金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

大河ドラマ『いだてん』#35

2019-09-15 21:22:58 | 大河ドラマ「いだてん」
1940年のオリンピックが東京開催に。

政治的なわだかまりが、ありすぎるほどある中、
支持してくれた中国の委員にお礼を言う嘉納先生。
握手を拒否しながらも、

「同じアジア人として支持するしかなかった」

という彼のアジア人としての葛藤、理性、
スポーツを愛する者としての信念よ……。

アジアでのオリンピックはアジア共通の悲願といえども、
中国の委員である彼が国で批判されることは
嘉納先生たちにもわかっている。

拒否されても無理矢理握手してしまう先生、
とても「らしい」ね。

* * *

ベルリンオリンピックでは、ナチスの存在感大。
行進は軍隊のようだし、
大会の期間中だけユダヤ人は差別を緩和されて
スタッフとして配置される。
日本人選手は隔離され、
検閲のために郵便物は開封され、
選手村では「ハイルヒトラー」のセリフが流行。
次の開催地として東京が選ばれたのも、
日本に恩を売ろうとするヒトラーの
圧力によるものであったことが示され、
まーちゃんに
「好きじゃない、このオリンピック」
と言わせるほど。

朝鮮半島出身の選手が「日本人」として出場し、
祖国の国歌を歌うことも国旗を掲げることもできない。

政治とオリンピックを切り離すことの難しさを描いた今回、
明るさや希望も見せつつ、やっぱり重苦しい45分だったわ……。
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145:櫻井陽子ほか 『平家公達草紙』

2019-09-13 21:20:07 | 19 本の感想
櫻井陽子・鈴木裕子・渡邉裕美子『平家公達草紙: 『平家物語』読者が創った美しき貴公子たちの物語』(笠間書院)

【Amazonの内容紹介】

『平家物語』に満足できないなら
自分たちで書けばいいじゃない?

『平家物語』の登場人物を借り、鎌倉時代の読者が創った
美しき御曹司たちが織りなす逸話集『平家公達草紙』。
公達への夢と憧れの詰まった、二次創作の元祖!
全話の内容をストーリー仕立てでわかりやすく紹介!
現存する三系統の影印・翻刻・注・現代語訳を掲載!
本文の読解を助ける補注とコラムを豊富に収録。
資料編には系図・書誌・人名一覧・人名索引を収録。
『平家公達草紙』の下地『安元御賀記』翻刻を初紹介。

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全部は精読していないので好み度★はなし。

書店で見つけたもの。
「鎌倉時代の二次創作」という説明に惹かれて。
こんな物語があったとは知らなかった。

京に住む女性たちにとって、「平家物語」の中で
最も興味を惹かれたのは合戦の場面ではなく
自分たちにとってなじみのある今日でのエピソード、
というのには納得。
そりゃあ、坂東武者より平家の公達のほうにときめくよね。

「建礼門院右京大夫集」でときめく
→「平家物語」を読む
→萌えが足りない! 二次創作したろ!
になるのもわかる。

大部分は原典の写真・翻刻・注・現代語訳・絵巻の写真で
構成されていて、
門外漢が気軽に読めるページはほんのわずかなので、要注意。
古典としてがっつり知りたい! という人にはおすすめ。

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144:田辺聖子 『おちくぼ姫』

2019-09-13 21:02:23 | 19 本の感想
田辺聖子『おちくぼ姫』(角川文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

貴族のお姫さまではあっても、意地悪い継母に育てられ、
召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられ、
床が一段低く落ちくぼんだ部屋に
ひとりぼっちで暮らしている姫君―
といえば“シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。
姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある
「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた
王朝版「シンデレラ物語」です。
若い読者のために現代語訳された、
とびきり面白い物語を楽しんで下さい。

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装丁がすごく可愛い。

原作にある下品な要素も含みつつ、
原作の兵部の少輔の扱いのような
「ちょっと、それは倫理的にどうなの?」
という部分に関しては作者独自のアレンジも加え、
エンタメに昇華している。
継母たちに復讐しながらも、最後は許して
ハッピーで終わっているところがいいよね。

前書きと後書きの書き方からすると、
読者層としては中高生あたりを想定しているのかな。
当時の風俗についてもさりげなく説明がされているし、
短くまとまっているので古典入門としておすすめ。

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143:青山七恵 『すみれ』

2019-09-12 12:33:34 | 19 本の感想
青山七恵『すみれ』(文藝春秋)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

