雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

あてなるもの

2015-01-16 11:00:34 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第三十九段  あてなるもの

あてなるもの。
薄色に、白がさねの汗衫。
かりのこ。
削り氷に甘葛入れて、あたらしき鋺に入れたる。
水晶の数珠。
藤の花。
梅の花に、雪の降りかかりたる。
いみじううつくしき稚児の、苺など食ひたる。


上品なもの。
薄紫色の上に白い色を重ねた汗衫(カザミ・童女の正装で一番上に着るもの)を着ている姿。
鴨の卵(カルガモの卵と考えられ、小型で壊れやすく薄い草色をしているので、繊細な美しさを感じたのでしょうか)。
削り氷に甘葛(アマヅラ・代表的な甘味料)を入れて、新しい鋺(カナマリ・金属製の碗、ここでは銀製か)に入れてあるもの。
水晶の数珠。
藤の花。
梅の花に雪が降りかかっている様子。
とてもかわいらしい幼児が、苺などを食べている姿。



「あてなるもの」の意味は、高貴で優美な感じのものを指します。
また、「削り氷・・・」の部分は、氷室で保管された天然の氷を夏に食べるものですが、たいへん貴重なもので、果たして、少納言さまも召し上がられたのでしょうか。
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