また出直してもらうことにしたが、数日後その患者さんは検査結果のコピーをもって再来した。拝見したが、いわゆる病原性細菌が陽性にでたのである。まあ何も症状がない健康保菌者のようなので抗菌薬を1ヶ月ぐらい出して、それからまた便検査でもしようと考えた。確認のため「今日の治療指針」という本を読んだら、「2類感染症」とやらに分類されている。確かに発症者であれば感染症の専門病院に行ってもらわなければならないが、「健康保菌者」の場合はどう扱ったらよいのか記載がない。もちろん患者さんは無症状で元気である。まあ患者さんには申し訳ないが、とりあえず専門病院にいってもらうように紹介状を書いた。それにしても初診の時は「いけばわかるさ」ということで診療もなにもしていない。なので初診料はサービスした。今回も何もしていないが感染症専門病院に紹介状かいたので再診料と情報提供料は請求させていただいた。企業の健康管理者がちょっと気を利かしてくれれば、患者さんは何度も医療機関に来ることもなかったし、こちらも医療費をきちんと請求できたのである。「いけば分かるさ」は確か一休禅師の言葉だったが、医療の現場では情報提供がないと「行くも分からず」なのである。