虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

基礎的な発見15 <自分が発見したことを報告する>

2016-05-21 21:47:06 | 子どもたちの発見

小学2年生の男の子たち(1年生もひとり参加)のレッスンでの出来事。

『風林火山』という戦国国取りボードゲームで土地の奪い合いに、

「トントン相撲」で戦うルールを採用しています。

みなが転ぶか転ばないかは、人形の体型の違いによると思いこんでいた時、

Aくんが、人形をひっくり返して、「裏が少しでこぼこしているのと

つるっとしているのがあるよ。つるっとしている方が勝つよ。

それと、裏が大きい(広い)方が強い」と言いました。

「Aくん、すごい発見ね」と感心して、子どもたちを集めて、

Aくんの大発見を披露したところ、Aくんの笑顔がはじけました。

 

これまでAくんが自分から話かけることはあまりなかったのですが、

それからはどんなに小さな気づきでもわたしのところまで

報告しにきてくれるようになりました。

 

 

ボードゲーム後、スーパーボールすくいの道具を作りました。

この道具は、適当に切ったトイレットペーパーの芯にストローを1本貼りつけて

作るのですが、Aくんは2本貼りつけて、

「先生、1本だと、スーパーボールをすくう時にぐらぐらして取りにくいんだよ。

2本にしたら、勝手に動かないから取りやすくなったよ」と説明してくれました。

それを聞いたBくんが、「ぼくは3本ストローを貼ったよ」と言いました。

Bくんは、学校での学習につまずいて

すっかり自分に自信がなくなってしまった状態で教室に来はじめた子で、

自分の意見を言うことはほとんどありませんでした。

でも、「ぼくは3本ストローを貼ったよ」と言った後で、

「もっともっと伝えたい」「もっともっと自分が発見したことを言いたい」

という気持ちが溢れるような様子で、

「それから、このじゃばらのところにね、緑のテープを貼っておくんだ。

どうしてかというと、じゃばらのところが、ぐらぐらするんだよ。

ここを貼ったら動かないから、スーパーボールが動かないんだ」と言い添えました。

 

すくっては量ることを繰り返していた時、ちょうど500グラムすくった子がいました。

「コップ3ばい分で500グラムということは、

コップ1ぱいだとだいたい何グラムくらいかしら?」とたずねたところ、

2年生のAくん、Bくん、Cくん、1年生のDくんの4人が

真剣に考えて意見を言い合う姿に感動してしまいました。

「250グラムかな?でもちがうね。それだと、コップ2つの場合だもん。

500割る2は250でしょ?」

「じゃあ、200グラムずつだとしたら、200、200、

200だから600だから多いから150グラムずつにしたら、

150たす150は300で……」

「じゃあ、それだと、450グラムだから、まだ足りないから、

だいたい175グラムくらいじゃない?」とのこと。

この真剣さが生まれたのは、大人にしたらどうでもいいように映る

トントン相撲での人形の足の裏についての発見やストローの本数を

変えることについての発見を報告したことによるようでした。

自分の内面から生まれる言葉を口にして認められると、自信を持って

自分の言葉を口にするようになりますから。

 

 

Bくんが発見したすくう道具の角度が

どんな場合もスーパーボールが落ちない切り込みの入れ方。

 

↑Bくんの発見。

 

 Aくん作。最強無敵のスーパーボールすくい。

 

 

Cくんがはかりのめもりが指しているところを

大きく書きなおしためもりの紙で示してくれています。

「Cくん、ひとめもりは何グラムなの?」とたずねると、「5グラムだよ」との返事。

「めもりは、5グラムの半分ね」と言って手の平をさしだして、5を2つに分けると

だいたいいくつといくつだと思う?」と聞くと、

「だいたいじゃないように言いたい、うーん、2.5でしょ?」と答えました。

「わかった152.5グラムだ」とのこと。Cくん、ナイスです。

小数点は習ったことがないのですが、普段の生活で見聞きしていることから

わかったようです。

すると、Dくんが、「それ知らない。どういうこと?」と寄ってきました。

ものさしを見せて、1を10個に分けたうちの1つが0.1と説明すると、

「それなら、ここが1.1でここが1.2」と一生懸命読もうとしていました。

 

芯を長いサイズにして、「たくさんスーパ^ボールをすくえるのを作ったよ」と

報告するAくん。

 

興味を持っていたBくんに上のような絵をかいて

円の半径がいくらになるのかたずねると、

「10,10、10,10だから、5でしょ?」としっかり答えていました。

 

 算数タイムは、いつになく大盛りあがり。

「計算させて」「ぼくが解きたい」と意欲にあふれていました。


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