雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ゴールの無いレース ・ 小さな小さな物語 ( 1604 )

2023-02-02 08:44:33 | 小さな小さな物語 第二十七部

サッカーW杯カタール大会も、いよいよベストエイトが激突段階に入りました。
残念ながら、わが日本チームは念願のベストエイト入りを果たすことはできませんでしたが、その戦いぶりは、わが国内ばかりでなく、海外でも高い評価を受けているようです。
予選リーグにおいて、いくつかの試合が大番狂わせだと話題になったりしましたが、ベストエイトに残ったチームを見ますと、素人の私などが見ましても、いずれも当然だと思えるようなチームばかりで、失礼を承知で申し上げれば、モロッコあたりは予想外といえる気がするだけです。
それにしても、本大会に出場できる32チームに入るだけでも大変ですが、そこからNO.1のチームを決めるための組み合わせは、なかなか大変だと思われます。リーグ戦の4チームごとに分けるのにも工夫がなされているようですが、可能な限り公平にと言うのは簡単ですが、組み合わせ方法などを決めるのは難しいことだと思われます。

様々なスポーツの大会では、勝者を決めるための最良の組み合わせ方法(予選方式)を選定しています。
陸上競技や競泳競技などでは、何人かが同時に競い合うことができますが、サッカーや野球やバスケットボールなどの団体競技の場合は、リーグ戦かトーナメント戦のどちらか、あるいはその組み合わせが主流です。
今回のサッカーW杯大会は、リーグ戦とトーナメント戦の組み合わせです。わが国のプロ野球の場合は、リーグ戦がベースですが、その後にトーナメント戦を組合わせています。こちらの場合は、NO.1を決める最良の方法と言うより、興行上の問題なのでしょう。

春夏の甲子園の高校野球大会は、トーナメント大会ですが、一度負ければそれでおしまいという厳しさが、青春が持つまぶしさと切なさとも重なって、根強い人気の一端を担っているように思うのです。
トーナメント戦というのは、語源というわけではないのでしょうが、「中世ヨーロッパで行われた騎士の馬上試合。多くは、二組に分かれた勝ち抜き式のもの。」と、辞書には説明されています。まさか、真剣勝負では無かったと思いますが、厳しい試合であった気配が伝わってきます。

さて、私たちの日常生活はどうかと考えてみますと、これがなかなか複雑な気がするのです。
サラリーマン生活は競争の連続と言われることもあります。ある学者は、「昇進は、その人がどこまで昇れば潰れるかを試しているものだ」といった辛辣な説を述べています。厳しいのは何もサラリーマンに限ったことではなく、学校でも同様で、それも、すでに幼稚園から始まるというのですから、人生の大半は競争状況にあるという気もします。
それでは、どういう形式の競争かと言うことになりますが、リーグ戦という形式はピンときませんが、トーナメント形式というのも、ごく限られた場面のような気がします。おそらく、多くは、マラソン競技のように大勢がいっせいに走り出して、長い時間をかけて優劣を決めていっているように思うのですが、考えようによっては、100m競争を何回も何回も繰り返しているような気もします。
まあ、私自身はとなりますと、ゴールの無いマラソン競走のような状態で、それも、誰かの後ろにつき、出来ればビリにはなりたくはないけれど、人より先に行くつもりもなく、途中で何度も挫折をしてきたはずですが、気がつけば、今もなおレースを続けている・・・、といった状態です。とても、トーナメント戦に出場する気迫は持ち合わせていません。
何とも情けない結論になりましたが、ゴールはあるとしても、自分では分からないままに、道草を食いながら行ける所まで行くことにしますか。

( 2022.12.10 )


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