦スタイルは、長袖長ズボンにザックを背負って自転車で円山球場に駆けつけている。
 長袖長ズボンはこの歳になると日焼けすることの後遺症が怖いからだ。
 ザックの中身は、雨傘とレインコートの上下、ウレタンの観戦用座布団、清涼飲料のボトル、ほうじ茶のボトル、双眼鏡、携帯ラジオ、デジカメ、メモ帳、参加チーム資料、それに妻の手作りの弁当である。
 完璧である、と自分では思っている。
 実は私と良く似た観戦グッズを備えた観戦族をけっこう円山球場では目にするのだ…。

        
        ※ このザックの中に私の観戦グッツが詰まっている。

“熱闘甲子園”を目ざして! 第四日

2010-07-22 23:10:45 | スポーツ & スポーツ観戦
 高校野球の醍醐味、残酷さ、面白さが凝縮された第四日目だった。準々決勝の三試合、いずれの試合も手に汗握る熱戦が展開された。 

 昨日までとは違い今にも雨が落ちてきそうな空模様の中、気温も上がらず球児にとっても、観客にとっても快適なコンディションの中で闘いは行われた。
 まず、本日の試合結果は次の通りである。
 ◇第一試合 札第一 5 対 3 札白石 (延長12回)
 ◇第二試合 北 照 7 対 0 函 工 (7回コールド)
 ◇第三試合 札日大 3 対 2 北 栄 (延長12回)

《札白石 勝ちがスルリと…》
 高校野球は時として残酷なシーンを創出する。
 札幌白石高校のライト塩田選手はしばらく眠られない日が続くのではないだろうか。

 札白石が3対1で迎えた9回表の札第一の攻撃の場面である。
 この回を抑えたら札白石にとっては史上初めての準決勝進出である。
 札第一の攻撃は一死一塁、次打者は高いライトフライを打ち上げた。
 ライトが捕球位置に入り、誰もが「これでツーアウト。いよいよ白石の勝利」と誰もが確信したその時、なんとライト塩田選手が芝に足を取られて転倒してしまったのだ。
 ボールは転々とライトフェンスへ…。
 走者は生還し、打者走者も三塁に到達してしまった。
 続く打者の犠牲フライで、なんと土壇場で札第一は同点に追いついてしまったのだ。

 勢いの差はいかんともしがたくとうとう延長12回表札第一は2点を追加し、札白石の手から勝利の女神がスルリと逃げてしまった一戦だった。

        
        ※ 芝に足をとられボールを後逸してしまい、肩を落とす塩田選手です。

 札白石にとって、塩田選手にとって残酷すぎる結果である。
 これで彼らの高校野球は終わってしまったのだから…。
 願わくば札白石ナインが、そして塩田選手が、「これも高校野球」と笑って振り返られる日が一日も早く訪れてほしいと思う。

        
        ※ レポートでは触れられなかったが、札幌白石のエース大山
         投手のスライダーは最後まで札幌第一の打撃陣を悩ませた
         素晴らしい投手だった。        

《函工の戦略も通じず 北照王者の戦い再び》
 函工は一回戦にエースを温存し、北照との対決に臨んだ。
 その戦略が多少通じたかに見えたのは序盤戦のみだった。
 函工のエース秋山投手は北照の圧力に必死に耐え、4回まではなんとか2点に抑えて凌いできた。しかし5回、その忍耐にも限りがあった。
 北照攻撃陣は一挙に秋山投手に襲いかかり、本塁打を含む4点を叩き出し試合を決めてしまったのだ。

        
        ※ 男くさい(女性も後ろにいたが)北照高校の応援団です。

 一方、北照のエース又野投手はこの日も格の違いを見せつけ、函工の打撃陣を寄せ付けず散発の4安打に抑えて堂々の完封勝利であった。

 先にも書いたが、北照の今年春の選抜大会ベスト8は伊達ではない。まさに王者の戦いである。
 しかし高校野球は一発勝負である。北照の明日にも何があるか分からない。
 それが高校野球。それが高校野球ファンを惹きつける。

