国と国による深刻な争いが続いている今だからこそ、何かヒントになることが聴けるのではないか!との期待から手稲まで車を走らせたのだが…。素晴らしい事績をお持ちの講師なのだが、残念ながら私に響いてくるものは少なかった…。
9月22日(木)夕刻(午後5時)から北海道科学大学において特別講演会が開催され参加した。講演は認定NPO法人REALs理事長の瀬谷ルミ子氏が「争いを防ぐため、私たちにできること」と題して講演された。
瀬谷氏が所属するREALsとは、世界中で生起している様々な国と国の争いに対して、行動を起こし、困難に瀕している人たちを支援したり、教育することによって争いを予防するなど、多彩な活動を展開して人と人が共存できる社会を創っていこうと活動している団体だということだ。
※ 瀬谷氏は高校3年生の時に、この一枚の写真に出会って開発途上国支援の道に入ることを決心したという。
瀬谷氏はREALsに所属する以前から、国連PKO職員、外交官、NGO職員などとして紛争国に駐在し、平和構築、治安改善、兵士の武装解除・社会復帰などに従事されてきた方だという。私は彼女から実際に体験された生々しい実際の活動の数々を伺い、困難に遭遇している人たちに少しでも思いを寄せられることができるのではと期待して講演を拝聴した。
現在REALsは6ヵ国ほどの問題に関与しているという。ところが彼女は理事長として組織のまとめ役になっているため現場とはやや疎遠になっているようだった。(彼女の口からそのことに対する言及はなかったが)そのため6カ国の問題をあれもこれも紹介したいという思いが強かったようだ。どの話も拡散的すぎて私の中で彼女の活躍の様子がリアルな画として描くことができず、聴いている私に響いてこなかったのが残念だった。
※ 北海道科学大学で講演中の瀬谷氏です。
さらには、講演の目的の一つに大学生など(聴衆の中に高校生もいたそうだ)若い人たちに目的をもって人生を切り開くことの大切さを訴えることも含まれていたようで、彼女がこの道に入った経緯についても触れるなどしたために、なおのこと話の焦点がぼけてしまったきらいがあった。
REALsのように諸外国への支援に取り組むNGOやNPOが我が国にはたくさんの組織があり、多くの若者が参加しているようだが、その意義と魅力についてもっともっと聴いてみたい思いがあったのだが…。
世界には報道でも伝えられるように、さまざまな困難に直面しながら支援を必要とする生活をしている多くの人たちが存在している。そうした人たちに支援の手を差し伸べる日本の若者たちに対して、もっともっと称賛の声を上げることが必要だと思う。そのためにも瀬谷氏の今後の活躍を期待したい。
10月23日は「手稲山の日」だそうだ。それは手稲山の標高が1,023mという高さにちなんだ記念日だという。その日を北海道科学大学のメディアデザイン学科では積極的に研究活動に活用したり、支援していく計画だという。同学科の教員がその取り組みについて講義されたのを受講した。
札幌市手稲区にキャンパスがある北海道科学大学はこのところ積極的に地域に働きかけているように思える。その一環として「まちかどキャンパス」と銘打って紀伊国屋書店札幌本店を会場にして、同大の教師陣が講師となってのさまざまな講座を開催している。
昨日、その一環として同大メディアデザイン学科の道尾淳子准教授が「都市型低山登山と地域の記念日を楽しむ」と題して講義したのを受講した。
講義は時間はわずか1時間の中に、北海道科学大学のこと、ご自身が所属するメディアデザイン学科のこと、そして主題のことと、内容を詰め込んだがためにやや散漫な印象が拭えなかった。しかし、こうした類の講座の場合にはそれも致し方のないことと理解しなければなるまい。近年の北海道科学大学は他の大学と比べても積極的に大学をPRし、地域と共に歩もうとしている印象を受ける。
※ 講義をする道尾淳子准教授です。
さて、主題についてであるが10月23日を「手稲山の日」と制定した経緯については詳しく聞けなかったが、調べてみると2014(平成26)年に手稲区と地域住民の協議する中で設定された日のようである。そうした背景の中で、手稲区にキャンパスがある北海道科学大学が地域に溶け込む一環として「手稲山の日」を積極的にPRしていこうとさまざまな取り組みを展開していると受け止めた。
同大のメディアデザイン学科では「地域社会の当事者として新たな価値をデザインする」を学科のモットーとして、地域と大学の在り方、低山登山の意義、記念日を盛り上げることで地域の一体感を醸成する、等々、さまざまな視点から研究、そして実践を積み上げてきたということだ。
その実践として、これまでに学生による10月23日の手稲山登山、10月23日にこだわらず手稲山の深緑を楽しんだり、雪中を歩くイベントに取り組んだり、昨年は手稲山トレイルランの催しを開催したりしてきたという。そうした実践を繰り返す中から、10月23日の手稲山登山は、すでにこの時期は手稲山山頂が雪に見舞われることがあることから、一般市民参加の行事としては難しいという判断に至ったようだ。そこで今年度は、9月23日に手稲山登山を含んだ「20kmウォークイベント」を、10月23日に「『手稲山の日』記念イベント」として6kmウォークと映像上映会、ワークショップの開催を予定しているとした。
私としては大いに興味をそそられるイベントであるが、コロナ禍に見舞われている現在、残念ながらイベントは学内限定として予定されているようだ。
まだまだ手探りの段階のようであるが、こうした試みを粘り強く続けることによって、北海道科学大学がこれまで以上に地域住民から受け入れられる大学となっていくことを期待したい。そのことを私は見守っていきたいと思う。
がん治療の最前線は著しく進歩を遂げていることを再確認した講義だった。しかし、医療の進歩によって平均寿命は延びたが人の生涯においておよそ1/3が癌に罹るという事実は消えていないという。癌に “備える” 術を聴いた。
