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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

山椒 益臣氏 モーレンカンプ・ふゆこさん

2009-05-30 04:30:10 | よしなしごと
 落語の「饅頭怖い」ではないが、ものはいってみるものである。
 5月19日付のこの欄に、山椒が好きなのだが鉢植えのものを何度買ってきても枯らしてしまって巧く育たないと泣き言を書いた。

http://pub.ne.jp/rokumon/?entry_id=2162702 
 
 書いた本人はそんなことは忘れてしまって、先般、名古屋で月一回行われる勉強会というかお話会に出ていたら、あの記事を読んでくれたHさんという女性が、自宅で採ったという山椒の小枝を沢山持ってきて下さった。
 これが本当の「驚き、桃の木、山椒の木」である。

 スーパーなどで売っているポリ袋に入れたそれとは違って、香りはすこぶるいい。おまけに、山椒は小粒でぴりりと辛いという可愛い実まで付いている。

 ところでこれをくれたHさんご夫妻、私と同じ岐阜のお住まいなのだが、岐阜の中心部を挟んでお宅は北東、私の家は南西と対角線上にある。従って、この山椒の枝は、Hさん宅から名古屋へ、そして名古屋から拙宅へと三角形の旅をしたことになる。

 

 写真で見るとさほど量は多くないが、最初もらったのはこの数倍はあった。
 お調子者の私は、頂いたのが嬉しくてそれを吹聴し、欲しい人にお裾分けをしたのだった。
 そればかりではない。
 
 この日の集まりは、やはり私がここに4月7日付で記した、わずか三年あまりの付き合いだったが同年齢ということもあり、それなりに濃密な関係であった伊藤益臣氏の死を悼み、彼を看とった方を招いてその晩年を聞く会でもあったのだ。

 http://pub.ne.jp/rokumon/?daily_id=20090407

 かの益臣氏と彼女の晩年が、充実し、互いに満たされたものであったことを聞き、死んでしまった益臣氏に嫉妬すら覚えた次第であった。
 で、なぜそれが山椒と関連するかは次のような経緯があったからである。

 定例の会が終わった後、益臣氏がかつてよくいっていた補習事業(2次会)も終了し、いつもなら散会なのだが、有志の間で益臣氏の行きつけのバーというかスナックを訪問しようという話がまとまった。
 筆頭のH氏(山椒をくれた人とは関係ない)をはじめ、Yさん、Kさん、そして私であった。
 実はこの店、益臣氏とほとんど初対面の折、「六さん、是非付き合って下さい」と彼に連れて行かれた店である。
 さすが、Mという企業とそのネットワーク内なのだろう、この店を訪れる後輩たちに対し、益臣氏は押しも押されぬ先輩面をしていた。

 で、その話と山椒との関連であるが、私が酒というものを口にし始めた頃巷に蔓延していて、そしておそらくは益臣氏もそれを口に運んだであろうことが間違いないハイボールというものを飲みたくなって、私はそれを注文した。その酒に山椒の葉を浮かべて飲んだ。H氏もそれにならった。益臣氏がいたら彼もそうしただろう。

 

 そんなわけでそこで一定程度消費したのと、それを説明したついでにその店に一枝置いてきたこともあって、私の持ち帰り分はさらに減少したのであった。
 博愛衆に及ぼすということで、これをくれたHさんもこれを了承してくれることと思う。

 なお、上の山椒の写真とともに写っている本は、朝日歌壇などで活躍したモーレンカンプ・ふゆこさんの歌集である。同時に発表した句集共々、日本総発売元のYさん(上にも登場した人)がその宣伝に獅子奮迅の努力をしている。

 なお、モーレンカンプ・ふゆこさんにはかつてここでも言及したことがある。
 彼女はオランダ在住だが、彼の地から日本の現状を憂う歌などを発表したところ、ネット右翼と目される連中が悪態をつき放題にし、彼女を売国奴と断じた言説がネットを飛び交った。
 だが、彼らが決定的に知らない、また知ろうともしない現実がある。

 それは、モーレンカンプ・ふゆこさんの熱烈なファンに美智子皇后がいて、二人はおそらく連絡もあるということである。
 ネット右翼は、天皇家も反日であると断定するのだろうか。
 なんともややこしい話である。

 しかし、そんな生臭い話とは関係なく、山椒は確実にその香りを放っている。



コメント (8)
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