バスはすでに発車している。しかし誰も会計を済ませていないのだ。伝票などもなかったようである。このまま食い逃げしてもばれないであろう。それほど会計しないで出てきた一連の行動が恐ろしいほどスムーズだったのである。「もういいよ、このまま行こう」という意見もあったが、「後味悪いから、戻って払おうや」という結論になった。さてまたバスはUターンして店に戻ったのである。相変わらず店内は食事中の客とその間に立っている席待ちの客であふれかえっているのだ。「お勘定お願いしまーす!」 大声で声をかけたが店員は出てこない。もう一度声をかけるも、店内の騒然とした話し声のためか聞こえていないようである。その後、幹事さんは何回か大声をだして店員を呼んだが、ようやく何回目かに奥から「は~い」と声がした。ところがいくら待てどもまったく出てこないのである。「・・ったく、これじゃあ戻ってくることなかったよなー」と幹事さんはため息をついた。