津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■護貞様の本音

2017-08-27 07:21:22 | 書籍・読書
 陶庵随筆 (中公文庫)
 
  中央公論社

  私の愛読書に勝田龍夫の「重臣たちの昭和史」がある。
「木戸幸一、近衛文麿、そして原田熊雄。三人は元老・西園寺公望門下生で、“園公三羽烏”と称された。時おりしも、政党政治の時代から軍部の台頭へと風雲急を告げていく―。岳父である原田熊雄や、木戸幸一の新証言によって、昭和史の奥の院を描き出す!」(BOOKデータベースから)というものだが、近代史の一面が伺える佳作である。
文庫版の(上)巻の表紙には、車から降りる西園寺に手を貸す秘書の原田熊雄が写されているが、和服の西園寺とスーツにカンカン帽姿の対比が面白い。
原田のおしゃれなファッションセンスは彼がクオーターであることかもしれない。著者はこの原田熊雄の女婿である。

この本を読んでいるうちに、昔西園寺公望の随筆集を購入したことが有るなーと思い、それこそ押し入れの開かずの段ボールを探しまくったが発見しきれない。WEBで検索してみると写真の「陶庵随筆」であった。
これを早速購入、改めてページをめくると読んだ記憶が全くない。
名随筆だと編者の国木田独歩が称賛しているが、毒気のないさらりとした文章に好感が持てる。
驚いたことに最後に細川護貞様の「陶庵随筆をよんで」という小文があった。これも記憶がないから最初に購入した時全く読んでいないことを証明したようなものだ。
この文章を読んで私はおおいなる衝撃を受けた。名前はないもののその人物が誰であるのかはすぐ理解できる。その人物を罵倒される激しい文章はまさに護貞様の本音であろう。1990年初版の本だから護貞様晩年(2005年没・93歳)の頃の文章である。
西園寺公の随筆、国木田独歩の解説、細川護貞様の心の底の激しい想いを吐露された文章にぜひ触れていただきたい。 

コメント
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