水道橋のFtarriにおいて、ファビオ・ペルレッタ来日公演(2017/12/3)。
Fabio Perletta (Laptop, electronics)
Lorenzo Balloni (Laptop)
Tetuzi Akiyama 秋山徹次 (g)
suzueri すずえり (prepared p)
ファーストセットはファビオ・ペルレッタとロレンツォ・バローニとのデュオ。
バローニはNovationのミキサーをラップトップにつなげ左手でサウンドを操作しているのだが、その動かし方は微妙であり、とてもアナログ的なものに感じられる。一方のペルレッタもラップトップにミキサーをつなげている。さらにそこからは触覚のように世界とのミクロな接点が用意されている。木の小さな棒が斜めに重ねられて弄んだり、その上にアルミホイルを乗せて重力のバランスを崩したりしている。またポータブルレコーダーの2つのマイクには板紙の筒が近寄せられ、ハウルさせてはそれを阻む。ペルレッタはそれらの音をグラフィカルなインターフェイスを持つソフトで操作しつつ、かたや、テーブルの上での手仕事を増幅しているのだった。
ふたりのアクションを凝視しつつ耳を傾けていると、どちらの策動による音なのかはある程度はわかるものの、それらは共存しあい、ときには融合していった。サウンドは宇宙的なものから雨音のようなものへと変化してゆき、アンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』における廃墟の中のように響いた。
セカンドセットは、ファビオ・ペルレッタ、秋山徹次、すずえり。
ペルレッタが創る、夜の虫の声。秋山さんはこちらに背を向けてその機を待つ。そして秋山さん、すずえりさんと前後して参入した。すずえりさんがピアノに仕掛けたギミックの数々は、まるで自らの意思をもった小動物のようである。すずえりさんはそれらの半生物たちを手で操作し、あるいはモーターによる自動的な動きにまかせる。ピアノの傍らで回る歯車が甲虫にみえる。
このふたりの小さくて大きい、無機物で有機生命でもある世界に挟まれて、秋山さんのギターは、研ぎ澄まされた音を発し続けた。サウンドパフォーマンスが収束に向かうと誰もが思っている中で、この世界はなかなか終わりを迎えない。緊張の糸は秋山さんの意思によるものか、演奏者も観客も息を殺す時間がしばしあって、ついに演奏が終わった。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4
●すずえり
すずえり、フィオナ・リー『Ftarri de Solos』(2017年)
●秋山徹次
池田謙+秋山徹次@東北沢OTOOTO