        
        ※ 戦いに勝利し、校歌を歌う北照ナインです。

《北栄脅威の粘り しかし最後力尽く…》
 札日大 VS 北栄は両校投手の投げ合いで、0(ゼロ)行進が続いた。
 何せ7回を終えてヒットは両校ともに1安打ずつという投手戦だった。
 特に札日大のエース吉岡投手は長身(184cm)から投げ下ろす速球と変化球が絶妙で相手に付け入る隙をみせない好投だった。

        
        ※ 札幌日大のエース吉岡投手の力感溢れる投球フォームです。

 一方、北栄は1回こそ今大会評判のエース大坂投手が登板したものの、なぜか1回のみの投球で2回からは三沢投手の登板となった。三沢投手はヒットこそ打たれないもののコントロールがいまひとつ決まらず何度も四球を出し苦しんでいたが何とか無得点で凌いできた。

 試合が動いたのは8回である。
 札日大は無死で出塁した四球を足がかりに、バントで二塁に送り、そこでタイムリー二塁打が出て待望の先取点を取ったのだ。

 札日大の吉岡投手は8回の北栄の攻撃も簡単に退け、9回を迎えた。
 吉岡投手の出来からかなりの確立で札日大の勝利が見えてきたと思った。
 とその時、9回北栄の先頭打者9番の石坂選手がそれまですっかり押さえ込まれていた吉岡投手からライトオーバーの三塁打を放ったのだ。
 勢いづいた北栄は相手の守備の拙さも突き簡単に同点とした。

 その後も北栄の攻勢は続き、無死満塁と詰め寄った。
「これは北栄のサヨナラ勝ち」と見守る観衆は誰もが思ったに違いない。
 しかし、ここから吉岡投手の鬼気迫る快投で4番、5番を快速球で連続三振に討ち取り、続く打者も内野フライに討ち取り延長戦に突入した。

        
        ※ 9回裏、北海道栄高校の勝利を確信して、応援団の喜び
         の表情を撮ろうと応援団席に走った私でしたが…。
 
 ドラマはまだその先にもあった。
 11回、札日大がまたまた四球を絡めてタイムリー二塁打で再びリードした。
 「今度こそ」と札日大のナインも、試合を見守る人も思った。(私も思った)
 ところが、北栄は無死で相手エラーから出塁し、その後ヒットが続き一死一三塁からスクイズが成功し、またまた同点とした。脅威の粘りである。
 さらに二死二塁の場面で、北栄の打者がセンター前に鋭いライナーを放った。この時も誰もが「北栄のサヨナラ勝ち」と思った瞬間、札日大のセンターが地上スレスレでダイビングキャッチで好捕し、戦いを後へと繋いだ。

 しかしドラマにも終わりがあった。
 12回表、札日大はこの回の先頭打者になんと好投の吉岡投手に代えて代打を送った。その代打が見事期待に応えレフト前にヒットを放ったのを生かして、その後のタイムリーが生まれ、三度リードを奪った。
 二度絶体絶命のピンチを凌いできた北栄にもうそのリードに追いつく力は残っていなかった。12回裏の攻撃は淡白なものとなり、吉岡投手を継いだ石井投手に三人で簡単に退けられゲームセットとなった。

 いや~、「これぞ高校野球!!」
 一球にかける高校球児の真剣な戦いが筋書きのないドラマを演出します。
 このドラマを見守ったスタンドの誰もが両校ナインに盛大な拍手をプレゼントしたのは言うまでもありません。

 球場を後にするとき、白老に帰る北海道栄高校応援団の高校生に声をかけました。
 「惜しかったねぇ~」と声をかけると、「いい試合でした」という答えが返ってきた。 懸命に応援していた彼らも悔しさよりも素晴らしい試合に感動していたのだった…。

 あゝ、これだから高校野球観戦が止められない。