Sightsong

自縄自縛日記

サラ・マニング『Dandelion Clock』、『Harmonious Creature』

2017-12-31 23:43:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

サラ・マニングの『Dandelion Clock』(Posi-Tone、2009年)、『Harmonious Creature』(Posi-Tone、2013年)。

Sarah Manning (as)
Art Hirahara (p)
Linda Oh (b)
Kyle Struve (ds)

Sarah Manning (as)
Eyvind Kang (viola)
Jonathan Goldberger (g)
Rene Hart (b)
Jerome Jennings (ds)

2009年の吹込みではよく通るクリアな音色が素敵なのだが、2013年に至り、弦3本を使ったサウンドもアルトの音も多彩になっていて、明らかに進化している。

マニングの最近の言うところでは、サウンドはこのレーベルのカラーから逸脱し、実験的なものになってきているという。新しい吹込みに期待。


今村祐司グループ@新宿ピットイン

2017-12-31 22:44:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

2017年最後のライヴは、新宿ピットイン昼の部において今村祐司グループ(2017/12/31)。

Yuji Imamura 今村祐司 (perc)
Koichi Matsukaze 松風鉱一 (as, ts)
Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p, org)
Katsumasa Kamimura 上村勝正 (b)
Tamaya Honda 本田珠也 (ds)

今村さんのプレイを観るのはもう十何年かぶりである。それに加え、ジャズ界の至宝・渋谷毅さんに松風鉱一さん。昼ピでこの面々、じつはたいへんな贅沢なのだ。

ファーストセットは、「Limbo Jazz」(エリントン)からはじまり、「No. 513」(松風)、「マリオ」(今村)、「Folk Song」(松風)、「Black Tree in Shochu Island」(松風)。セカンドセットは、今村さんがメンバーにフォービートだフォービートだと言いながら「Big Valley」(松風)、「Manteca」(ガレスピー)、「Outside」(松風)、「ウキウキ」(今村)、そして1曲やってアンコール。

松風さんはアルトのマウスピースをロートンに変えた(サックスはテナー、アルトともに、この日はヤナギサワ)。なんでもリード(ヴァンドレンの4番)との隙間が狭いが、安定した音が出るのだという。持たせてもらうとずっしりと重い。そして、ちょっと前まで意外なほどに可愛い音だったアルトが、シャギーでささくれた、昔からの松風さんらしい実にいい音色を発していた。それはまるで、魚が乱流の中を見事に悠然と泳いでいくようなのだった。

渋谷毅さんはいつでも素晴らしい。どんなピアノソロでも渋谷毅であるし、どのオルガンの断片も痺れさせてくれる。この日、ピアノでぐちゃぐちゃと不協和音を寄せ集め、オルガンのように聴こえる技も繰り出した。

そしてリーダーの今村さんは枯れまくっている。その愉し気なパーカッションの後ろで、ぶっとい鞭のような本田さんのドラムスが共存する不思議。

●松風鉱一
松風M.A.S.H. その2@なってるハウス(2017年)
松風M.A.S.H.@なってるハウス(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
5年ぶりの松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2013年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2008年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
松風鉱一『Good Nature』(1981年)
『生活向上委員会ライブ・イン・益田』(1976年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
森山威男『SMILE』、『Live at LOVELY』 
反対側の新宿ピットイン
くにおんジャズ、鳥飼否宇『密林』

●渋谷毅
渋谷毅@裏窓(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅+市野元彦+外山明『Childhood』(2015年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅のソロピアノ2枚(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
『RAdIO』(1996, 99年) 
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(1998年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
『浅川マキを観る vol.3』@国分寺giee(1988年)
『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』(1987-92年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年) 
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
見上げてごらん夜の星を 

●本田珠也
TAMAXILLE『Live at Shinjuku Pit Inn』(2017年)
ナチュラル・ボーン・キラー・バンド『Catastrophe of Love Psychedelic』(2015-16年)
守谷美由貴トリオ@新宿ピットイン(2016年)
蓮見令麻@荻窪ベルベットサン(2015年)
荒武裕一朗『Time for a Change』(2015年)
鈴木勲セッション@新宿ピットイン(2014年)
本田珠也SESSION@新宿ピットイン(2014年)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2012年)
石田幹雄トリオ『ターキッシュ・マンボ』(2008年)

 


フレッド・フリス『Storytelling』

2017-12-31 09:57:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

フレッド・フリス『Storytelling』(Intuition、2017年)を聴く。

Fred Frith (g)
Lotte Anker (sax)
Sam Duhsler (ds)

はじめは飄々としたフレッド・フリスのノリとともに気楽に流していたのだが、やっぱり手を止めて聴き込んでしまう。

『Step Across The Border』を思い出すまでもなく、フリスの達観したような漂流ぶりは旅人のインプロヴィゼーションなのだ。ロッテ・アンカーのサックスは、発酵しぶくぶくと泡立つところから胃液を吐き出すようでもあり、これもまたいい。かれらによる人間の音楽はなぜだかノスタルジックでもあり、その感覚は「Backsliding」において極大化する。

このふたりのデュオは『Edge of the Light』(2010年)でも個性を発揮していたのだけど、本作はドラムスが加わったためか、より風穴からの隙間風が吹き込んでいるようで、いい感じの距離感を生んでいる。

●フレッド・フリス
ロッテ・アンカー+フレッド・フリス『Edge of the Light』(2010年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
高瀬アキ『St. Louis Blues』(2001年)
突然段ボールとフレッド・フリス、ロル・コクスヒル(1981、98年)
『Improvised Music New York 1981』(1981年)

●ロッテ・アンカー 
須川崇志+ロッテ・アンカー+キャスパー・トランバーグ+ラース・グレーヴェ@下北沢APOLLO(2017年) 
ロッテ・アンカー+フレッド・フリス『Edge of the Light』(2010年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)


川島誠@川越駅陸橋

2017-12-31 08:54:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

川越駅前の陸橋で、川島誠ソロ(2017/12/30)。

Makoto Kawashima 川島誠 (as)

特に告知していたわけでもなかったため、敢えて観に来た者はわたしともうひとりのみ。他の人たちは訝しみながら橋を渡ってゆく。

はじめは朗々と吐露するアジアンブルース。やがて咳き込むように破裂させ、そして、簡単に切れてしまいそうな糸を思わせる、弱弱しい喘ぎ。終わらせようにも終わらない生命がこちらも息苦しくさせる。

少し休んで、覚悟したのか、内面との往還を音にした。それはいつまでも光を見出せない無間地獄のようなものだった。

終わってから、川越市駅前の「もとはし」で焼き鳥を食べた。つくね、ぼんじりの燻製、いぶりがっこのポテトサラダ、KOEDOのビール、たかはしの卵を使った卵かけごはん、すべてうまかった。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●川島誠
むらさきの色に心はあらねども深くぞ人を思ひそめつる(Albedo Gravitas、Kみかる みこ÷川島誠)@大久保ひかりのうま(2017年)
#167 【日米先鋭音楽家対談】クリス・ピッツィオコス×美川俊治×橋本孝之×川島誠(2017年)
川島誠『Dialogue』(JazzTokyo)(2017年)
Psychedelic Speed Freaks/生悦住英夫氏追悼ライヴ@スーパーデラックス(2017年)
川島誠+西沢直人『浜千鳥』(-2016年)
川島誠『HOMOSACER』(-2015年)