大昔の話である。学生時代、臨床実習が忙しくなってからは大学近辺に下宿していた。どういうわけか近くの商店街の人達と懇意となりバス旅行に誘われたのである。10人ぐらいの小旅行でありマイクロバスで茨城の袋田の滝に行った記憶がある。昼過ぎのことであった。昼食場所を探していたが山奥に1件の蕎麦屋があった。かなり大きな店であったがシーズン中の休日ということもあって広い店内だったがものすごく混んでいたのである。6~7人座れるテーブル席がいくつも置いてあったが、全員が一緒にすわれるほどの余裕はなく、2~3人単位でバラバラに着座、相席することになった。目の前には前のお客の丼がたくさん残されたままであった。そしていつまでたってもその丼がさげられる気配もないし注文を取りに来ることもなかった。見渡すと、たまに店員が忙しそうに注文された蕎麦をイライラした表情の客に運んでいる。どうやら店員が足りないのであろう。一緒に行った仲間の一人が「お~い、注文!」と声をかけても返事もないのである。