振り下ろした円筒から練炭の燃えカスが飛び出し煙幕状にひろがった。もし周囲で見ている人がいたら、おそらく私は煙幕とともに消え去ったと思うだろう。でも違った。私は振り下ろした瞬間にバランスを崩し地面に落ちたのだ。2mくらいの高さであろうか? 不思議と今まで沢山のケガはしたが骨折の経験はない。この時も骨の一つでも折れてよさそうだったが軽い打撲のみだった。私が転落して痛がっているところに「朴」という在日の子供が通りかかった。今なら「パク」というのだろうが、当時は日本語読みで「ボク」とみんなが呼んでいた。自分より数歳年長であるが、普段一緒に遊んだこともある近所に住んでいる子であった。