十五歳のわたしの家にとつぜんやってきて、
一緒に住むことになった三十七歳のレミちゃん。
むかし作家を目指していたレミちゃんには
「ふつうの人と違う」ところがあった…。
季節のうつりかわりとともに描かれる人と人とのきずな、
人間のみにくさと美しさ。
そして涙がおさえられない最後が待ち受ける。

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ものすごく久しぶりの作家さん。
読んだのは単行本版。

両親が突然手のひらを返したような態度を取るのだけど、
レミちゃんのずうずうしさや甘え、
彼らの体面をつぶすようなふるまいを考えると、
いくら同情して助けたいと思っていた人でも
見放すよね……と納得はできる。

そして両親の気持ちはわかるけれども、
家に友人たちを招いて頻繁にホームパーティをする
アート系の、いわゆる「成功者」である彼らとレミちゃん、
どちらが自分に近いかといったら
やっぱりレミちゃんなんだよな。

もやもやしてすっきりしない、
だけど不快でない読後感が不思議。

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142:日本一研究会 『一度は見たい! 日本一百景』

2019-09-10 08:39:34 | 19 本の感想
日本一研究会『一度は見たい! 日本一百景』(洋泉社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

日本最大の打ち上げ花火、日本最古の桜、日本一短い川、
日本一長いベンチ…「日本一」から見る絶景珍景100。
エリア別に厳選、空から見た絶景日本一も収録!

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「日本一短いエスカレーター」(川崎モアーズ)の
「存在意義の不確かさで人気!」
というコメントで笑ってしまった。
そして、「琵琶湖」の名称が定着したのが
江戸時代だということにびっくり。
最近じゃん!
ウィキペディアで確認し、ついでに「遠江」の由来も知る……。
「近江」が「都に近い海=琵琶湖」に由来するのは知ってたけど、
「遠江」は「都から遠い海=浜名湖」に由来するのね……。
「急がば回れ」も琵琶湖に由来するのか。

三重県の丸山千枚田(日本一棚田が多い)、
鳥取県の湖山池(日本一大きい池)は見にいきたい。

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141:水野敬也『夢をかなえるゾウ』

2019-09-09 08:09:47 | 19 本の感想
水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで」
ダメダメなサラリーマンの前に突然現れた関西弁を喋る
ゾウの姿をした神様“ガネーシャ”。
成功するために教えられたことは「靴をみがく」とか
「コンビニで募金する」とか地味なものばかりで…。
ベストセラー『ウケる技術』の著者が贈る、
愛と笑いのファンタジー小説。

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10年以上前に、ものすごく売れててドラマ化した、
という記憶はあったんだけど、読んだことのなかった作品。

自己啓発本の内容を、コメディ仕立てで
ストーリーに落とし込んだのがよかったんだろうな。
おもしろかった。
作中にもあったけれど、自己啓発本は、
読んでいる最中や読んだ直後は
自分を奮い立たせてくれるんだけど、
すぐ忘れて実行しないままになっちゃうんだよね……。

エピローグは、これまでのガネーシャの言動を踏まえたもので粋。

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大河ドラマ『いだてん』#34

2019-09-08 20:48:28 | 大河ドラマ「いだてん」
二・二六事件によって戒厳令が敷かれたにも関わらず、
「こんな時だからこそ!」
とオリンピックをあきらめない嘉納先生。

「どんな時でもオリンピックだろう!」
とまーちゃんに突っ込まれながらも、
世界情勢も日本国内のムードもおかまいなしに
我を通す嘉納先生の、
無邪気さというか軽やかさというか、
なにがなんでもわが道を行く感に胸を打たれたよ……。

日本に視察にやって来たIOC会長のラトゥールに、
ムッソリーニへの交渉は自分の指示だったことを
話して、ちゃんと杉村をかばってるんだよね。
杉村に翻訳しろと言いながら、
翻訳スピードをまったく無視して
自分の好き勝手にしゃべりだすのが
マジ治五郎って感じで笑ったけども。

IOC委員を辞めるという杉村の功績を
まーちゃんが讃えるのもよかった。
ひとつの目標に向かってそれぞれが力を尽くす、
仕事人のチームという感じでとてもよい。

* * *

それに対して、熊本の四三ときたら!
家庭人としてはダメな男だと繰り返し描かれていたけど、
今回もひどかったね……。

二・二六事件で家出は取りやめたものの、
再び東京へ行くと言いだす。
幾重の了解を得たら軽口をたたき、
身重のスヤさんの気持ちをまったく考えない。

幾江さんが自分の寂しさを訴えたことで
四三も泣いてたけど、
「うぜえ……なに泣いてんだよ……」
という感想しか出てこなかったよ。

実際、子どもをつくることしかできていなくて
家業にはまったく役立っていないわけだから、
自分の能力を発揮できる環境に身を置きたいという
気持ちはわかるんだけどね……。

