事例1: 特別養護老人ホームに入所中で、認知症がありほぼ寝たきりの状態の方である。ご家族はこのホームでの安らかな最後を期待しており、万が一の時の延命処置は希望していない。そんな高齢の方であるが、ある日の夜中、しだいに状態が悪くなりいよいよその時がきたのである。ところがこのホームの嘱託医が都内遠方に住んでいるためか、ホーム職員は嘱託医に連絡せず、救急車を呼んでしまったのである。当然、救急隊は「全身状態が悪い」のであるから救命センターに搬送した。救命センターでは、最初から「看取り医療」はしないし、既往歴も事情も分からない患者さんなので蘇生処置を始めた。するとほどなくしてとりあえず心臓だけは動き出したので集中治療室で家族に面会させたのである。生命維持装置を沢山付けた患者さんの姿をみて家族は「唖然」としたようである。さてここまでの登場人物で誰が悪いのか?