金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

57:川上弘美 『ゆっくりさよならをとなえる』

2005-07-18 19:49:03 | 05 本の感想
川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』(新潮社)
★★★★☆

小説にはとらえどころのない不思議な感じのものが多く、
本によって合う・合わないの差が激しいのだけど、
エッセイの印象は安定して良い。
『センセイの鞄』を評して、山田詠美が確か、
落雁にたとえていたと思うのだけど、言い得て妙。
のびやかで、はかなくて、ほんの少し悲しい感じ。
江國香織の書く世界と、ほんの少し通じるところがある。
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56:鯨統一郎 『タイムスリップ森鴎外』

2005-07-17 19:47:53 | 05 本の感想
鯨統一郎『タイムスリップ森鴎外』(講談社文庫)
★★★★☆

待ち合わせまでの時間つぶしに入った本屋で発見。
わたしはドイツで森鴎外記念館まで行った鴎外好き。
見逃せん!とその場で立ち読みしてしまった。
何者かに命を狙われた鴎外が、なぜか現代にタイムトリップしてしまう
という、コミック的というのか、非常にライトな印象のストーリー。
女子高生との会話のかみ合わなさもさることながら、
「モリリン」と呼ばれて金髪になってメールを打ち、
ラップまで歌っちゃう適応の早さにウフフと笑ってしまう。
単純におもしろい。

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55:幸田文 『季節のかたみ』

2005-07-13 19:45:56 | 05 本の感想
幸田文『季節のかたみ』(講談社)
★★★☆☆

教材でよく目にはしていたのだけど、きちんと読んだことはなかった幸田文。
どこかの文芸雑誌でファザコンの例として挙げられていたのを見て
「これは読まねば!」と借りてきました。
上品でやわらかな手ざわりの随筆集。
露伴の話はあまり出てこなかったのだけど、幼い頃の父の教えが
生涯にわたって作者に影響を与えていたのが端々に感じられます。
あまりにもさらさらとしているので、一気に読み通すのは難しい。


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54:乃南アサ 『6月19日の花嫁』

2005-07-12 19:44:43 | 05 本の感想
乃南アサ『6月19日の花嫁』(新潮文庫)
★★★★☆

いわゆる記憶喪失ミステリーなのだけど、謎が謎を呼び、
飽きさせない展開に始終どきどき。
最後の恋人との馴れ初めのようなものが一切なかったので、
主人公の記憶はつながったはずなのに、
どうにも不完全な印象がぬぐえませんでした。おしい。
三回はないだろう、三回は・・・と非現実的ではあるのだけど、
ロマンチックな面もあって読後感はたいへんよいです。
戦うヒロインがたくましくて好感が持てる。

あと、自分のこと名前で呼ぶ女の子って、絶対同性にきらわれる。


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53:甲田学人 『Missing (13)』

2005-07-12 19:43:25 | 05 本の感想
甲田学人『Missing (13)』(電撃文庫)
★★★★☆

あ、これも電撃文庫だったのか・・・。
一冊で今までの伏線をどうまとめるのかとよけいな心配を
していたのだけど、うまくまとまっていたと思います。
後味の悪い終わり方ではありますが、
凄惨な感じが物語に合っててこれはこれでよかった。
主人公も探偵役も、最後まで印象薄かったなあ・・・。
探偵役が自ら動いたのって二巻ぐらいだったのでは?
最後のヒーローは摩津方だったと思います。

個人的にはおもしろかった&怖かったのは四巻まで。
スプラッタ的な演出がどうにも受け入れられず、
五巻以降は「怖い」というより「気持ち悪い」という感じ。
一巻から思ってたけど、作者は亜紀みたいな子を書くのが
いちばん得意なのかもしれない。
精神的に追い詰められていく過程なんて、本当にうまい。

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好きな映画:『ニュー・シネマ・パラダイス(完全版)』

2005-07-11 19:40:30 | 映画の感想
『ニュー・シネマ・パラダイス(完全版)』(ジュゼッペ・トルナトーレ/1989年)

ベタではありますが。
完全版と通常版、どちらを先に見るかで感想が大きく変わりそうですね。
まったくちがうお話になってしまうので、後から見たほうを
蛇足だと思ったり、物足りないと思ったり。
わたしは先に完全版を見たので、やはりこちらに一票。
通常版のほうがわかりやすいお話にまとまってるとは思いますが、
完全版は人生の悲哀みたいなものが感じられて好きです。
ラストシーンではやっぱり涙が出ました。

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好きな映画:『愛人(ラマン) 』

2005-07-11 19:39:11 | 映画の感想
『愛人(ラマン) 』(ジャン=ジャック・アノー/1992年)

ん? またロリータ的な年齢設定の映画だな・・・。
仏領インドシナに住む貧しいフランス人少女が、富豪の中国系青年の
愛人となって逢瀬を重ね、別れてフランスに帰るまでのお話。
R指定のつきそうな過激なベッドシーンもあるのですが、
街の風景も美しく、ストーリーもせつない。
若くして生涯忘れられない恋(しかも悲恋)に出会ってしまうのは、
幸運なのか不運なのか・・・。
ノスタルジックで美しい物語です。

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好きな映画:『シベールの日曜日』

2005-07-11 19:37:54 | 映画の感想
『シベールの日曜日』(セルジュ・ブールギニョン 監督/1963年)

戦争で心に傷を負ったパイロットと父に見捨てられた12歳の少女の、
心の交流を描いた物語。
モノクロ映像で見にくいところもありますが、悲しく美しいお話です。
「ロリコンから熱烈な支持を受けている」ということですが、
『ロリータ』のような生々しさ、背徳的な感じは一切ありません。
孤独な心が寄り添いあう、清らかな愛情の物語。
DVDが出たら絶対買おうと思っているのだけど、そんな気配もなさそうだなあ。
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52:宮部みゆき 『とり残されて』

2005-07-10 19:36:21 | 05 本の感想
宮部みゆき『とり残されて』(文春文庫)
★★★★☆

表題作が怖かった。子どもの幽霊って、なんだかそれだけで恐怖。
『死にぞこないの青』の感想でも書いたけれど、
小学生のとき先生との間に起こったできごとは、
大人になった今でも意外なほど鮮明に覚えている。
恨みとか怒りではない。無力感をともなう、もの悲しい記憶。
それを思うと、自分が子どもと接する仕事についていることに恐怖する。
基本的にファンタジーやSFは苦手なのだけれど、違和感なく読めました。
「たった一人」がおもしろかった。

コメント (2)
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51:『Love Stories』

2005-07-10 19:35:05 | 05 本の感想
『Love Stories』(水曜社)
★★★★☆

八人の作家による恋愛小説のアンソロジー。良作揃いだと思います。
一部感想。

山田詠美「ぼくの味」
 うまいなあ。短編としての完成度は群を抜いている。
 作者らしい話。安定していて、読んでいて安心する。

鷺沢 萠「誰かアイダを探して」
 高校生のころに読んだ「少年たちの終わらない夜」や
 「スタイリッシュ・キッズ」と同じパターン。
 20歳の頃に思い入れがあったのかな?

川西蘭「ふたりの相棒」
 バスケに熱中する女の子の話。最初に出てきた社会人たちと、
 後半の男の子たちの話が分離してしまっている印象。

川島誠「クーリング・ダウン」
 陸上部の男の子と先輩の話。主人公が高校生なのもあって、
 初々しい、可愛らしい印象。中編、あるいは長編で読みたい。
 『800』も前から気になっている。

角田光代「猫男」
 恋愛依存症というか、都合のいい女というか、
 男にいいように利用されてしまう主人公が多いですね。

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