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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

最新の世界遺産「韮山反射炉」を観る

2015-11-10 14:29:44 | 旅行
 様々な事情で、私が生まれて幾ばくもしないうちに別れ、約40年間離れ離れに暮らしてていた実姉と再会出来てからもすでにして40年近くが経つ。
 以来、つかず離れずの付き合いをしているが、近年は相互に老齢化が進み、伊豆半島の付け根と岐阜という距離もあり、往来の自由もままならなく、直接会う機会にも恵まれなかった。
 
 その姉が、バリアフリー化した新居を構えたというので、その祝いを兼ねて訪れることにした。
 そんな私に、姉は一族郎党を招集して私に逢わせてくれた。
 私にとってはもう一つの家族のようなものだが、初めて逢う若い人たちなども含めて、こもごも話に興ずることができた。

    
 
 そうした、「もう一つの家族の物語」については、当日見聞したことどもをまとめていずれかは書きたいと思っている。とりわけ、戦中戦後のそれは、往時の歴史を反映している側面が濃厚なので、ぜひ書き留めて置きたい。

 一日目はそんなことの話し合いで終始したが、開けて月曜日、現役の若い人たちは去り、私たち兄弟姉妹のリタイア組のみが残された。
 そこで姉の家から20分足らずで行けるという、国指定史跡で、この7月にユネスコの世界文化遺産に指定されたばかりという「韮山反射炉」を見にゆくこととした。
 姉夫妻の話では、山の麓のなんでもないところに、ポツネンと建っているだけだよとのことであった。

  

 イチゴの温室栽培のハウスの間を抜けて、到着してみて驚いた。ウィークデイだというのに、全国各地からの観光バスがひっきりなしに訪れ、加えて自家用車も群れなすという混雑ぶりで、案内してくれた姉夫妻もその変貌ぶりに驚いている様子であった。世界遺産の御札の効果はてきめんである。
 今やここは、伊豆観光の必須のアイテムとしてしっかり組み込まれてしまっているようだ。

  

 ついでながら、韓国従軍慰安婦の歴史遺産化に対し、日本政府は負担金の支払い停止をもちらつかせてクレームをつけているが、一方ではこうして、日本各地でユネスコの指定を押し頂いて、やれ経済効果がどう、観光投資がどうと大騒ぎをしているのはいささか勝手すぎる気もする。
 本当に喧嘩別れをして分担金を支払わないのなら、日本各地にあるユネスコ指定の世界遺産をすべて返上するのが筋だろう。
 現に、この反射炉の周りでも、その関連施設を建築するためのただならぬ建築ラッシュが起こっているようで、大型の建築機械が何台も投入されていた。

    

 ひとでの多さに圧倒されたが、一通り見て(眺めて?)、あとはパンフとネットで詳細を調べることにした。
 ようするにここは、金属を高熱で溶解し、鋳型にはめて製品を鋳造する場所で、その設立の動機は、幕末の黒船来航にあわてた幕府が、泥縄式に大砲などの製造を行うために建設したものらしい。炉の周辺には、ここで鋳造されたものと同型のキャノン砲や臼砲が展示されている。

  

 反射炉の「反射」についていうならば、反射するのは光ではなく熱で、焚口から発生する炎や熱を、一度天井に反射させ、金属が溶解する千数百度の熱を得るための炉のことである。
 だから、構造的に重要なのは設備の下方部分で、よく目立つ塔の部分は、ようするに煙道、つまり煙突にすぎない。しかし、この部分がないとあまり絵にはならないとは思う。

             
           異母妹・姉・義兄(逆光で少し厳しい)
 
 「なんでも見てやろう」のやじうま精神の持ち主だから、人の多さに幾分辟易した以外は結構面白い見ものではあった。それに見物料が100円と安いのもいい。ただし、建築中の関連施設が整い次第、値上げされる可能性もあり得るだろう。





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