最近手に入れた「江戸随想集」(古典日本文学全集35)に、北窓瑣談がある。宮川春暉(橘南谿)の文政12年の著作である。
西遊記、東遊記等も著し、文筆家として知られる。
その「北窓瑣談」に熊本人について触れている項があった。
55・玉山の書 近頃秋山玉山の筆蹟を見た。明人の区域を出ることを得ずにゐるとはいへ、その雅趣は徂徠以後の第一人であろう。(巻三)
61・藪弧山 肥後の藪茂二郎先生が、大坂の中井善太(竹山)先生を初めて訪うた時、冬だのに薄羽織を着てゐた。中井が怪しんで
「どうして先生は夏羽織をお召しですか」と問うた。藪は答へて、「国許を夏に出ましたので」といつたさうである。(後編巻一)
藩校時習館の初代・二代の教授である。(時習館115年の歴史で教授を務めたのはわずか六人である。空席とされた時代もあった。)
秋山玉山書 「時習館」