※ 実は北大講座の第5回講座を受講したのだが、哲学の話とあってレポするには荷が勝過ぎて、私の手には余ってしまった。そのためこの回はやむをえずパスすることにした。
北大の全学企画である公開講座「ウィズコロナの時代をどう生きるか “備える”」の第6回講座が7月8日(木)にオンラインで配信された。第6回講座は「がんに克つ ~現代の武器を知る~ 」と題して、北海道大学病院准教授の樋田泰浩氏が講義を担当された。
樋田氏はまず「がんが発生する原因は、遺伝子の異常であるが、それは細胞が分裂するたびに起きる可能性があり、完全にがんの発生をゼロに抑えることはできない」とした。
そしてがんの主要因は「喫煙、感染、飲酒」にあり、これらはいずれも遺伝子の異常を引き起こし発がんを促すとした。喫煙、飲酒については個々人の自覚に任される側面が大きいが、感染によるがんについてはウィルスや治療薬の開発が近年進んでいるとした。具体的には肝がんの肝炎ウィルスを叩く肝炎の治療薬、胃がんのピロリ菌を除菌させる方法、子宮頸がんのワクチンの開発などである。
がんは早く発見することで治る確率が高まり、治療の負担も軽く済ませることができることは今や多くの人が知るところである。そのため勧められているのが「がん検診」である。このことに関し樋田氏が強調されたことは、「がん検診の最大のメリットはがんが早く見つけられることだが、デメリットとしてがんが100%見つかるわけではないこと、また不要な検査や治療を招きかねない」ことがあり、現時点では国が推奨する「胃がん」、「子宮頸がん」、「肺がん」、「乳がん」、「大腸がん」の五つの検診で良いのではないかとされた。
※ この図は講義で使用されたものではなく、ウェブ上から拝借しました。
続いて、がんが見つかった場合についての患者として心構えについて述べられた。がんが見つかった場合、医師はその種類と進み具合を診断し、適切な治療法を選択するが、現在では国内、国際的なガイドラインが整備されていて「標準治療」が公表されているという。「標準治療」とは、数多くの治験、臨床実績の中から、確かな実績によって認められてきた最高の治療法と考えてもらいたいと樋田氏は説かれた。そしてネット上で出回る風説や民間療法などに惑わされてはいけないと強調された。ただ、医師や医療機関によっては治療方針が異なる場合があるので。不安を感じた時にはセカンドオピニオンに頼ることも一つの方法であるとされた。
講義の最後に樋田氏はがんの最新の治療法について触れた。がんの治療法は長い間「手術」、「放射線治療法」、「薬物療法」が三大治療と言われてきたが、2000年代に入り「抗体医薬」、「分子標的薬」、「免疫チェックポイント阻害薬」が登場して治療実績の向上に大きく貢献した。そして2020年に入って日本が世界に先駆けて「光免疫療法」なるものが発明したという。その発明に関わった一人が北大薬学部に所属する小川美香子教授だという。その他北大には「動体追跡陽子線治療法」を開発された白土博樹教授が在籍するなど、がん研究の最前線を担っているという、頼もしいお話を最後にされて講義を締めくくった。
樋田氏の講義は、がん治療の最前線のお話を整理され、一般市民にも理解できるように配慮されながらお話され、非常に良く理解できる内容だったことを感謝したい。
農産物の種子や種苗が新たな品種改良によって収量や品質が改善されていることは見聞きしていた。その中でも公共財的な稲や麦類の品種改良に民間企業は参入できなく、公的機関だけがそれを進めている実態を初めて知ることができた。
北大の全学企画である公開講座「ウィズコロナの時代をどう生きるか “備える”」の第4回講座が6月24日(木)にオンラインで配信された。
第4回講座は「食料生産の未来に備える ~農業研究開発制度の今~」と題して、北大農学院講師の齋藤陽子氏が講義を担当された。
正直に吐露して今回の講義についての私の理解度はかなり低いと言わざるを得ない。ということの第一の要因は、私自身が齋藤氏の提示した課題設定に対する関心度が低かったことにある。農産物の種子や種苗の品種改良は将来の食糧危機に備えるには欠かせない重要なことであることはボーッと生きている私にとっても関心事ではある。しかし、齋藤氏が研究されている種によって品種改良が制度の壁のために公的機関だけで進められ、民間企業が参入できない実状にあるという開発制度をどうすべきか、という問題について関心を持てと言われても、私には難しい問題であった。したがってこの日の私は齋藤氏の言葉が右の耳から入り、左の耳に抜けていく状態であった。
私が今回の講義でかろうじて分かったことは、稲や小麦などのいわば公共財的な特徴の強い種が研究開発によって生み出された技術知識は「公共財(非排除・非競合)」という考え方が一般的であり、農業者は自らの手で種を採取し栽培が可能でもあるということだ。対して野菜などは民間企業が競って新種開発に取り組み、それがF1種というような形で、毎年農業者は種を購入しなければならない仕組みとなっており、民間企業が利益を生む構造になっているという違いがあることが分かった。 こうした構造となっている現在の制度の中、近年になり公的機関への投資額が減少する傾向にあり品種改良が停滞気味となっていることから、民間企業の参入を期待する声もあるが、現在の制度ではそれも難しい状況だという。
この問題に対する齋藤氏のお考えは示されなかったように私は受け止めたのだが、あるいは私が聞き逃してしまったのかもしれない。
以上、苦し紛れながら講義の様子を描こうとしたが、私の聞き逃し、あるいは誤解などが含まれていてけっして満足なレポとはなっていない。なんでそんなものを投稿するのかと問われれば返す言葉がないのだが、私としてはこのような苦い思い出も書き記しでおきたいと思い、敢えて投稿した次第である。