吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

両親の賠償請求棄却(給食の白玉窒息事件) その5

2017年06月12日 06時23分12秒 | 日記
 気道異物除去法にそれぞれ有意差はないと述べた。だからそれを裁判の論点にするのは無理がある。それよりも問題とすべきことは肝心の教職員における応急手当の普及率がいまだに低いことである。
 これはこれで残念な事実である。埼玉県の学校でマラソン大会中になくなった「あすかちゃん事件」がきっかけとなり、教員に対する心肺蘇生法の普及は少しずつみられている。いいことである。
 大体、人が死なないと対応策が進まないというのもおかしいが、でもいい方向に進んでいると言える。
 
 今回の窒息死の裁判の重大な論点は、教師個人の注意義務でもなく、また気道異物除去法の選択でもない。このような生徒を出さないためには「教員における応急手当習得」の研修を義務化することなのである。

 自分が原告の弁護士ならば、教育研修の枠組みを変えるべく、相手は文科省か教育委員会かの教師の研修カリキュラムを担当する部局を選ぶ。そして教師全員に応急手当講習を受講を義務化させるような形に持っていくようにするのだが。
 今回窒息で生徒が亡くなったが、教師個人の対応を云々するお門違いの個人攻撃に終始するなら、この生徒の死は活かされないだろう。