吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

野村沙知代さんの死因 その3

2017年12月19日 06時01分42秒 | 日記
 それにもかかわらず医師が死亡診断書を書かなければならないことは多い。通常、このような場合はまず警察に連絡する。警察では事件性がなければ「先生、特に事件性がないのでそっち(病院)で診断書かいてくれませんか?」と言われることもある(特に監察医制度のない他県では)。
 東京では、警察が「明日監察医の先生に検死してもらって診断書は観察で書きますので」と言われることも多い。

 今回は、どうやら病院で書かれた様子?だが、死因は「虚血性心不全」と発表された。この診断名をみてピンと来た。現場の先生はたぶんかなり困ったろうなと推察できる。
 大昔、死亡診断書の死因は「心不全」と書かれることが多かった。これはがんの末期でも、心臓病でも、外傷死でも「死ぬときはみんな心不全(心臓が動かなくなる)」なのだからこの病名はオールマイティで使用できた(昔は)。

 ところが、死因統計では心不全と付けた病名はすべて心疾患に分類されるので、この病名にすると日本人の死因統計が不正確になる。そのため厚労省は死因をICD-10という国際分類に準じてこれ以外の病名はつけないようにと言うことにしたのである。