2020年8月22日・NHKの「歴史発掘ミステリー・京都千年蔵 勝林寺」が放映されたが見落としてしまった。
幸い昨年末再放送がありこれを拝見、大変興味あるものだった。
勝林寺は「声明」の聖地といわれ、また法然上人による「大原問答」で知られる御寺である。
我が家は浄土宗だから、法然さんの「大原問答」のことは一応承知していたが、これが勝林寺でのことであったことは知らなかった。
ここを歴史学者・磯田道史が訪れ、まだ明らかにされていないお寺の歴史を発掘しようというのである。
そして磯田氏は浅井長政の勝林寺にあてた安堵状を見つけて驚きの声を上げた。
浅井長政は、姉川の戦いで信長・家康連合軍に敗れているが、信長の比叡山延暦寺攻撃直前に、この大原の里に浅井長政の力が及んでいたことを示していた。
磯田氏はこの史料によって、信長がまだ浅井氏の力が大原の地まで及んでいることに驚き、比叡山を攻るに及んだのではないかという見解を述べられたが、これは今迄伝えられていた比叡山攻めの定説が揺らいできたことになる。
メディアで映像とともにこのような手法で発掘され明らかにされるこの史料が、今後どう評価されるのかも興味が尽きない。
齢を重ねる歴史の事実は古びるのではなく、このような新たな資料の出現により、古い殻を脱ぎ捨てる様にうかがい知れぬ真実に一歩/\近づいていく。これだから歴史の興味からから抜け出せないことになる。