個人情報保護法というものができた当初はずいぶん混乱した。なんでもかんでも患者の情報は秘密にしておかなければならないものと思われていた時期があった。しかし公序良俗に反する行為や反社会的行為が原因で入院した患者の情報は、関係捜査機関に秘匿する必要はないことが現在主流となってきたのである。今考えると当然である。特に救命センターに搬送されてくる患者では、交通外傷やら傷害やら抗争やらいろいろな傷病者がいた。警察と接点をもつ科としては救命センターが一番であろう。過去自分は散々警察などの関係諸機関と面談した経験がある。その都度、手かせ足かせとなったのが、この個人情報保護という概念だった。正直、面倒だったのである。こちらは重症な傷病者の診療に専念したいところであるところに「警察の方がお話を聞きに来ていますよ」と診療を中断されると、とたんに患者ではなく自分の血圧が上昇するのである。<o:p></o:p>