津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

偶然の「市中」

2006-10-20 08:32:51 | 書籍・読書
 季節はずれだが、夏目漱石に私の好きな次の句がある。
   市中は 人様々の 師走哉

 数日前出久根達郎のエッセイ「下々のご意見」を読んでいたら、この句が紹介されていた。この「市中」は「まちなか」と読むのだと・・・(わかってますけどー)
時代劇で「市中(しちゅう)引き廻しの上・・・」というのは、かっては「まちなか引き廻しの上・・・」と言っていたという事をおっしゃりたいらしい。
漱石の句と共に古句「市中は 物のにほいや 夏の月」が紹介されている。

 まったくの偶然だが、きのう浅野宏著「江戸の『闇』を読む」を読んでいたら、この古句に遭遇、凡兆の句であることが分った。じつはこれは連句でなんと芭蕉が七七を附けている。

 市中は 物のにほいや 夏の月  凡兆
 あつし/\と 門々の聲     芭蕉   となる。

「裏長屋の夏は夜まで蒸し暑い。涼風どころか熱風でさえ、長屋の角は曲がりきれない。蚊いぶし焚いても効果はないから、誰彼なしに裸を叩いて蚊を追っている」と著者は解説している。
(後で知ったこと---太宰治の天狗という文にこの句が紹介されているが、「いちなか」とルビがふってある。さてさて・・・)
コメント
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