大塚のWelcome Backにおいて、Sun Ship with ゲバラ(2017/11/30)。鳥取のゲバラさんが東京で演奏される機会はさほど多くない。今回1年半ぶりに行くことができてよかった。
Sun Ship:
Shunji Murakami 村上俊二 (p)
Takashi Namiki 並木崇 (ts, ss)
Satoshi Kawasaki 川崎聡 (b)
Kazushige Kitamura 北村和重 (ds)
with
Guevara Yuji Takenobu 武信ゲバラ (as)
今回は新作CDの発表とも重なり、収録曲が中心に演奏された。
ファーストセット、「I Can't Talk to You Now!」(並木)、「First Song」(チャーリー・ヘイデン)、「Go Back to My Country」(村上)。セカンドセット、「Six Sense」(並木)、「Imagine」(ジョン・レノン)、「Natural」(村上)、「Tomorrow」(村上)。
やはりこうして聴くと、各々のメンバーの際立った個性が伝わってくる。村上さんは力強い和音で杭を打ち込みながらしばしばドン・プーレンを思わせるようにサウンドをかき乱す。自身のソロに入る前の瀑布のような助走もトレードマークのようだ。バッキング時にも存在感が強い。ベースの川崎さんは、弦を指で弾くときも、まるで三味線をバチで叩くかのような撥音も粘りもあり、また、ノイズの濁流のアルコも、唄いながらのソロも素晴らしい。ドラムスのソロになると、それまでテンションを張ったままリズムを形成していたことがはっとわかる。「Imagine」での星のようなシンバルワークも見事。
そしてサックスのふたりである。ゲバラさんはしばしば小さめの音から入るが、音圧が右肩上がりでそのアルトが熱を帯び、震え泡立ち、濁ってくる。「I Can't...」や「Six Sense」ではエリック・ドルフィーを思わせる跳躍するフレーズもあった。一方の並木さんは常に太く乾いているのにやはり熱い。先を見通すような物語的なフレーズも印象的。そしてSun Shipのデビューアルバム『Live at "Porsche"』(1998年)でも演奏した「Natural」でのみソプラノを吹いたのだが、この熱気にと哀しさにはやはり20年が入っていた。
終わった後に、村上さん、並木さん、ゲバラさんにいろいろとこれまでの経緯を訊いた。Sun Shipの結成は1997年。「ということは20年」と言うと、「ああ20年か、そうか」と笑っていた。
さてこれから、新作の『Live at Blue Z』を聴くのが楽しみである。
●参照
Sun Ship@大塚Welcome back(2016年)
清水ケンG『Bull's Eye』(1996年)