昨日はデスク廻りの床に積み上げた諸々の資料をかたずけるうちに、三つ四つの段ボールの中身を確認するために大奮闘してしまった。
おかげでびっくりするほど片付き、奥方からお褒めの言葉をいただき少々悦に入っている。
よくしたもので余り読みそうもない本がまとめられている。入れるとき仕訳をして入れたからだ。
そんな中で遠藤周作の「夫婦の一日」が出てきた。今日は五編の短編の中から二編を読了した。
表題の「夫婦の一日」は、遠藤が共にクリスチャンでありながら、世俗的な事へも心を奪われている夫人に違和感を感じながらも、その心情を想い信仰と相容れない行動を共にする話である。
「日本の聖女」は遠藤のキリスト教に対する宗教観をベースにして、細川忠興夫人の侍女・小侍従と語り手のパードレの交流を通じて「日本の聖女=ガラシャ」の本質的なものに迫っている。遠藤には小西行長を主人公とした「鉄の首枷」があるが、遠藤は行長をしてキリスト教徒の矜持を以た殉教者としている。パードレはガラシャの信仰に対し違和感を感じながら、日本(型)の「聖女」だと言わしめているが、これはまさに遠藤の思いであることは間違いない。
この本を段ボールには戻さず、本棚の一連のガラシャに関する著著の脇に並べることにした。