今や水産物の生産量高は、養殖物が天然物を凌ぐ状況だという。その養殖物を育てる外国産の飼料の高騰に生産者が頭を抱えているという。北海道立総合研究機構(略称:道総研)では、サーモン養殖の “エサ” の道産素材の開発に取り組んだお話を聴いた。
本日のお昼、北海道庁の1階交流広場で道総研主催の「ランチタイムセミナー おひるの科学」を受講した。
今回のテーマは「北海道のサーモン養殖~そのエサに道産素材の副産物!」と題して、道総研の水産研究本部の小山達也氏が講師を務めた。
※ 講師を務めた小山達也氏です。
リード文でも触れたように、今や水産物は天然物を凌いで養殖物が主流となっているという。アトランテックサーモンとか、トラウトサーモンなどもノルウェーとかチリにおいて養殖されたものが主だそうだ。道総研が今回取り組んだのは、一般的には「ニジマス」として知られるトラウトサーモンの養殖だそうだ。
※ 天然物が横ばいなのに対して、養殖の生産量が急増しているのが分かります。
(明るい中でのパワーポイントの使用のため見づらいことをご容赦ください)
養殖の場合、最も経費がかかるのが飼料代(エサ代)だという。その割合は養殖にかかる全経費の6割以上だそうだ。その飼料の多くは外国産に頼っているそうだが、外国産飼料が現在はそうとうに高騰している現状だという。
※ 養殖では飼料代が生産コストの多くを占めるのですね。
そこで道総研では北海道産の産物の残滓を使っての飼料づくりに挑んだという。
その残滓とは、植物タンパクとしてジャガイモの澱粉を搾った後の搾りかす(ポテトタンパク)と動物性たんぱくとしてホタテ貝の中腸腺(通称:ホタテのウロ)の利用を考えたという。
ジャガイモの搾りかすには、ポテトアルコロイドという毒性物質が含まれるために、それを取り除くために苦戦したり、ホタテウロに含まれるカドミウム除去技術の開発に苦労したりしながらも、この度なんとか二つの残滓を活用した資料の開発に成功し、飼育試験においても既存の魚粉を主体とした人工飼料に劣らない結果を得ることができたという。
今後の課題は、人工飼料の生産工場が我が国の場合西日本に偏っているために、例えそれらの工場で生産できたとしても輸送料などが嵩むという課題があるそうだ。
現時点での価格についてお伺いしたところ、現時点では既存の人工飼料とあまり変わらない段階までこぎつけたというから北海道、あるいは北日本に生産工場ができると良いのだが…。
小山氏も話されていたが、「今後は量産化が課題である」と話された。
道産素材、しかもこれまで捨てられていた素材の有効活用という面から見ても、できうれば道総研が研究開発した人工飼料が量産化に成功して、日本の養殖漁業が一層発展することを願いたいものである。