枕草子 ちょっと一息
「あはれ」なりけり
清少納言が仕えた中宮定子(後に皇后)は、中関白家の姫君として栄華の絶頂を経験しますが、やがて、父道隆の死去と共に不遇となり、道長の娘彰子にその地位を奪われていきます。そして、第二皇女誕生と共に崩御。数え年で二十四歳という短い生涯を閉じています。
清少納言は、中関白家の絶頂も衰退も間近で見ているはずです。定子の悲哀も痛いほど感じ取っているはずです。しかし、枕草子に登場する定子に悲壮感などほとんど見られません。何が清少納言をそうさせたのか、色々な意見が発表されていますが、本当はどうなのでしょうか。私は、それが「少納言さまの心意気」だと感じ取っているのですが。
第二百二十三段には、
『御手にて書かせたまへる、いみじうあはれなり』
という部分があります。
これが、枕草子全体を通して、清少納言が定子を描くのに、「あはれ」という言葉を、悲哀を表す言葉として用いている唯一の例です。
まなじりを決するようにして筆を取っていた清少納言が、ふと漏らしてしまった本音だとすれば、まことに「あはれ」なかぎりです。
「あはれ」なりけり
清少納言が仕えた中宮定子(後に皇后)は、中関白家の姫君として栄華の絶頂を経験しますが、やがて、父道隆の死去と共に不遇となり、道長の娘彰子にその地位を奪われていきます。そして、第二皇女誕生と共に崩御。数え年で二十四歳という短い生涯を閉じています。
清少納言は、中関白家の絶頂も衰退も間近で見ているはずです。定子の悲哀も痛いほど感じ取っているはずです。しかし、枕草子に登場する定子に悲壮感などほとんど見られません。何が清少納言をそうさせたのか、色々な意見が発表されていますが、本当はどうなのでしょうか。私は、それが「少納言さまの心意気」だと感じ取っているのですが。
第二百二十三段には、
『御手にて書かせたまへる、いみじうあはれなり』
という部分があります。
これが、枕草子全体を通して、清少納言が定子を描くのに、「あはれ」という言葉を、悲哀を表す言葉として用いている唯一の例です。
まなじりを決するようにして筆を取っていた清少納言が、ふと漏らしてしまった本音だとすれば、まことに「あはれ」なかぎりです。