雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ちょっと一息 ・ 随筆という分類

2014-06-30 11:00:13 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
         枕草子  ちょっと一息

随筆という分類

一般的な辞書で「枕草子」を調べてみますと、最初に「平安中期の随筆」という説明がなされています。
学校などでも、そのように教えられているようですし、和歌でも詩でもなく、小説でもなく日記文学でもありませんから、やはり、随筆という位置付けにするのが正しいのでしょう。

但し、清少納言が活躍した時代には、まだ随筆という文学形態は存在しておらず、多くは日記や備忘録のような形で記録されたものが、文学としてとらまえる段階で随筆というものが一分野を持つようになってきたのではないでしょうか。
枕草子の成立過程については、多くの研究者が考察されておりますし、枕草子の跋文(バツブン・あとがき)にも、その真偽はともかく成立過程の一端が示されています。

それはともかく、研究者としてではなく、枕草子、清少納言の熱烈なファンの一人という立場としては、この作品を随筆という分類に押し込むのではなく、それぞれの章段の中に秘められている清少納言という比類ない感性と知性を持った平安女性の息吹のようなものを、少しでも感じ取りたいと思っています。
短編小説といってもよいと思われる様な章段、長編の小説にまで膨らませることが可能と思われる章段、日記文学そのものの様な章段、短歌とほとんど差のないような表現をしている章段、そして、何か謎がありげな短か過ぎる章段、等々、枕草子と清少納言を愛するファンは、言葉の意味を少しぐらい違えたとしてもそれぞれがそれぞれの感動を感じ取っていくのが、正しいような気がしています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする