分厚い文庫本だが、冗長ということはない。ライフワークと言えば大げさだが、著者が数年間にわたって全国の自衛隊基地を訪問し、「花形職場」には限らず部署の隊員たちと重ねてきたインタビューから構成されたストーリー集である。
陸自のレンジャーは確かに、花形ではないが一目置かれる存在であろう。だがレーダーサイトの要員(しかも私にとって縁のある北海道奥尻島だ!)とか、駆逐艦ちがった護衛艦のミサイル要員とか、普通の人はあまり知らない職種の隊員をもインタビューの相手として選んでいる、それが本書の価値の一つ。チームは決してスタープレイヤーだけで成り立っているわけではないのだ。
もちろん自衛隊30万人全てが己の待遇処遇すべてを受け入れているはずはなかろうが、本書に登場する隊員たちは皆、黙々と日々をこなしている。地震や風水害の「災害派遣の時のみ、吉田茂いうところの「日陰者」に日が当たるようでは困る。自衛隊を英雄視するつもりはないが(被災地での献身的な活躍と昨今の不祥事の対比たるや…)、自衛隊とは何か、どこまでを任務とするか、その任務に対する装備は本当に現在の水準で過不足ないのか、タブー視せずヒステリックにならず冷静に議論できないものかと、この国の為政者(偽政者?)を見ていて思う。ついでに書いておこう、自衛隊を違憲とか何とか非難してきたくせに自分の護衛を要求した鉄面皮な「平和活動家」がいることも。
2012年8月12日・フェリー「クイーンコーラルプラス」船上にて読了
陸自のレンジャーは確かに、花形ではないが一目置かれる存在であろう。だがレーダーサイトの要員(しかも私にとって縁のある北海道奥尻島だ!)とか、駆逐艦ちがった護衛艦のミサイル要員とか、普通の人はあまり知らない職種の隊員をもインタビューの相手として選んでいる、それが本書の価値の一つ。チームは決してスタープレイヤーだけで成り立っているわけではないのだ。
もちろん自衛隊30万人全てが己の待遇処遇すべてを受け入れているはずはなかろうが、本書に登場する隊員たちは皆、黙々と日々をこなしている。地震や風水害の「災害派遣の時のみ、吉田茂いうところの「日陰者」に日が当たるようでは困る。自衛隊を英雄視するつもりはないが(被災地での献身的な活躍と昨今の不祥事の対比たるや…)、自衛隊とは何か、どこまでを任務とするか、その任務に対する装備は本当に現在の水準で過不足ないのか、タブー視せずヒステリックにならず冷静に議論できないものかと、この国の為政者(偽政者?)を見ていて思う。ついでに書いておこう、自衛隊を違憲とか何とか非難してきたくせに自分の護衛を要求した鉄面皮な「平和活動家」がいることも。
2012年8月12日・フェリー「クイーンコーラルプラス」船上にて読了