森鴎外の「阿部一族」は、京都町奉行所与力の神沢杜口(貞観)の著「翁草」にそのヒントを得たとされる。
翁草とは日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によると次のようにある。
江戸中期の随筆。200巻。神沢杜口(かんざわとこう)(1710―95)著。1792年(寛政4)の西山拙斎(せっさい)の序文、その他によって、
1760年代後半から90年ごろ(明和(めいわ)から寛政(かんせい)初年)にかけて順次成立したと推定できる。近世に成立した書籍、記録を
抄録して一書と成したもの。内容は、歴史、地理、文学、芸能、有職故実(ゆうそくこじつ)、美術、工芸、宗教など多岐にわたる。
杜口が京都町奉行所(まちぶぎょうしょ)与力であったので京都の事件、風俗などについて、また俳人でもあったので江戸中期京都俳壇につ
いての、それぞれ詳しい記述がみられる。版本『翁草』は5巻の抄出本。『異本翁草』もある。[宗政五十緒]
そして刊本としては、『日本随筆大成 第3期 19~24』(1978・吉川弘文館)に所収されているらしい。
非常に短い文章らしいが、そういうものがあるのならばぜひ確認する必要がある。
ところが熊本県立図書館がこれを所蔵していない。「日本随筆大成」は古本市場ではよく見かけるが、現況『第3期 19~24』は見受けない。
さてどうしたものかと思案中、他の図書館から借り受けてもらう様にしようかしら・・・