Sightsong

自縄自縛日記

スリランカの映像(9) 『Scenes of Ceylon』 100年前のセイロン

2011-10-05 06:00:00 | 南アジア

大英帝国の植民地時代のフィルムを収めた「Colonial Film」というサイトがあって、当然、スリランカ(当時セイロン)の映像も含まれている。この中で最も古いのは『Scenes of Ceylon』(1909年)であり、有名なセシル・ヘップワースが製作した8分ほどの短いサイレント映画である。「stay-at-home」、すなわちオリエンタリズムの視線以外を持ちようもない、自宅での観賞という用途である。つまり、動く絵葉書というわけだ。

いきなりキャンディコロンボの街と市場が登場する。さすがに100年前であり、新旧の都といえど、当然、この古さとせせこましさは既にない。キャンディは大きな湖を囲む閑静な街であるし、コロンボは皆が憧れる大都市になった。

それでも、人びとの風貌についてはそうでもない。男は都会の「ズボンをはく人」を除けば腰巻のサロンである(そういえば現地で貰ったが使っていない)。田舎の光景は、漁村、ココやしのエステート、象がうろうろする場所など、さほど変わりはしていないのである。と言っても、私が訪れたのはもう十数年前のことで、幾分かはタカを括っている。

アヌラーダプラで声をかけてきたフェルナンドという男に数日間のガイドを頼み、自動車で移動していると、象使いがいた。象の背中に乗ってみるとわかるが、意外に毛深い生きものである。象を尖った棒で操り、作業させ、川で水浴びさせる様子がそう変わるわけもない。

>> 『Scenes of Ceylon』


スリランカ(1997年) Pentax ME-Super、FA28mmF2.8、Provia100、DP

●参照
スリランカの映像(1) スリランカの自爆テロ
スリランカの映像(2) リゾートの島へ
スリランカの映像(3) テレビ番組いくつか
スリランカの映像(4) 木下恵介『スリランカの愛と別れ』
スリランカの映像(5) プラサンナ・ヴィターナゲー『満月の日の死』
スリランカの映像(6) コンラッド・ルークス『チャパクァ』
スリランカの映像(7) 『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』、『シーギリヤのカッサパ』
スリランカの映像(8) レスター・ジェームス・ピーリス『ジャングルの村』