Sightsong

自縄自縛日記

高橋知己『Lady in Satin』

2017-12-12 08:21:51 | アヴァンギャルド・ジャズ

高橋知己『Lady in Satin』(Aketa's Disk、2011年)を聴く。

Tomoki Takahashi 高橋知己 (ts, ss)
Kazuhide Motooka 元岡一英 (p)
Satoshi Kosugi 小杉敏 (b)
Fumio Watanabe 渡辺文男 (ds)

最近までこの盤のことを知らなかった。ビリー・ホリデイの名盤『Lady in Satin』の収録12曲がすべてプレイされている。思い出してビリーのそれを改めて聴くと、それは涙が出そうに素晴らしいものだが、この再演もまた良い。

尖ったものを求めてばかりいたせいか、高橋知己さんのプレイにしばらく接していなかったのだが、今年のライヴ同様、この盤の音にもやられてしまう。ゆったりとして焦らず、エッジが丸い様は、『In London』や、マット・ウィルソンのリーダー作『As Wave Follows Wave』におけるデューイ・レッドマンの晩年の発酵ぶりを想起させるものがある。「Glad to be Unhappy」なんてグッとくる。

そしてフィーチャーされている渡辺文男もまた、たぶん同じような理由でしばらく聴いていなかった。実に味のあるドラミングなのだ。本田竹広の『Minton Blues』の音が脳裏に蘇ってくる。あれもまぎれもなく渡辺文男の音であったことに、今ころ気づいている。

●高橋知己
本多滋世トリオ@駒澤大学Bar Closed(2017年)
高橋知己『Another Soil』(1980年)

●ビリー・ホリデイ
ビリー・ホリデイ『At Monterey 1958』(1958年)


宮里綾羽『本日の栄町市場と、旅する小書店』

2017-12-12 07:39:59 | 沖縄

宮里綾羽『本日の栄町市場と、旅する小書店』(ボーダーインク、2017年)を読む。

栄町市場の雑踏や雰囲気がとても好きで、那覇に行くたびに中をうろうろするのだが、いつも迷う。実はそれが愉しくもあるし、本書によれば、新しいお店がなお出来ているらしい。「potohoto」や「生活の柄」など知っているお店も登場したり、名前は存じ上げないが、あああそこに、という人のことも書かれている。

著者の宮里綾羽さんは、栄町市場にある「宮里小書店」の副店長である。お父さん(店長)は、里国隆の歌声や、最近発表した『琉球弧の祭祀―久高島イザイホー』を録音したりもした宮里千里さん。書店の本はハトロン紙のカバーがかけられていて、選ぶのが気持ちいい。

最初に訪ねたときは店長が「熱が出た」とかでお休みで、隣のお店の金城さん(この本ではじめて名前を知った)が留守番をしていた。そのときは、澤地久枝『もうひとつの満洲』を選んだ。

次に去年の秋に訪ねたときには、副店長の宮里綾羽さんがいて、なぜか隣の金城さんがコーヒーを出してくださった。そのときわたしは故あって眼帯をしていたのだが、これこれこういうわけで眼帯を、と説明すると、綾羽さんは、絶対治りますよという言葉をくれて、ついでにバス停に案内までしてくれた。言葉というものはとても大事なものだから、わたしはこのことを決して忘れない。

そういえばそのとき買った文庫本2冊をまだ読んでいない。

●栄町市場
城間ヨシさん、インターリュード、栄町市場(2007年)
Leitz Elmarit 90mm/f2.8 で撮る栄町市場と大城美佐子(2007年)
栄町市場ライヴ(2007年)
栄町市場(2007年)