「Aくん、ゲームをして遊ぼうか?どのゲームで遊びたい?」とたずねると、
HABA社のErster Obstgarten という絵本の世界から飛び出したような素朴で愛らしいゲームを選んできました。
これはまだ弟くんが生まれていなかった頃、ずいぶん前にAくんのお気に入りだったゲームです。
そういえば、普段は、お兄ちゃんのゲームに付き合うことが多くて、やっていなかったのです。
Aくんのお兄ちゃんがAくんの年齢の時は、ストラテゴという軍人将棋の一種がやたら気に入ってそればかりやりたがっていました。
Aくんとお兄ちゃんのこんな過去記事を見つけました。(注 記事内のAくんとBくんはここでは反対で兄がAで弟がBになっています)
ボードゲームが大好き♪
↑ ストラテゴ
Aくんのお兄ちゃんは、数の大小によって勝敗が決まるゲームや、ポンジャンのようにたくさんの駒があって、それらを集めたり組み合わせたりするゲームが好きな子です。
危険を顧みず、どんどん攻めて、勝ち取っていく隙のない遊び方を好みます。
一方、Aくんは隙こそが遊びの要、喜びのもと、というような子で、ひとつひとつの物事を自分の内面で大きく膨らませて味わうのが好きです。
ゲームにしても他の遊びにしても、その背後にある物語性を楽しむ姿があります。
Erster Obstgartenの本来のルールとは少し異なるのですが(教室ではゲームのルールをその子の発達段階に合わせて調整しています)、
「色さいころを振りながら、赤、黄緑、藍色、黄色の4色の果物をすべて異なる種類を1つずつ集めて、4つそろった人が勝ち」というルールで遊びました。
色さいころには、カラスとかごの目があって、どちらもドキドキするアクシデントが起こります。
Aくんはこのルールの意味をよく理解して遊んでいました。
途中で、かごの目が出て、せっかく集めた果物をひっくりかえさなくてはなりませんでした。
その後、木のところに、藍色がひとつもなくなってしまい、このままでは、Aくんがいつまでも4色そろえることができないと思ったので、
「かごをひっくり返した時の果物を木に戻しておくことにしようか」と言って果物を木のプレートに戻すことにしました。
するとAくんから、「木からいっぺん取った果物は、もう木にならないんだよ。木から落ちたら、ずっとそのままだよ」とダメ出しがありました。
確かにそうですね。
Aくんは身の回りのことをよく観察していて、それが次にどうなるのか、前はどうだったのかについて考えをめぐらせることが好きです。
Aくんについて、こんな笑い話のようなエピソードがふたつあります。
Aくんが2歳の頃、ユースホステルのレッスンで、オニが好きなAくんが、「大きくなったらオニになりたい」と言ったことが小学生の子どもたちに大受けでした。
その翌年、3歳になったAくんがウルトラマンが好きだというので、前年、いっしょにユースで過ごした小学生の子ら(Aくんのお兄ちゃんの友達のきょうだいです)が、
「Aくん、大きくなったら、ウルトラマンになるの?」とたずねました。
すると、Aくんはきっぱりと、「ウルトラマンにならない」と言いました。
「どうして?」とたずねられると、
「お父さんもお母さんもウルトラマンじゃないから、大きくなってもウルトラマンにならない」と答えました。
最近、Aくんはお母さんにこんな自論を披露したそうです。
お兄ちゃんに恐竜は本当に生きていたことを教わったのでしょうか、
「怪獣が生きていたときの後で、ウルトラマンが生きているときがきて、その後で、人間がいるんだね」