もちろん!私がウィーンにまで出かけてコンサートを聴いたという話ではない。札幌市生涯学習センター(通称:ちえりあ)においてウィーンフィルの2001ニューイヤーコンサートをDVDで視聴したということである。素人なりの新しい発見があった。
怖いもの知らずで、何にでも興味を抱き、どこにでも出没する私である。何にでも興味関心を抱く野次馬根性だけはまだまだ枯れていないようだ。
以前、「CDコンサート」に参加して、その独特の雰囲気に不思議な感じをしたのだが(https://blog.goo.ne.jp/maruo5278/d/20180326)、DVDの場合はどうなのだろうか?という思いも手伝って参加してみることにした。
題して「ちえりあDVDコンサート」はちえりあ5階の音楽研修室で開催された。会場前面には大きなスクリーンが設えてあり(400インチくらい?)、スクリーン横にはCDコンサートの時にも備えられていた大きなスピーカーが鎮座していた。(おそらく相当に高価な機器なのだろう)そして会場にはシニア層を中心に30名前後が参加していたようだ。
※ 会場となったちえりあの音楽研修室です。開演前の会場の様子です。
何の予備知識もなく参加したのだが、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートは世界で最も有名なクラシック音楽のイベントとして知られており、日本人聴衆も毎年多数駆け付けているという。さて、この日19年も前の2001年のコンサートをなぜ取り上げたのかについて特に説明はなかったが、配布されたパンフによるとヨーゼフ・ランナーの生誕200年ということで彼の曲が3曲披露されたのだが、それが一つの理由なのかもしれない。
もう一つは、この年の指揮者がニコラウス・アーノンクールということもあるのだろうか?解説によると彼はウィーンの音楽界では異端児で通っていたそうで、ウィーン音楽の「王道」の権化であるウィーンフィルのニューイヤーコンサートの指揮をするということは極めて異例の、いわば歴史あるニューイヤーコンサートとしてはエポックメイキングな出来事だったということも理由の一つなのかもしれない。
※ 2001年の指揮者のニコラウス・アーノンクールです。
優れた音響と美しい内装のコンサートホール「ムジークフェライン」でのコンサートはどの曲も耳に心地よく伝わってきた。
※ ニューイヤーコンサートの会場「ムジークフェライン」内の様子です。
DVDコンサートを視聴して、素人なるが故の発見がいくつかあったのでそのことに触れてみたい。
一つは、コンサートで演奏された曲が全て演奏時間の短い曲だったことである。ふつうオーケストラのコンサートでは交響曲などの大きな曲と小品との組み合わせが多いように思っていた。ところがこのニューイヤーコンサートですべてが短い作品だった。長くなるが、演奏された全ての曲を羅列してみる。
①ヨハン・シュトラウス 父/ラデッキー行進曲 作品228
②ヨーゼフ・ランナー/ワルツ「シェーンプルンの人々」作品200
③ヨーゼフ・ランナー/ギャロップ「狩人の喜び」作品82
④ヨハン・シュトラウス二世/ワルツ「朝の新聞」作品279
⑤ヨハン・シュトラウス二世/電磁気のポルカ 作品110
⑥ヨハン・シュトラウス二世/ポルカ・シュネル「超電盤」作品297
⑦ヨハン・シュトラウス二世/喜歌劇「ヴェニスの一夜」序曲(ベルリン版)
⑧ヨーゼフ・シュトラウス/道化師のポルカ 作品48
⑨ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「オーストリアの村つばめ」作品164
⑩ヨーゼフ・ランナー/シュタイヤーの踊り(レントラー)作品165
⑪ヨハン・シュトラウス二世/ポルカ・シュネル「観光列車」作品281
⑫ヨハン・シュトラウス二世/ワルツ「もろ人手をとり」作品443
⑬ヨハン・シュトラウス二世/ポルカ・マズルカ「いたずらな妖精」作品226
⑭ヨハン・シュトラウス二世/ポルカ・シュネル「暁の明星」作品266
〈アンコール曲〉
①ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「憂いもなく」作品271
②ヨハン・シュトラウス二世/ワルツ「美しき青きドナウ」作品314
③ヨハン・シュトラウス 父/ラデッキー行進曲 作品228
2時間の演奏時間で合計17曲を演奏したのだから、一つ一つの曲の短さが想像できると思う。演奏された曲の作曲家名を見て気付かれたと思うが、このニューイヤーコンサートはヨハン・シュトラウス二世を中心とするシュトラウス家の楽曲が主に演奏されるコンサーなのだそうだ。
さらにクラシックに疎い私でも耳に心地よく伝わってきたと前述したが、ワルツやポルカといったリズミカルな曲が多かったこともその要因のように思われる。
発見の第二は、演奏陣が全て男性だったことだ。このことが意外だった。最近のオーケストラでは特にヴァイオリンなどは女性が目立つだけに、ウィーンフィルの場合は何か制約のようなものがあるのだろうか?(グランドハープも男性奏者だった)
ウィーンフィルというと、札幌で開催されるPMFに毎年顔を見せるウィーンフィルの元コンサートマスターのライナー・キュッヘル(ヴァイオリン)氏がどこかにいないかと探したのだが、残念ながら見つけ出せなかった。次の年の2002年に小澤征爾氏が指揮者を務めた際にはコンサートマスターを務めていることが分かっているが、一年前はそうではなかったのだろうか?
第三の発見は演奏者たちの服装である。新年に行われる特別の演奏会である。指揮者も演奏者も正装なのではと思ったのだが、私の目からは極めて平服のように映った。指揮者のニコラウス・アーノンクールこそ、ネクタイが特徴あるものだったが、演奏陣は一見平服のように極めて普通のスーツ姿で、ネクタイも派手さこそないものの、それぞれマチマチのネクタイを締めていた。このあたりも何か理由があるのだろうか?
最後に驚いたのは、一部の聴衆の方たちがステージ上の演奏陣の直ぐ横に座って聴いていたことだ。この光景も私には珍しく映った。
いろいろ発見もあり、2時間があっという間に過ぎた「ちえりあDVDコンサート」だった。