【その他いろいろ】

・ラトゥールを案内するための車夫に抜擢された清さん、
 まったく屈託なくラトゥールの肩抱いてるの、いいよね。
 小梅も落ちついた雰囲気の、いいおかみさんになった。

・菊枝が「まーちゃん」と呼んだり、
 まーちゃんが憤りながらも菊枝を「君」と呼ぶのに
 ときめいた。

・クーベルタンとのやり取りも、ここへつながっていたんだなあ。
 よくできたドラマであるよ。
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140:益田ミリ 『美しいものを見に行くツアーひとり参加』

2019-09-08 10:59:35 | 19 本の感想
益田ミリ 『美しいものを見に行くツアーひとり参加』(幻冬舎)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

一回きりの人生。行きたいところに行って、
見たいものを見て、食べたいものを食べるのだ。
ツアーに申し込めば、どこにだって出かけられる!

41歳 北欧でオーロラを見た
42歳 ドイツのクリスマスマーケット
44歳 世界遺産モンサンミッシェル
45歳 ブラジル・リオのカーニバル
48歳 台湾で平渓天燈祭に参加

旅じたくからお土産、
団体旅行での身の処し方まで。
40代の旅は自分仕様。

エッセイとイラストと写真で構成。

*********************************************

そうだよな~。
学生のころならいざ知らず、働きはじめてから
一週間、だれかと合わせて休みを取るなんて
家族であっても至難の業。
「だれかといっしょじゃないと」と考えると
行動がかなり制限される。

海外にはあまり惹かれないんだけど
ドイツのクリスマスマーケットのパートがとても素敵。
ここは行ってみたくなった。

海外にひとりで行って「世界を知っている」気になり、
ツアーの旅行客を馬鹿にする人はよくいるけれど、
そういう人は、人それぞれに人生の優先順位があって、
何を目的にするかが異なっている……ということが
わからないんだと思う。
時間や体力に制限がある中で、
手軽に海外を体験したいという人はいるんだよ。

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139:木下ほうか 『僕が骨髄提供をした理由。』

2019-09-07 18:24:34 | 19 本の感想
木下ほうか『僕が骨髄提供をした理由(わけ)。 言うほどたいしたことなかったで~!』(美術出版社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

人気俳優・木下ほうかさんの生き字引を通して、
今後多くの方に、ドナー登録・骨髄提供についても
考えていただける一冊!
2009年に骨髄バンクを介して骨髄提供をしたことがきっかけとなり、
2017年に骨髄バンクのCMに出演。
有名人として実際にドナー登録をし、骨髄を提供されたのは
稀有な存在だったことから起用されました。
木下さんがCM出演後、登録者数が一気に急増。
先日、放送されたTBS系バラエティ番組『爆報! THEフライデー』で、
初めてテレビで骨髄提供について語り、大きな話題になりました。

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先輩から借りた本。

芸能界には本当に疎いので、著者のことは顔はおろか
名前すら知らない状態だったのだけれども、
胸打たれる本だった。
見た目から予想されるより文字量は少なく、
気負わずに読み切れる。

献血だって骨髄提供だって、健康体の持ち主なら
失うものはほとんどないのだから、
やったっていいんだよね。
それなのに、何か恐ろしいような、強い抵抗を
感じてしまうのはなぜなのだろう。
歳を取って、誰かのためになるのならと
定期的な寄付をするようになった。
(若いころはそんな余裕ない!と思っていた)
それと同じように、残りの人生を意識し始めると
抵抗感も徐々に減っていき、
自分も提供できるようになるのだろうか。

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138:藤枝理子 『もしも、エリザベス女王のお茶会に招かれたら?』

2019-09-05 10:55:31 | 19 本の感想
藤枝理子 『もしも、エリザベス女王のお茶会に招かれたら?-英国流アフタヌーンティーを楽しむ エレガントなマナーとおもてなし40のルール-』(清流出版)

【Amazonの内容紹介】
紅茶には細やかなマナーがあります。
それは心遣いを美しく表す素敵な文化。
人気サロネーゼが教えるティーマナーとおもてなしの作法

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写真がすてきだったから読んでみた本。

三段になってるティースタンド、
好きなとこから食べたらいけないらしい……。
サンドイッチ→スコーン→お菓子の順で
食べ方が決まっているのだそうだ。

階級によってお茶会のマナーがちがい、
ふるまいによって所属階級が出てしまうという。
おそろしいこっちゃ。

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