テヘランの古い地域に大きなバーザールがある。地図で見ると立派な公園よりもはるかに広い。アーケードの入り口から入ってみると本当に広い。簡単に迷子になりそうだったので変に曲がることはしない。
アーケードや建物の意匠はなかなか見事である。人々は猫ぐるまに絨毯だのなんだのを載せてすごい勢いで移動しており、懸命そのものである。といいつつ、その割に余裕もあったりして、なかなか愉しい。上野のアメ横や神戸のモトコー、あるいは広島の姿を消した愛友市場など、薄暗くてごみごみしたところに入ると、なぜ人は興奮してしまうのだろう。
ガイドブックを参照すると、「ガージャール朝以来、テヘラン経済の中枢としての役割を果たしてきた」とあるが、テヘランという都市がガージャール朝のときに首都となって発展したわけであるから、それは何も言っていないにひとしい。
そしてまた、「扱う商品によって出店場所がだいたい決まっているのは、中近東独特のスタイル」とある。実際にアメ横などでは違う種類の店が混在していて、サウジアラビアのリヤドにあるリヤドのゴールド・スークでは同じ種類の店が固まっているわけだが、ベトナムのハノイでは街自体がそのようなつくりになっている。したがって「中近東独特」ではないのではないかと思ってしまうのだがどうだろう。
入口の外にはカメラ店が、入ってすぐのところには時計の店が並んでいた。ガラスケースの中に並ぶ時計だけを凝視するなら、視えるものはバンコクでのものと似たようなものだ。いい感じのパネライもどきがあって、値段を訊こうかと思ったが、どうせ冷やかしだからやめた。ところで、ジャカルタの空港では、入ろうとすると「ロレックス、ファイブダラー!」と叫んで駆け寄ってくる人がいる。そして中に入ってほっとすると、「ブルガリどう?」と近づいてくる人もいるのだ。
Nikon P7800
●参照
2016年2月、テヘラン
2015年12月、テヘラン
イランの空
スーパーマーケットのダレイオス1世
テヘランの軍事博物館と緑の宮殿
テヘランのメッラト宮殿
カメラじろじろ(3)テヘラン篇
旨いテヘラン
旨いテヘラン その2
旨いテヘラン その3
旨いテヘラン その4
鵜塚健『イランの野望』
桜井啓子編『イスラーム圏で働く』、岩崎葉子『「個人主義」大国イラン』