教室では、子どもの「こんなことがしたい」という声に応えるためのさまざまな体験を用意しているのですが、「こんなことがしたい」と言葉に出して伝える前の個性のなかにある潜在的な
「この子は好きだろうな」
「この子はこういう才能がありそう
「この子はこういう機会を増やすと伸びそう」
という体験も用意しています。
後者の体験は、子ども側の言葉にまだなっていないものなので、これまで教室で子どもたちの成長を見守るなかで培ってきた
「こういうタイプの子はこういうことを好みそう」
「こんな体験のなかで成長しそう」
という勘に基づいて準備しています。
前回の記事のAくんのような資質の子は、科学実験をしたり生き物や植物の生態を観察したりする機会をたくさん作ってあげるといいんじゃないかな、と感じています。
Aくんは、ひとつの物事について知ると、「じゃあ、こっちはどうなの?」「こっちはどうなの?」と必ずよく似た別のものでそれを試したがります。
この日のレッスンでもこんなことがありました。
教室でおもちゃを選ぶとき、Aくんはまず0歳の弟くんのために下の写真のようなおもちゃを選んであげてから、自分のおもちゃを探しに行っていました。
でも、少しすると弟くんは、Aくんが遊んでいる恐竜をつかんで口に入れました。
Aくんがみるみる困り顔になったので、
「Aくん、見て、弟くんがおててをピーンで伸ばしたら、ここからここまで届くね。おててが届かないところまで恐竜を引っ越しさせないと」と言いながら、
Aくんの弟くんの手が描く半円を手で示すと、Aくんは興味しんしんの様子で話を聞いて、弟くんの近くの恐竜たちを移動させました。
でも、弟くんは、さっきつかんだおもちゃをまだ口に入れたままでした。
「引き出しに入っているおもちゃ(恐竜など)は、みんなが触るから赤ちゃんが口に入れるとバイキンを食べちゃうね。
先生が赤ちゃんのおもちゃを持ってくるから、弟くんに恐竜と交換してもらおう」
そう言って赤ちゃん用のおもちゃを取ってきました。
すると、弟くんは今度は小さいカニのフィギュアをなめていました。
「もう歯が生えていたら、カニのあしの小さいかけらを飲み込んでしまうかもしれないから危ないね。弟くんに赤ちゃんのおもちゃと代えてもらおう」
わたしがそう言うと、Aくんは、恐竜を取り返すことより、わたしの話に関心があるようでした。
小さいものはゴクンと飲み込んでしまうから赤ちゃんがかじったらダメ、引き出しのおもちゃはみんなが遊んでいるからなめたらバイキンを食べてしまう、といった理由についてくわしく聞きたがった後で、
壁にかかっているメダルを指さして、「あれは(弟が)なめてもいいの?」とたずねました。
「あれは、ダメよ」
「どうして?」
「あれは金属だから」と言っても
「どうしてなめたらだめなの?」と再びたずねます。
確かに、メダルは赤ちゃんの歯でかみきって飲み込むものではないし、多くの子が手で触れて遊ぶものでもありません。
金属はどうしてなめたらよくないのか、説明するのは難しいです。
メダルに興味があるようだったので、アルミハクを銀メダルに重ねてこすりだしをしました。
アルミハクの表面にメダルの形が現れました。
喜んだAくんは、「金メダルならどうなるの?」とたずねました。
そこで、金メダルもこすったところ、先にこすったものと同じ形が出てきました。
大人にはわかりきったことなのですが、実際に試して、目で確かめると、何だか不思議な感動がありました。
↑ 「これはなめても大丈夫なの?」とぷにぷにした素材の人形を探してきたAくん。
その後、磁石は赤ちゃんが口に入れたら危ないからここでしか遊べないよ」と注意して、
磁石でチョウチョを空中に浮かせる遊びをしました。
お外で、太陽光発電で動くドラえもんカーで遊びました。
日が当たっているところで走り、人の影や日陰に入るととまります。
どんなときに走るのか確かめる姿に、観察したひとつひとつの物事について自分の頭でゆっくりじっくり考えてみようとするAくんの個性と資質が光っていました。
コメント書いていたら長くなってしまったのでブログの方で記事にさせていただきました。こちらの記事も紹介させていただきました。